#9

――――一年後

「ナギ、朝だぞ・・・起きろ。」


「・・・えぇ・・・。」

私はナギを起こし続けている。


「わかったよ・・・起きるって。」


ナギがベッドから一歩踏み出す・・・。その時――――


「・・・っあ、」

・・・私は肩を支えた。


「・・・大丈夫か」


「・・・ありがと」


「あぁ。」

ナギは少しうつむき気味 に部屋を後にした。


「あ、ナギ・・・起きたのね。朝ごはんできてるわよ・・・。」


「・・・はーい。」


私は椅子に腰かけた。


「・・・いただきまーす・・・。」


「・・・いただきます。」


「はーい・・・どうぞ、めしあがれ・・・。」


静かな時間が流れる・・・差し込む朝日にまぶしさを感じながら。



――――登校後

「・・・なぁー、たちばなー。聞いてるのかー。」


「・・・すみません。」

私はまた、窓の外を眺めていた・・・。


「・・・最近そういうの多いぞ。ちゃんと聞いとけよー。」


「・・・はい。」


・・・ペンを持ち直した。


――――授業後


「・・・めしにしよーぜー。・・・おーい。サクー?」


「・・・え、あー悪い。・・・。」

私は教科書をしまった。


「かわいい子でも想像してた?」


「・・・。あんたじゃないんだぞ・・・。」


・・・友人は私の前に座った 。


「まーサク。最近ナギちゃんとはどう?」


「・・・普通。・・・普通ではあるが――――」


「――――なんでもない・・・。」

・・・視線を落とした。


「うそつけー。絶対なんかあっただろ。」


私は視線を戻せなかった・・・。


「俺も妹といろいろあるからさー。愚痴があるなら聞くぞ。」


・・・少しの沈黙が流れる。そして、


「・・・愚痴とか、そう言うのではないが――――」


「――――・・・もし、未来が見えたとして、それが変えられなかったとしたら、

 ・・・どうしたらいい?」


友人に顔を向けた。


「は?・・・どういうこと?

 もしものことなんか考えるだけ損だぞ、サク」


・・・半笑みを浮かべていた。


「・・・まぁ、そうだよな ・・・。」

私は視線を落とした。



――――帰宅後

・・・カバンを下ろし、リビングに入る。


「・・・おかえり」


「・・・。ただいま。」


妹に笑みを返した・・・。


「・・・。あのさお兄ちゃん――――」


「・・・?」


「――――・・・。ううん・・・なんでもない。」


妹は視線を外した。


(・・・。)

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