#8
――――見慣れた家具、整えられた部屋、そして・・・
(運命を変えることなんてできるのだろうか・・・。)
・・・私はベッドに倒れこんだ。
「・・・・だとしても、今は――――」
――――一年後
「・・・ナギ、起きれそうか。」
私はドアをノックした。
「・・・あの子、また寝てしまったのかしら・・・。」
「・・・。」
ドアノブに手をかける。・・・少しのためらいを感じながら。
「入るぞ・・・」
ベッドに横たわるナギ。・・・日差しが部谷を照らしていた。
「・・・遅刻するぞ。」
「・・・もう少しだけ。」
体を背けられた。
「起きろ・・・ほんとに遅刻するぞ。」
「わかったよ・・・起きればいいんでしょ・・・。
・・・。え、もうこんな時間なの」
ナギはおぼつかない足で部屋をあとにした。
――――登校後
「おっはよーサク。」
「・・・。おう。」
私は窓の外を眺めていた・・・。
「あ、サク。さてはかわいい子でもいた?」
「なわけ・・・」
・・・私は視線を落とした。
「えー。かわいい子じゃなかったら何見てたんだよ。」
「・・・何も。考え事してた。」
・・・友人から表情が消える。少しの沈黙ののち――――
「・・・おまえ、やっぱムッツリだったのか・・・。」
「あんたじゃないんだぞ・・・。」
・・・友人は半笑いを浮かべていた。
「ひどいよー。おまえも高校生なら分かるだろー。」
「あのな・・・。」
私は視線を逸らしていた。
「・・・あ、もうこんな時間じゃん。じゃあサク、また後でな。」
「・・・おう」
友人は教室を後にした。
(・・・。)
――――賑わう生徒、流れるメロディ・・・そして
「え、サクどした?珍しいじゃん。」
・・・見慣れない教室
「どうしても、相談したいことがあって」
「・・・。マジ?」
私は友人の目をまっすぐ見た。
「・・・やっぱナギちゃんとなんかあった?」
「ケンカじゃないけど、まぁ・・・そう。
妹が朝に弱くなる一方だからどうしようかと・・・。」
「・・・は?そんなことだったのかよ。心配して損したじゃねーか」
友人は微かに笑った。
「・・・。」
「・・・え、そんなにヤバイの。」
・・・私は視線を落としていた。
「あー、まぁ心配すんなって。明日急に居なくなるとかじゃないだろー。」
「・・・。そうではあるが」
「だったら、あれこれ考えるよりも支えてあげた方がよくない?」
私は友人に顔を向けていた。
「そういうことだよ。サク。
・・・まーいったん飯でも食おうぜ。」
「・・・おう。」
私は友人の隣に座った。
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