#7

――――一年後

「・・・ナギ、大丈夫か?」


・・・数歩後ろを尻目に、歩みを進めていた。

「・・・。・・・うん。」


「・・・こけるなよ。」


・・・ナギの歩幅に合わせながら。


――――登校後

ナギを見送り、教室へと向かった。


「おっすサクー。」


「・・・おう。」


「元気してた?」

・・・視線が落ちる。 友人は変わらない表情を浮かべていた。


「・・・あ、とうとうサクもナギちゃんに不満とか?」


「いや・・・別に」

・・・視線を戻した。


「えー。こっちはいっつも大変なんだぞー・・・。」


「・・・まぁ、いいんじゃない」


「あ、お前目逸らしたな。・・・うらやましいやつめ。」

相変わらず微笑が混じっていた。


「まぁいいや、

 やっぱ、今度うちの妹と交換してみない?一日だけでいいからさー。」


「断る。」


「えーそう言わずにさー、頼むよ、サクー。」

友人は笑みを浮かべ続けていた。


―――― 放課後

・・・半歩後ろのナギとともに住宅街を歩いていた。


「・・・なぁ、ナギ。」


視線が向けられる。無表情のまま・・・。


「ナギはさ、・・・他の兄がよかったとかってある・・・?」


「・・・。」

視線を逸らされる。・・・数歩進んだのち――――


「・・・別に。」

少しうつむき気味に答えた。


(そうか・・・。)


私は歩みを進めた・・・。


「・・・でも、どうしてそんなこと聞いたの?」

・・・再び視線が向けられる。


「・・・気になっただけだよ。」


「・・・ふーん。あっそう。」

視線を戻したナギは少し和らいで見えた。




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