#6

――――翌日

・・・まばらな生徒とともに、ナギと下駄箱へ向かっていた。


「・・・今日部活は?」


「・・・入ってないけど。」

・・・気の抜けた返事が返ってくる。


「・・・そうか。」

私は靴箱から上履きを取り出した・・・。


「・・・まぁ、またな。」


「・・・。・・・うん。」

背中越しに少しうつむき気味のナギが映った・・・。


――――入室後

・・・席に向かうまでもなく、友人が飛び込んできた。


「おいサク、どーだった?」

・・・笑みを浮かべながら。


「まぁ・・・仲直りはできたけど。・・・なんでそんな嬉しそうなんだ。」


「え、そりゃーもちろんサクのことを気にしてたからだよ。」

友人の笑みが増す。・・・目を閉じるほどに。


「・・・まぁいいけど」

私は目をそらしていた。


「あ、そいやサク。結局ナギちゃんとなんで喧嘩してたの?」


「・・・分からん。あの後聞いてみたけど、教えてくれなかった。」

・・・視線が落ちる。


「え、あーでもナギちゃんならそうかもねー。」


「・・・え?」

うすら笑いを浮かべる友人。・・・私は横目にみていた。


「ま、頑張ってねー。」


・・・席に戻っていった。表情は変わらないまま・・・。


「・・・どういうこと。」

私は窓の外に目を向けていた・・・。



――――放課後

「サク、またなー。もう喧嘩すんなよー」


「・・・。またな。」

・・・教室を後にした。


(・・・。)

・・・廊下を抜け下駄箱へ向かう。・・・その時


「・・・?」


下駄箱の前で佇むナギが目に入った。


「ナギちゃーん。今から帰り?」


話しかける生徒。ナギの様子は・・・見えない。


「え、あ。そうなの?・・・じゃーねーナギちゃん。また明日ー。」


・・・ナギはまだ佇んでいた。


「・・・ナギ?」


「・・・。」

少し不満げな顔が目に入る。そして――――


「でも、こんどは・・・――――」


「・・・?」


「――――・・・。知らない。 」


「・・・え」

・・・ナギは上履きを履き替えに向かった。


「・・・何してるのお兄ちゃん。」


「あーごめん。・・・帰るか。」

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