#2
――――十一年後
小学校最後の年・・・時間だけが過ぎていった。それに――――
「ナギ。起きろ・・・危ないぞ。」
・・・眠そうな妹。
「・・・わかってるって・・・。」
いつもの表情が映る。・・・視線は合わない。
「・・・あっ、」
妹の歩幅がズレる・・・。これで何度目か・・・。
「だから言っただろ・・・」
「・・・。」
視線だけが向けられる・・・が、また背けられた・・・。
「気をつけろよ・・・。」
・・・また歩みを進める。妹を尻目にして・・・。
――――校門、行き交う生徒、そして・・・半歩後ろの妹。
「・・・ナギ、授業中に寝るんじゃないぞ。」
「はぁ・・・はいはい・・・。」
・・・抜けた返事が返ってくる。相変わらず視線は合わない・・・。
「・・・じゃあまたな。」
・・・そして教室へと向かった。妹の後ろ姿を横目にして・・・。
――――放課後
・・・教室を出て下駄箱へと向かう。・・・その時――――
(・・・ナギ?)
・・・妹が一人で佇んでいた。
「・・・っ――――」
「あ、ナギちゃーん。いっしょにかえろっ。」
・・・妹に話しかける生徒。・・・普段見ない表情が映る。
(――――・・・。)
・・・私は下駄箱を後にした。生徒に紛れるようにして・・・。
――――帰宅後
・・・廊下を抜け、リビングに入る。・・・ランドセルを片手にして。
「・・・あ、おかえりサク。」
「・・・ただいま。」
ランドセルを放し、・・・ソファに腰を下ろす。
「・・・サク?・・・なにかあった?」
「・・・なんでもない。」
「・・・そう?」
私はただ部屋を眺めていた。・・・母の言葉に背を向けて。
「・・・ただいまー。」
・・・妹の声。
「・・・おかえりー・・・ナギ。」
「・・・。あ、今日の夜ご飯ってなにー?」
「えーとね・・・今日はハンバーグにしようかな・・・」
「・・・ほんとに?楽しみにしとく。」
・・・妹はリビングを後にした。
「・・・。」
――――夕飯後
・・・自室に戻りベッドに腰掛ける。そして――――
「嫌われてるのかもな・・・。」
・・・天井を眺めていた。
(・・・前のナギとは――――)
・・・沈黙が流れる。
(――――・・・違うのかもしれない。)
・・・ベッドに体を預けた。
(・・・それでも――――)
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