――――七年後

・・・社会人三年目・・・あれからの人生は何も変わらなかった・・・


「・・・次は・・・B市・・・B市です。」


・・・窓の外を眺める。誰もいない車内だけが映る・・・。


(・・・。)


・・・同じ職場、変わらない人間関係・・・。でも――――


「まもなく、B市・・・B市です。・・・お出口はー・・・」


・・・虚無感だけがいつも隣にいた。



――――静まり返った部屋、見慣れた家具、そして・・・


「・・・てのニュースです。A市で起きた脱線事故から・・・」

・・・テレビの雑音。


(・・・。)


・・・ベッドに体を預け、天井を眺める・・・。


「・・・あの時のことを忘れてさえいなければ・・・今も・・・。」


・・・立ち上がり、テレビを消す・・・。喪失感に背を向けて・・・。


(・・・寝るか)


そしてまたベッドに体を預けた・・・意識が遠のくのを感じながら・・・。



――――いつかに見た天井、無機質なベッド、そして・・・


(・・・どうして)

・・・近づく足音。


「・・・あ、おきてたのね。サク・・・――――」


「・・・ァーゥー・・・ァー・・・」


「ふふっ・・・なにか言ってる・・・かわいい。」

私はだき抱えられていた・・・そして何も伝えられないまま――――

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