#5
――――翌朝
差し込む日差し、蝉の鳴き声、そして・・・少しの倦怠感。
・・・二度寝を諦め、リビングへと向かう。
「・・・あ、サク。おはよう。・・・休みなのにはやいのね。」
「・・・あー、寝れそうになくって。・・・もういいかなーと。」
「・・・そう?・・・休みの日ってそういうものよね・・・。」
母は苦笑いを浮かべている。・・・私の瞼はまだ重い。
(・・・もう少し寝るか。)
かすむ視界の中、ソファへと向かった・・・。が――――
(・・・え)
妹がいた。穏やかすぎる寝息をたてながら。
(・・・まさか昨日からそのまま――――)
「・・・あ、サク。ナギなら朝からそこで寝てるわよ・・・。」
「そう・・・みたいだね。」
(――――・・・寝てたのか。)
・・・ソファの端に腰を下ろす。そしてそのまま眠りについた・・・。
――――鳥の鳴き声、照らされたリビング。そして・・・
「あ、おにいちゃんやっと起きたの?」
「・・・え?」
・・・昼過ぎを指す時計。
「・・・おにいちゃん・・・もしかして忘れた?」
(いったい何を言って・・・)
思考に沈黙が流れる・・・はずが――――
「あ、すぐ用意する。マジごめん。」
・・・言葉が先に出ていた。
「・・・アイス。じゃあ、チョコバニラのアイス。」
横目気味に話す妹・・・知らない表情だ。
「あー、わかった。・・・後で行くか。」
・・・ナギの表情が少し和らぐ・・・そして――――
「ぜったい、絶対だからね・・・。」
・・・微笑みを浮かべている。視線は逸らしたまま・・・。
――――蝉の鳴き声、横向きのリビング、そして昼前を指す時計・・・。
(・・・。ゆめか・・・。)
体を起こし、あたりを見渡す。・・・妹は足を縮めていた。
「あーおにいちゃん、やっとおきたの・・・。」
「あぁ・・・おはよう。」
夢の出来事が引っ掛かる・・・妹から視線が外せない。
「・・・なに」
「いや、今日って何かあったっけ・・・」
少しの沈黙が流れる・・・そして――――
「・・・なに言ってるの。」
「だよな・・・。」
妹から視線を外す・・・そしてソファを後にした。
――――数時間後
昼を過ぎ、日が差し込み始める。・・・ヒグラシも聞こえる。
「ただいまー・・・。」
・・・キッチンに向かう母。買い物から帰ってきたようだ。
「あ、サク、ナギ・・・アイス買ってきたけど、食べる?」
「・・・たべる。ちなみになんのアイス?」
ソファーから起き上がる妹。・・・足元はふらついていた。
「ふふ、チョコモナカ。はい、どーぞ・・・。」
「・・・。ありがと。」
少しうつむき気味に受け取る妹。・・・でも、表情は和らいで見えた。
「・・・あ、サクもどーぞ。」
「・・・ありがとう。」
穏やかな時間が流れる。モナカの冷たさが染みるほどに・・・。
「・・・ごちそうさま。」
そしてリビングを後にした・・・。
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