第23話 「未来で待ってる。」
第23話 「未来で待ってる。」
(I’ll Be Waiting for You in the Future.)
「……ねえ、あなた?」
「……ん?どうしたの?アルテイシア。」
「私……まだ信じられないの。地球のみんながもうすぐ……」
それはある静かな夜だった。
空には月もなく、ただ静けさだけが森の中にひっそりと佇む、三人が暮らす小さな家を包んでいた。
夜も更け、居間の木製テーブルの上でいつもの元気を完全に失くしている彼女の右手を、プルーデンスは優しく握って言った。
「アルテイシア、分かってるよ。だけど、君はどうしたいんだい?」
「君自身は、地球が眠った後どうするの?」
「私……自身?」
「うん。ノエマももうすぐ5才になる。僕も自分なりに考えてはいるんだ。この子をいつまでも、なにが起ころうとかならず。護りぬくんだってね。」
「君は、『 観測者 』としての責任を最後まで果たしたんだ。そして今、ノエマにその力は完全に移行しつつある。」
「僕は……出来ることならこの先も家族でずっと……三人で……」
平静を保てなくなったプルーデンスは、
ふいに彼女の胸にそっと抱きよせられた。
「あなた……大丈夫だから。」
「ッ……」
「フィデリスや、他のたくさんの惑星からもきっと……」
「いや……彼らは『 私とノエマ 』を、なにがなんでも見つけ出そうとするわ。この『 秘宝 』を必ず取り戻しにね。だから……」
「私は戦う。」
「本当はすっごく怖い。けど……ノエマを守るためなら、私は何者にでもなれる。」
「だから、あなたが私の分も……勝手だけど、ノエマのこれからを見守っていてほしいの。」
「アルテイシア……」
「君は……本当に……それで、良いの………?」
「私だって本当はいやよ?出来るなら、戦いたくなんかない。」
「……フィデリスに帰って、三人でずっと……
仲良く暮らしたいよ。」
「だったら!!……このまま……」
窓の外に視線を移してアルテイシアは言う。
「だけどねプルーデンス。
私はここが……地球が好きなの。」
「だから、なんとしても守りたい。」
「ノエマのこと、あなただけに任せるのはちがうと思う。……だけどーーー
「アルテイシア……」
「分かってイーー
次の瞬間ー
ル。
視界が真っ暗になって
『 僕 』が消えて無くなっていく………
xヨ……3y?z……?bbボ…5……0………olくku…4……gハ……1……
黒よりも『 暗い色のどこか知らない場所 』で
『 存在そのもの 』が大きく揺らいで、なにかもっと大きな所へと僕の記憶を連れていく
その時は分からなかったんだ
だけど、その瞬間に『 闇色の海 』は
僕たち家族を……
いや違う。
『 地球の全て 』を飲み込んでいたんだ。
△▽ △▽ △▽ △▽ △▽ △▽ △▽ △▽ △▽ △▽
途切れかけたプルーデンスの意識が
再び浮上するーー
「ッッはぁああぁああっ……!!!」
「あなた!?……プルーデンス平気?」
「アル……0テイシア……?0ぼくは、
……0なにが…起こ……っ……0」
そして、ぼくの意識は……また……ーー
「……?!」
「あなた!…… もお、急いで!!」
アルテイシアは荒れ狂う『 闇色の海 』の中を飛び出し、娘と夫を抱えて紅色の光の線を引きながら、真っ黒い空を猛スピードで飛んで行った。
△▽ △▽ △▽ △▽ △▽ △▽ △▽ △▽ △▽ △▽
「………ス………」
「……デン……ス!」
「プルーデンス!!!」
ばちこーん! と、彼女の追撃ビンタを喰らい続けている内に、プルーデンスの意識がまた呼び起こされる。
「アルテイシア?……ノエマも……
ここは……一体?」
「そんな悠長に話してる場合じゃないの!!あなたもちょっと……すこしは手伝って……」
「……よおおっ!!!」
ガラガラガラ………ベシャッ
「いたい!……あーもお、なによ!」
プルーデンスは一体なにが何やら分からずにいると、彼女はその入り口を無理矢理こじ開けた反動で尻もちをついた。
「追っ手がここに来るまでに、あなたはなんとしても時間をかせいで。わたしは、
……この子を未来に送る。」
そうして、眠り続けるノエマを背負った
アルテイシアとプルーデンスは、古代遺跡の中へと入っていった。
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