第22話 クソ真面目

第22話 クソ真面目

(Dead Serious)

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 星はまた巡り。


 その時はーーーーー

 『100万と少しだけ前 』に遡るーーー


△▽ △▽ △▽ △▽ △▽ △▽ △▽ △▽ △▽ △▽


 「……あでっ!」


 「あ、アルテイシア?!」


 若かりしプルーデンス・シェレトワレは

(ノエマ0才、父29歳)、頭を突然工具のような物で殴られた。


 「ええ〜……僕また、なんか……

やらかしたかい?」


 彼が話すそのちょっと乱暴な相手こそ、

ノエマの母親ーー


 「なんかしたかい?……じゃないわよ〜〜〜!!コレじゃあ全部台無しじゃない!もおー!」


 地球に来てから約3年後の、

ーーアルテイシア=ノエシス・リュクシエル

(母26歳)その人であった。


 「………!!」


 二人は今、とある作業に

かかりっきりになっていた。


 アルテイシアは、娘のノエマ(0才)を背負ったまま電子機器の調整に夢中になっていた。その額には玉汗が浮かんでいる。


 かたやプルーデンスもまた、苦手ながらも一生懸命にその役割を果たさんとしている。


 彼女に言われたように、複雑な配線や電子回路をつなげる。そして彼はそれをもう始めから全部間違え、彼女にその頭をハンダごての『 ごて 』で、殴られたのであった。


 すんでのところで彼の命を救ったのは、他でもない二人の愛娘であるノエマだった。


 「あー……だあだあ。」


 「「うっ………」」


 「「可愛い〜〜〜〜〜〜!!!」」



 小さな研究室には、親バカ心MAXな二人の声が響き渡った。


△▽ △▽ △▽ △▽ △▽ △▽ △▽ △▽ △▽ △▽


 「……ふう。これで、いいのかい?

アルテイシア。」


 「うん……ちょと待って……」


 「まず、んーと……神経回路ニューラサーキットがこうで……」


遺伝子情報流動装置ジェノフラックスの次に脳波伝導部セレウェイブ……で、」


「最後はこうなってて……記憶保管ユニットアニマアーカイブに行き着く……から……」


 「プルーデンス……」


 「は、はい!」

 『また怒られせちゃったらどうしよう…」』


 「……今度はバッチリ!上出来よ!」


 「はあああ〜〜〜。良かったあ。」


 「だあ、まああ」



 そうして三人は無事、

 『 Project PRUDENCEー∞ 』

 (プロジェクト・プルーデンス・インフィニティ)


 『 プルーデンス完全記憶体計画 』

 を着々と進めていた。


△▽ △▽ △▽ △▽ △▽ △▽ △▽ △▽ △▽ △▽


 ーーーそしてついにその日が来た。


 「プルーデンス……多分、大丈夫だと思うけど……。ヤバかったらいってね?」


 「え?ええ??多分って……さっき君『 絶対失敗しないし大丈夫だから、私に全部まかせときなさい! 』って」


 「いってた……いってましたよね。たしか……」


 アルテイシアは舌をちょっとだけ出して、悪戯っぽく彼に向かってウインクした。


 ガチャコンッ


 「ぎゃああああああ〜〜〜!!」


 「……っ……?!?

 ふえぇ〜〜〜〜〜〜ん!!」


 父と娘は、絶叫した。


△▽ △▽ △▽ △▽ △▽ △▽ △▽ △▽ △▽ △


 「こ、これは……!」


 「アルテイシア!すごいよ!だって

完璧に……僕だ。」



 アルテイシアが『 AIとプルーデンスの身体 』を『 再構築 』させ、完成されたその装置を使って『 完全なる記憶体 』として生まれ変わった自分の両手を見つめながらプルーデンスがそう言った。


 「でしょ〜?すごいでしょ!だから言ったじゃない?私に全部まかせなさいって。」


 超ドヤ顔のアルテイシアは誇らしげにそう言って、母性あふれる大きな胸の上でノエマをあやしている。


 「プルーデンス!それと、

こんなのも出来るわよ?」


 ポチッと、彼女が端末を操作すると突然プルーデンスのとなりに『 もう一人の男 』が現れた。


・+♦︎。°。°+•・.•:〜.✴︎✳︎❇︎✳︎✴︎


 「だっはっはっは〜〜〜!」


 アルテイシアは『 その男 』の姿を見るなり、

大声で笑い出した。


 「ちょっと待ってよ。……これ……まさか、

もう一人の……僕?!」


 「はああ、くるしい。だめ。待って……ふう。」


 「はあ……すっごく、あなたに似てるじゃないプルーデンス……そうよ!」


 「でもまずは、プルーデンスの顔を設定し直さなくちゃ……ぶふっ!」


 アルテイシアとプルーデンスの足元にいる『 もう一人の彼 』の姿は、プルーデンスとは似ても似つかない『 グルグル丸メガネでチョビヒゲのハゲ上がった小っちゃいおじさん 』だった。


 小ちゃくてちょっと可愛いその『 妖精みたいなおじさん 』は、呑気に詩を歌っている。


 「アルテイシア!こんなの全然似てないよ!僕じゃない……ちゃんと設定し直そうよ。」


 「わかった……ふふっやっぱだめ。……今はむり!」


 「ったく。君は、しょうがないなぁ……。」


 「うー、だあーあー」


 「ほら、ノエマももう一人のあなたがすごく気に入ったっていってるじゃない?」


 「そんなことってあるかい?!ノエマまで……」


 「きゃっ!」


 と、まだ幼いノエマが

そんな父の反応をみて笑った。


 こうして、不死の『 完全なる記憶体 』として生まれ変わったプルーデンスと『 ホログラム体として再生可能となった彼の記憶 』を、アルテイシアとプルーデンスの二人は、ついに完成させたのであった。


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