第3話
どの街にもある大型スーパー。
店舗入口のキッチンカーから立ちのぼる香りにふらふら誘われつつも、今夜は
栗色っぽいセミショートの髪に、厚い二重まぶたの可愛い系美人。やや小柄で痩せ型ではあったが、手足は長くなかなかに良いスタイルをしている。
「おっすー
開口一番そんな感じで話しかけたからか、
「あんたどんだけ人参苦手なのよ……。さっきの話通り、買ってないってば」
ほら、と買い物カゴを
「いや一応中身チェックさせて。カゴの中ににんじん隠し入れていないかどうか」
「……一応って。わたしはクスリの運び屋か」
「ふふん、何事もリスク管理が大事なんですよ」
ふたり——
高校卒業後、藤咲は大学進学を、
学生からすればそういった進路の違いは、一般的にそれまでどれだけ仲がよかろうと疎遠になりがちなものだったが——ふたりの場合は、違った。
おなじ「地元」ゆえに、ふたりの生活圏はこれまでと変わらず重なったままで縁は切れず、というかむしろ、卒業後の方がそれまでよりずっとずっと深くなった。今となっては、ほとんど毎日顔を合わせる仲である。
「一人暮らし」というより、四捨五入すればもうほとんど「同棲」といった方が正しいまであるふたりの生活スタイルである。
それゆえに
実のところ
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