リザードマンに転生した俺、路地裏底辺から竜を目指す
猫又竜之介
第1章 迷い猫横丁編
第1話
「お、トラ兄だ」
「また
「今度の相手は……トカゲかにゃ?」
近くにいた
「どっちにいくら張る?」
「情報は後で売れる、ちゃんと見てろよ」
ひそひそと
荷運び帰りの
「また騒ぎかよ……でもまあ、ちょっとだけな」
「
「トラ兄が本気っぽいにゃ!」
こうして、あっという間に半円形の人垣ができあがった。
つぎはぎだらけの板壁。雨どい代わりに渡された太い縄。そんな雑多な風景の中心で向かい合っているのは、青黒い
「おいトカゲ。挨拶代わりにひとつ、“竜の力”とやら、見せてもらうにゃ」
トラが両の拳を打ち合わせる。使い込まれた革のナックルが、乾いた音を立てた。
太い尻尾は、せわしなく左右に揺れている。その面構えは、因縁をふっかけるチンピラそのものだ。
太郎は内心で冷や汗を流していた。
(やばい、完全にヤンキーだこれ……!)
だが、ここで退くわけにはいかない。
震えそうになる膝に力を込め、わざと低い声を作ると、芝居がかった仕草で腕輪をはめた右手を突き出した。
「フッ……よかろう。猫ごときが竜の
トラはにやりと笑い、観衆に向かって両手を広げる。
「聞いたかおみゃえら! この
ざわっ、と野次馬たちの空気が変わる。
「
その叫びが、合図だった。
色も柄もさまざまな
「「「
唱和が、狭い路地に反響した。
店の軒先で様子を見ていたクロは、「また面倒なことになったにゃ」と苦笑し、カウンターの奥から顔を出したミケは、深々とため息をついた。
トラは腰を深く落とし、ナックルに魔力を込める。
「上等だにゃ……! ここが誰のシマか、思い知らせてやるにゃ!」
拳が赤い
「くっ……これこそが、孤高の試練……!」
「……ほんっと、めんどくせえ性格してんな、おみゃえ」
トラは次の瞬間、地を蹴った。
四方八方から「やっちまえトラ!」「パンチ食らわせるにゃ!」と歓声が飛んでくる中、“迷い猫横丁”名物の
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