第2話 長距離ツーリングから帰宅して……

少し遡り入社して2年目くらいのことです。友人から中古の250ccのバイクを買って、その友人らと3人で北関東から北海道にロングツーリングしたことがあります。


まだバイクに乗り始めてツーリングに慣れていなかったのが災いしたのか……


行きはまだ元気で良かったんです。5日目くらいですかね。帰る時は別行動で。私は一人北海道南部の実家から函館に、そこからフェリーで青森に、青森から関東まで東北道を南下……全行程孤独でバイクを走らせました。


独りだと無理しちゃうんですねえ。

青森から8時間くらいかけてほぼノンストップで関東の自宅(社員寮)まで帰って来たんです。


初心者ライダーなのでまだ高速で速度をあまり出せずに、ひたすらトラックなどに追い越され雨にも降られ、神経をとがらせながら丸一日運転してきました。寮に着いた時は疲労困憊で。体は冷え切っていて……


5階の508号室です。

よろめきながら服を脱いで、まずはシャワーを浴びようと浴室に行きました。


熱いシャワーを浴び始めました。

そして数分後、例のやつです。

目の前が暗くなり始め、耳が遠くなり……


この時は機内よりも深刻でした。

浴室で裸なので倒れたら怪我をしそうでしたし、何よりお湯に当たりっぱなしなので、心臓が心室細動とか虚血性心疾患とかにかなりそうで(これはマジでヤバイやつだ)と直感しました。


何としてでもお湯を止めねばならない!


私は落ちそうな意識を必死に保ち、蛇口に手を出そうとしますが、なかなか届きません。いやあ、朦朧としながら動くのってあんなにたいへんだとは思いませんでしたよ。シャワーを止めるのに1~2分かかったと思います。とにかく何とかシャワーを止めることはできました。


次です。湿度100%の浴室でそのままダウンしているのも結構まずいと思いました。それで今度は浴室からの脱出を試みました。朦朧とした意識はさらに酷くなりつつあります。私は匍匐前進で浴室を必死に這い出ようとします。


5分くらいかかりましたかね。ワンルームの中央まで裸のまま這いずって行きましたよ。そこで(死ぬかも……)と思いながら気絶しました。


30分くらいしてからですかね、目が覚めましたがグロッキー状態は続いていて、起き上がる事さえできません。私は悩みました。119番したい……けど、電話に届かん。声は出せるかも。


両隣は空き部屋。真上の階の608号室には女子(同じ会社の後輩)がいるけど呼ぶか? そこでハッと気づきました。自分は今丸裸です。これを彼女に見られるわけにはいかない。ターミネータ2のシュワちゃんじゃないんですから。 


私は泣く泣く自力回復を待ちました。


なんとか1時間くらいで動けるようにはなり、それからベッドでひたすら寝ました。

12時間くらい。ようやく回復しました。



(教訓2)

ツーリングやドライブ、登山などで無理をしないようにしましょう。マジで命に関わります。疲れている時のお風呂やシャワーは要注意です! 血圧が一気に下がります。


さて、なぜこんなエッセイを書こうと思ったのか次話で明らかになります。

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