第2話 訪問

 ──Rる。の住むマンションの前に着き、高級マンションを見上げる2人。
 
 


 Kがマンションを見上げながらRに話しかける。


「えっ?ここ……よね?Rる。さん、カウンセラーらしいけど、ここ、普通の人が住めるようなマンションやないことない?」


 
 
「何かねー、Rる。さんがお付き合いをしている事実婚の人が、飲食店のオーナーさんらしいのよね」



 なるほど……

 


 俺は納得して、マンションに入りエントランスの、Rる。さんの部屋のチャイムを鳴らした。



 "ピンポーン"

 


「はーい、今、入口を開けるわね」
 
 



 Rる。さんの可愛らしい声が聞こえてきて、オートロックを解除してもらった。


 煌びやかなデザインのエレベーターに乗る2人。


 エントランスもガラス張りで高級感があり、ため息が出る。
 



 KがRに質問をした──
 



「Rさんはお嬢様やけん、こういうマンションは慣れとん?」


 笑顔で答えるR。
 



「うん、お友達とか皆んなこういうマンションや、お家にエレベータが付いている所に住んでるよ」
 



 俺は何だか場違い感があったが、とにかく今日を楽しもうと思った。



 エレベーターがRる。の住んでいる21階で止まった。


 通路も高級感があって広くて開放感がある。


 ───Rる。の部屋の前まで来てインターホンを押すK。
 



 "ピンポーン"
 



「はーい」
 



「え!?」
 




 俺は部屋の扉を開けたRる。さんの容姿に驚いた。

 Rさんから聞いていたRる。さんの年齢は俺より1つ下の42歳なのに、扉を開けた女性はどう見ても20代前半から中盤の女性にしか見えなかったからだ。


 
 
「あ、お姉さんいらっしゃいますか?」
 



 俺は、お母さんと言おうとしたが咄嗟にお姉さんに変えた。
 



 Kの言葉にRが笑った。
 



「あはははは、もー、Kちー、笑わせないでよー。その人がRる。さんよ笑」
 



 Rる。も笑っていた。
 



「あははは、未だによくコンビニで年齢確認とかされるんですよ」



 確かに下手をしたら未成年に見えなくもない……

 


「それは、されそうですね笑 あっ、初めまして」
 



「初めまして、Kさんですね。何だかRちゃんが言っていたイメージ通りだわ」
 



「ねー、Kち、Rる。さん、すんごく可愛いでしょ?」



 Kは即答した。

 


「うん、めっちゃ可愛いね」



 Rは頬をふくらませている。

 


「こらー!笑」
 



「「あはははは」」
 



 3人は笑った。
 俺はRさんとRる。さんが歳の近い姉妹に思えた。しかも美人姉妹にだ。


 Rが話し出す──
 



「ねー、だからKちを、Rる。さんに合わせたくなかったのよねー」

 


 KはRの目を見つめながら──
 



「俺はRさんの内面に惹かれたんよ?安心して」
 



「えへへ、ありあとー」
 



 それを見ていたRる。が言った──
 



「やれやれ、早速、人の家の入口で惚気だしたわね」



 KとRは慌てながら。


 
「「ち、違うよ!違います!」」
 



「息が合うわねー」
 



「「あはははは」」
 



 俺はとても楽しい気分だった。



 玄関の奥に、俺は見覚えのあるキャラの巨大なフィギュアを見つけた。


「うおおおおぉ、エンバリヤンやん!しかもデカい!」


 Rる。さんがフィギュアのことを説明してくれた。


「これはね、少し奮発して買っちゃったんです。大好きなアニメだし、普段、本やゲームくらいにしかお金を使わないから」


「へぇー、でもそいう使い方いいですね」


「でしょー。さぁ立ち話もなんだから席に座ってお茶でも飲みましょ」



 ☞ ☜



 そう言われてダイニングテーブルに連れられて来た2人。


 Kは思っていた。


 部屋までの廊下もセンスのあるデザインで、落ち着きがあってとてもいいな。


 ダイニングテーブルも高級感が漂っていて、席の座り心地も抜群だ。


「わぁー、素敵ねー!」


 Rさんのテンションが上がっているのが分かる。こういう時はRさんも、河田の事件のことが忘れられている気がして俺も嬉しい。


「そういえば彼氏さんは飲食業だと今日はお仕事ですか?」


 俺は少し男性が苦手なのもあり聞いてみた。


 俺が男性が苦手になったのは学生時代のいじめからだ。


「そうなんです、オーナーだから休みは自分で選べるんだけど、中々休まないんですよねー」



 俺はRる。さんの話を聞き、まだバイトと執筆の少しの仕事とで両立している自分と、Rる。さんの旦那さんとの差を、恥ずかしく思っていた。


 俺だけまだ、大人になりきれていないと思ってしまった。43歳なのに……


 その様子を見ていたRが、Kの肩を叩きなかがら。


「KちはKちだから、全然大丈夫よ!Kちに何もなくても、RはKちの事、だーい好きだからね!」



 Rさん、君はなんで俺のこんな気持ちまで分かってくれるんだ……


 それを聞いていたRる。が──


「隙があれば惚気けるわねー」


 Rは慌てて、手を振りながら弁解する。


「もー、そんな事ないよー」



 12月の初めだが、窓から優しい日差しが部屋に入り込んできて、心は温かい3人だった。

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