我が麗しのRさん໒꒱番外編໒꒱何度生まれ変わっても
七瀬 錨
第1話 上京
俺は運命なんて信じていなかった。
人生はただそういうものだと諦めていた。
君に出会うまでは。
Rさんとの出会いはコロナ禍の2021年、2月、某有名SNS上での事だった。俺は作家を目指し
「K」というアカウント名で2日に1回程のペースでショートショートを投稿していた。
反応はイマイチ、でも、まぁ慣れていた。それなのに君は俺のショートショートに興味を持ちコメントをしてくれた。
☞ ☜
──この出会いから数ヶ月で俺とRさんには様々な事があり、結果的に付き合う事になった。
また、この出会いから2年数カ月後の5月に俺は本格的に作家を目指し、コロナの感染対策も緩くなっていく事もあり、Rさんの住む東京に愛媛から上京した。
そして念願のRさんと夢の同棲生活を送っている。
今は12月で肌寒くなってきたから俺はRさんとコタツに入って温まるのが大好きだ。
とは言っても幸せな事ばかりではなく、2年前に河田がRさんを襲った事件で、Rさんは心に傷を負い、今も心療内科に通院をしているのだ。
☞ ☜
──2人で借りたマンションはRの職場、パラダイスイーがある新宿の近くにある。結構、高い家賃だが、多くをRに払ってもらっているから、Kは少し肩身が狭かった。
部屋のインテリアはRの趣味で、可愛らしさとクールさを融合させた、中々味わい深いものでKも気に入っている。
☞ ☜
今日はRさんの推しで、2人が出会ったSNSで詩を書いているRる。(あーるる。)さんに会いに行く予定だ。彼女は心療内科でカウンセラーとして働いていて、Rさんの通っている心療内科とは別の病院だが、プライベートでサポートをしてくれている。本当はRる。さんにカウンセリングをしてもらいたい、Rさんだが「男性恐怖症」を治すことは、Rる。さんの専門外な為、違う病院に通っている。
「ねぇねぇ、Kちー、この服と、この服どっちがいい?」
俺はRさんからの呼び名が「Kさん」から「Kち」に変わっていた。
「んー、どっちも似合うけん、迷うよな……、でも、その「Kち」ってケチみたいやない?笑」
「えー、そんな事ないよー。R、めっちゃ気に入っとんのにー」
Rさんは時々、愛媛の方言を喜んで使うようになっていた。
「Rさんは、その白い方が可愛いかも」
「ねぇ、いつまでRを、さん付けで呼ぶのよー」
俺は中々、Rさんに対して呼び捨てを出来ないでいた。でもそれは、とても大切に思っている裏返しでもあるんだ。
"チュッ"
「わぁっ!!」
Rさんが背伸びをして俺の左頬にキスをしてきた。
その柔らかな唇に頬が溶けてしまいそうだったが、嬉しさを隠しながら。
「こらー!!」
"チュッ"
俺も少し前かがみになり、Rさんの右頬にキスをした。
「こらー!!」
「「あははははは」」
いつまでも君とこうしていたいな。付き合い初めて2年以上経つのに、まだ出会った頃のように大好きだよ、Rさん……
──今日会うRる。さんは東京に住んでいて、しかも俺たちのマンションの近くに住んでいるから会いやすくて有難い。
☞ ☜
KとRが、Rる。の所に遊びに行く準備を終えた。
Rが慌てながらKに言う──
「ごめーん、もうこんな時間ね」
慌ててマンションを出る2人。
そして、2人は駆け足で駅まで行き、電車に飛び乗った。
「いっつも、Rさんは準備が時間ギリギリやん」
呆れながらも穏やかに話すK。
「えへへ、ごめんね、でもでも、Rる。さん家どんな感じだろうねー」
Rる。の住むマンションがある駅に着き、スマートフォンの地図アプリを見ながら肩を寄せ合い歩く2人。
数分歩いてKが呟いた。
ここかな……
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