第2章
第26話 正体
その会議には退院した
「まず、新たに発見された
「な、なるほど。
「大まかにはそうだが、今回の場合、神器を所持していた人物が暴走するという非常事態が発生した。これについて、
七瀬が狗骨に視線を向けた。
「了解。その暴走した子の遺体を調査した結果としては、七瀬の予想通り、神器に込められた怨念に体を支配されてしまったと考えて良いと思う……」
「つまり、迎のときのように廃人になってしまう場合と、今回のように暴走してしまう場合があるということですか?」
灰音が狗骨に質問をした。
「いや、今回は特殊な例だと思う。神器の怨念を受けてしまったのが術者、それも怨念を自分の力に変える霊魂術を持った人物だったから暴走してしまったと、私は推測している……」
「怨念の力で自分を強化する霊魂術、確かに
「うん。単純に怨念に対する耐性があるだけでは、暴走状態には至らないと思う。それに、そもそも神器が含有する莫大な怨念は、耐性などで受け切れるものでもない……」
流石は怨念に詳しい狗骨である。
「ありがとう、狗骨。刻に関する報告はこの辺りで十分だろう。さて、本題は誘拐された術者である
「はい。神器を狙う集団の中に、琥珀ちゃんの姿を確認しました。また、誘拐状態というわけではなく、仲間の一員であるような雰囲気を感じました」
つまり、脅迫されているようには見えなかったということである。
「しかし、私はあの場所で自身の姿を変化させる幻覚術者を目にしている。斑琥珀本人であるとは、言い切れないのではないか?」
「私に認識阻害は効かないので、本人で間違いないと思います。もちろん、洗脳されている可能性は否定できませんが……」
「……なるほど。ありがとう、灰音。そして、斑琥珀を攫った集団について、追加の調査でわかったことがあるようだ。
「は、はい。
他者の肉体に憑依するような霊魂術は、刻のような自動操作とは違い、手動であることから、より自由度の高い動きが可能になる。しかし、その分、同時に複数の人物を操作するなどはできないと考えられる。
「そのような術に何か思い当たる節があるということか?」
「は、はい。過去の資料を調べてみたところ、その特徴に一致する『
灰音たちが神器の回収に向かっている間、椿たちは直霊の情報庫に籠っていたらしい。
「聞いた覚えがあるな。椿、それは誰の霊魂術だ?」
「あ、あの、『
「ん?」
ここで、皆も事の重大性に気づいたようだ。
「待って、椿。左近家って、四家の左近家!?」
「う、うん……」
「四家と同じ術を持つ人物、つまり子孫か?」
もちろん、四家の術と特徴が偶然一致している可能性もないわけではないが、限りなく小さいものであるだろう。
「……でも、これまで四家の残党狩りの中で、子孫がいるなんて情報は一つもありませんでした」
「四家の残党と当主の子孫は別々に動いているのか? しかし、その理由がわからない」
当主の子孫がいるならば、その子孫を二代目当主にして、当時の復活を狙うことを考えるのが普通である。
「ちなみに、左近家に子孫がいるとしたら、他の四家の子孫も警戒する必要がありますよね?」
「もちろんだ。そして、四家の子孫たちが徒党を組んでいるのが、斑琥珀を連れた集団だとしたら──」
「考えたくもないですね」
直霊の創設者たちは四家を各個撃破できたからこそ、戦いに勝利したと言える。もしも、四家が互いに協力していたら、戦況は火を見るよりも明らかである。
「でも、出生性別を考えると、四家当主全てに継承者がいる可能性は低いのではないでしょうか?」
「というわけでもないと思う。確かに霊魂術は女児にしか継承されないという事実があるけど、それは正しい表現ではないかもしれない……」
「どういうことですか?」
「霊魂術の継承がそもそも性分化の前に生じるものだという見解がある。胎児の最初は全て女性という話は聞いたことがあると思う。そして、強大な四魂の移動がそのときに起きると──」
「乱入してきた強大な四魂のせいで、男性に変化できないということですか?」
狗骨が無言で頷いた。つまり、霊魂術が女児にしか継承されないのではなく、霊魂術を継承した時点で女児であることが決定されるという解釈の方が正しいかもしれないのだ。
「とにかく、左近家以外の子孫も警戒する必要があるだろう。椿、他の四家が持つ霊魂術について、改めて情報を求む」
「は、はい。えっと、まず『
屍索累誄は、生者の記憶を読み取る霊魂術とは違い、対象が自害したとしても、確実に情報を得ることができる点が凶悪だと考えられる。
「次に、『
つまり、
「最後に、『
「……そうか。妙な話だな」
四家の暴れ具合を考えると、多少は記録が残っているのが普通である。
「最後に今後の話だが、椿の情報によって斑琥珀を連れた集団をより放置するわけにはいかなくなった。そして、その集団について唯一判明しているのが、神器を狙っていたということだ」
「とりあえず、
「そうだな。何か情報がないか、話を聞きに行くだけでも価値があるかもしれない」
こうして、次の目的地が決定した。
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