券咲かえでの可能性に賭けてみたんだ③

金曜日の夜、寝る前に保湿ケアをしながらデッキの最終確認をしていたかえで。


来ているパジャマの色はスカイブルー、しかもカードゲーマーだとは世の常識は固定概念によく縛られているのがわかる。


「うーん、これでいいんだけど。新しく買ったパックの一括合成カード、ルールブック読んでもうーんだし。章介君は凄いよね。理解度が新幹線並みに速いんだから」とある一括合成カードを見てにらめっこし

「あ、このカード、可愛いな これとこれ交換でよし、明日上手くいくといいな」と眠りについた。



岩下戦以来の試合に、章介は一括合成カードのパック、通常カードデッキを購入したミックスデッキの再編をしていながら、小川や岩下のことを思い出そうとしたが、やめた。


「うん、枢機卿ビターオペラ、いいカードだ」と切り札のリードカードに決め、再編を終了した。


(翔琉、俺はまた歩き出すよ)

(見守っていてくれ)




そして、北千住タワーの特設会場にて、簿記札協会の若手ベテラン審判員が座り、暮村が主審を担当する。


「今回のルールは7課終了資金40000スタートで決着のゲームになりますが、質問はありますか?」


「大丈夫です。ありがとうございます」

「暮村主審、よろしくお願いします」

「よろしくお願いします。では取引を開始してください!!礼」


簿記札練習試合が開幕した。第一課は先攻のかえでから


「まずはこの子から、持札から当座預金減少を提示」


当座預金提示、相手の当座預金を3000減らす。


「マジかよ、いてえな。初手にしては上手いな」

「初手から飛ばさない、まずは体を温めないと」

「モノとハサミはいいようだな、次は俺だ」

「ドロー」

「よし、これから出すか 俺は売掛金2000を提示」

(お互い偵察カードを出して、様子見 しかし、47位の子にしてはらしくない老練ぶりね。誰か助言した可能性も)と英恵は観察する。


役員達が騒ぎ出し、「ランキング基準を変えるか」、「変える必要ないだろ!」、「勝負を舐めている」と場外乱闘がバチバチに高まっていたが、周藤は

(かえで君の認識を改める必要ありだな、暮村流石だ)と分析と採点をしていた。


木田37000.かえで38000と数値が変動し、第二課へ


「第二課からキャラカードを使う!来い グリフォンの司法取引」

「え、今それを」


「グリフォンの司法取引、グリフォンシリーズで唯一禁止にならなかったカードよ。パックに入っていた」

「グリフォンの司法取引、確か説明には」


グリフォンの司法取引 グリフォンシリーズ、大資産、資産管理がゲームバランス破壊につながる危険から禁止扱いされたが、司法取引だけは制限指定扱いまで留まった。


提示された場合、お互い22000資金を払う


木田15000 かえで16000


「木田君、馬鹿 ここでそれ使いますか!」

「主審、今の発言は」

「わかっています。全く」

「主審を暮村君には早すぎたのでは勝沼さん」

「いや、私に言われても最終裁可は会長があ」

「もういい!私がやる」

「待ちなさい、君達」

「!」

「!」

「か、会長」

「続けなさい」

「は、はい」

「会長が声を出すとは」

「珍しいな」


(サンキュー、会長)

(やっぱりランキング47位だから不満が出るの、おかしいよ)

(かえで、外野を気にし始めたのか。仕方ないな、声出すか)


「あの、みなさん」

「木田君、今は取引中だよ」

「すぐ終わりますから、これを言わせてください」

「不満があるなら、帰っても構いませんよ。俺、観客のビールのつまみにされる気ないですから、それにかえでさんへのリスペクトが全くないです。俺は黙ってやりたかったんです。彼女のプレイヤーへの可能性に敬意を評して」


「ふざけるな!木田 貴様は三ヶ月前の」

「黙れ!若造」

「帰れ!帰れ!帰れ!」と観客や役員が帰れ!コールすると、暮村がキレた。


「じゃあ、帰んなさいよ!」

「暮村君!」

「この練習試合はね、二人が観客はいらないと言ったの 初めはしかし、会長が提案したのよ。私は見たい 見たいから足を運んだとね」


暮村の発言に帰る人が続出したが、会長と役員の一人尾生沢だけは残った。


「会長、英恵さん、尾生沢さん ありがとうございます」

「よ、良かった」


審判団から「棄権しますか」と聞かれたかえでは「やります。大丈夫です」と返答する。


そして、第三課、第四課をカードを貯める宣言をして、周りがざわつく


「まさか、あのカードを使う気」

「ほほう、謹慎明けの身分にしては肝が座っているね。嫌いじゃないよ。おじさん」

「会長!全く それにしても木田君は巻咲さんを誘っているのか。カードを貯めないで消費するプレイヤーばかり見たから疑心暗鬼にもなるが、いやまさか一括合成カードの準備か それから、合点がつく。しかし、若くないな老練な監督の采配みたいだ。このゲームをまだ理解出来ない人間ばかりなのが明かされた今回の練習戦 いや本試合扱いだ」と尾生沢の解説が饒舌になる。


(尾生沢さんは理解が早いな、かえでも一括合成カードのために時間を作った。なら、面白い!やっぱ相手はこうじゃないとな!)


第五課 かえでの番


「仕方ないな、時間を稼いで!雷雲予報師」

「雷雲予報師、確か提示されたら自分の課を1つ増やせるやつか。上手い」

「褒めてもお駄賃は出せないよ」

「金は自力で掴み、稼ぐもんだぜ。それに忘れてないか、俺が待っているカードを」

「え、まさか!」

「そのとーり、揃うんだよ持ち札の教皇にマッチするペアリングが」


第六課 かえでの番に一括合成カードの素材が合わず断念し、スキップ


第六課 前半手 章介の番で、運命の輪を引き当てた。「やった、来たぜ!新入りの運命の輪」

「引きも強いのか、流石戦巧者だな」

「木田君、運も味方にした。頑張れ、かえでちゃんまだチャンスはあるわ!」


「余裕ぶっていると痛い目見るよ」

「いや、確信さ これが俺の新たな旅の始まりを告げる相棒のペアリングは揃った いでよ!枢機卿ビターオペラ!!!」


教皇 資金30000と運命の輪10000を一括合成したビターオペラが君臨 合計一括合成費収入で40000 80000がプラスされた。


95000となった章介の勝ちは確実か、いや、かえでの眼は炎を宿したまま諦めていない。


「来てくれたビターオペラほどじゃないけど、バディを呼ぶペアリングが揃った」


つづく


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