【詩集】ノスタルジー望遠台より

須田釉子

1月:静かな海

人も街も存在しない

遠い遠い昔のこと

一匹の首長竜が水面で

ゆらりゆらりと遊んでいました


深く静かな夕焼けが

大きな大きな首長竜を

そっと優しく照らしている

のどかな春の日の夕暮れでした


うつろで悲しい目をした

大きな大きな首長竜は

誰にも気づかれないように

ゆっくりゆっくり燃えていきました


後に残ったのは 焼け焦げて

真っ黒に染まる 一つの影

月が静かに見つめている

静かな海での出来事です

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2025年12月20日 17:00
2025年12月27日 17:00
2026年1月3日 17:00

【詩集】ノスタルジー望遠台より 須田釉子 @sudayuko

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