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「にじゅう…え、何の数字ですか」
「年齢だよ年齢。25だよな?」
「はい、そうですけど…それが何か?」
確かに私は上司の言う通り、数カ月くらい前に誕生日を迎えて25歳になった。
華の25歳ですよ。ピッチピチですよ。
しかし私のそんな問いかけに、上司が驚いた口調で言った。
「何かって、お前もしかしてニュース見てないのか!」
「ニュース…?すみません、基本テレビは見ないもので」
「バカやろ!最近話題になってる殺人事件だよ!25歳の女性ばかりを狙う殺人犯!」
「!」
「昨日、この近所でまた25歳の女性が殺されたらしい。同じ犯人とみて間違いないってよ。お前今日、残業禁止だから。25歳の女性社員は全員、当面の間残業禁止」
上司はそう言うと、今やってる仕事は何が何でも定時に終わらせろよ、と無茶すぎることを言ってその場を後にした。
「ええ~…」
******
「お先に失礼します。お疲れ様でした」
その後。定時になった途端、結局終わらなかった仕事を強制的に上司に取り上げられ、私は会社から追い出された。
「お疲れ。ついでに昨日のミスも家でしっかり反省するように」
なんて言われて、今はその帰り。
…本当にこれが連続殺人事件に関する帰宅なんだろうか。
昨日「お前なんかいらねぇよ」と言われてしまった翌日だからか、何だか本当に私なんて必要なくて追い出されてしまったような気さえ感じてしまう…。
「…はぁ」
しかし、思わずため息をついてしまったその直後。
私は昨日出会った黒間さんからの名刺の存在を思い出すと、それをスマホの手帳ケースのポケットから取り出した。
本当は早く帰って自宅待機しなきゃいけないんだろうけど、心理カウンセラーに会うだけなら平気よね。
黒間さん、このあと時間あるかな。会ってくれるかな。
私はそう思うと、思い切って名刺に書かれてある番号に電話をかけてみた。
「……あ、もしもし。黒間さんですか!?」
…………
「…───ハイ。じゃあ、今夜19時に」
そう言って電話を切った直後、スマホをスーツの内ポケットに仕舞い込んだ。
今日は昨日と違ってブラックのスーツ。
たくさんの人が行き交う交差点を渡ろうとした直前に、男はいきなり背後から何者かに声をかけられた。
「あの、すみません。ちょっとよろしいですか?」
「?」
男が振り向くと、目の前には自分と同じくスーツをきた男が2人立っていた。
「…何か?」
男がそう訊ねると、目の前の2人の男がそれぞれに警察手帳を見せながら言う。
「警視庁捜査一課のものですが、5分だけお話をお伺いしてもよろしいですか?」
最恐連続殺人犯「黒魔恐一」 みららぐ @misamisa21
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