第4話
「死ね死ね〜♪」
肩にラスを載せて、村へ向かう途中。
魔女は楽しげに歌いながら歩いていた。
村に到着すると、空気が異様だった。
どうしてか、人々は彼女を避けるのだ。
カタシェのことを魔女と呼んでいる。
名乗ってないのになぜ知っているのか。
ちょっと話を聞きてみたくて、
近くにいた人に声をかけようとした。
「ひっ」と短く悲鳴を上げて逃げた。
次の人も、その次の人も同じだった。
無条件に人から恐れられるのって、
すごく魔女っぽいなって気が付いて、
彼女は闇雲に人々を追い回すことが
少しずつ楽しくなり始めていた。
「ちょっといいかな」
逃げ惑う人々で遊ぶ彼女が振り向くと、
真っ白くて顔の無い得体の知れぬ奴が、
彼女の頭5個分高いところにある頭から
優しい表情で彼女を見下ろしていた。
「魔女っていうのは、君だよね?」
のっぽ男の長く白い服は影になって
純白からグレーのような色に見えた。
彼はそこに立っているだけなのだが、
その只者ならぬ風貌が異様に怖い。
まるで覆い被さってきているような、
起きたまま金縛りに遭うほどの圧迫感。
「ぁありが!ありがっ!」
「ありが?君はアリガって言うのかい?」
「死ね!殺す!ばーか!ばむぎゅ」
今までに習得した言葉を総動員して、
カタシェは意思疎通を図った。
しかし長身の男の手で口を塞がれて、
言葉はもごもごと籠りっぱなしになる。
「そのような言葉を使ってはいけないよ」
彼女は静かになった。
叱られていることを本能で悟ったのだ。
「いい子だね」
男は彼女の口から手をはなして、
もう片方の手を差し出した。
その手の平には飴玉が乗っていた。
カタシェはその飴を見つめた。
それから彼女は彼の顔を見上げた。
彼は優しく微笑んでいた。
ただ、彼女はその飴を受け取らず、
彼の脇を抜けて逃げ出した。
そのまま家まで駆け抜けて帰り、
ベッドに直行して毛布にくるまった。
そして、逆光で暗がる男の顔に浮かぶ、
あの怖かった微笑みを思い出して、
めそめそと泣いた。
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