光と闇の交わる場

Veroki-Kika

第1話 とある怪盗

ウーウーウー

けたたましいサイレンの音が、国立美術館の前にこだまする。

中では、警察たちが銃や剣を構えていた。

「出てこい!ルア・シャドウ!」

一人の男性刑事がそう叫ぶと、バンっとどこからか照明が高い位置についている窓辺を照らす。

そこに、一つの人影が映った。

人影はバッと手を広げ、高らかに叫んだ。

「俺こそは!ルア・シャドウ!今夜は星月石スペースリトルをいただきに参上した!」

凛とした声が美術館に響く。

月明かりがルアを照らして見た目がわかる。

黒い髪。真っ赤な目。胸にかけた銀色のネックレス。口元と背中を覆う黒いマントを翻し、少年はロビーに軽やかに降り立つ。

トンっと黒いブーツが音を立てて、大黒石の床について音を立てる。

「今日こそはさせんぞ!ルア・シャドウ!逮捕する!」

「よっと」

警部の手がルアの頭に振りかぶる。

それをルアは軽やかに避けた。

黒い髪がサラッと揺れ、黒いブーツが音を立てる。

とっとっ、どんな攻撃も、拳銃だってルアは軽やかに避けてみせる。

壁際に追い詰められる。

「これで終わりだ!」

「そうだね。もうすぐショーは終わりだ」

そう言って、くるっとバク宙をすると、反対側の窓辺に移動した。

右手を掲げると、そこには綺麗に光る石が。

青や紫などの様々な色に光って、丸く月明かりに照らされる。

それを見た刑事は目を見開いた。

「それは…!星月石スペースリトル!」

「いつのまにっ!」

警部たちが騒ぐなか、ルアは石を小さな四次元ポシェットにしまい、両手の親指と人差し指で長方形を作って目の前に掲げる。

「お前も、うかうかしていると皇室の宝まで盗みに入るぞ。ライト・サニースカイ」

向けた先には、金髪の少年が立って、笑っていた。

「おや、せっかくけいじにばけていたのに、君にはわかるんだね。ルア」

ボフンと煙が刺して、少年の服装が変わる。

「王子…!?」「なぜここに…!?」

周りの警察たちは一切気付いていなかったようで驚いている。

「さーて、本日はこれでショータイムは終了だ。それでは、またいつか」

ルアはそう言って礼をすると、マントを翻してふっと闇に消えていった。

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