第6話 勝利へのシュート
体育館のブザーが鳴り、決勝戦が始まった。
哲男はボールを持ちながら相手ディフェンスを見据える。
心臓がバクバクと音を立てるように早く打つ――緊張と興奮が入り混じった感覚だ。蒼人も横に立ち、哲男に短く頷いた。
二人の視線が交わり、無言で「いける」と確認する。
開始早々、相手チームの速攻が哲男に襲いかかる。
ドリブルで突破を試みるが、相手のディフェンスは堅く、簡単には前に進めない。
哲男の額に汗が滲む。
(焦るな、落ち着け……)
と心の中で自分に言い聞かせる。
その瞬間、蒼人がサイドラインから絶妙な角度でパスを送った。
哲男は一瞬のタイミングで受け取り、フェイントを入れてディフェンスをかわす。
観客席の紅葉は思わず手を握り、息を止めた。
雪兎も冷静を装いつつ、心の中で
「やるな……」
と呟く。白兎も黙って応援の拍手を送っていた。
試合は緊迫の連続。
哲男がゴール下でシュートを試みるが、相手のブロックに阻まれる。
蒼人は冷静に次の動きを考え、再びボールを哲男にパスする。
「ここで決めるしかない!」
哲男は思い切りジャンプしてシュート。
ボールがネットを揺らした瞬間、体育館全体から歓声が湧き上がる。
しかし点差はわずか1点。
残り2分で相手が再び攻めてくる。
哲男は息を整えながら、
「今度は絶対決める」
と心の中で誓う。蒼人が隣で声をかける。
「哲男、ここだ!」哲男は一瞬迷うが、即座に判断。
ディフェンスの間を縫うようにドリブルをし、ジャンプシュート。
時間が止まったように感じる――ボールは見事にゴールに吸い込まれ、再び歓声が炸裂する。
観客席の紅葉は立ち上がり、拳を振り上げて叫ぶ。
「すごい……!」
雪兎も思わず笑みをこぼす。
白兎も拍手を止められず、声を張り上げた。
「哲男さんも、蒼人先輩もすごい!」
ブザーが鳴り、試合終了。
ギリギリの勝利だ。
哲男と蒼人は握手を交わし、互いの汗を拭いながら息を整える。
二人の表情には安堵と達成感が混じっていた。
「これで王族に会える……!」
紅葉は心の中で叫ぶ。
音楽を復活させるための作戦はまだ先だが、この勝利が確かな一歩になったことは間違いない。
蒼人は微笑みながら、
「最後まで諦めなかった哲男の勝利だね」
と言い、紅葉たちに視線を送る。
試合の興奮が落ち着く中、五人は顔を見合わせ、自然と笑みがこぼれた。
勝利の喜びと次への決意が、一瞬にして心をひとつにする。
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