第5話 音楽を取り戻す決意
「そんなこと⋯。あるわけが⋯。」
最初に口を開いたのは雪兎だった。
半信半疑で、なぜそんなことが起こったのか全く分からない、という表情だった
しかし、蒼人は思い当たる節があるようだった。
「その女の子、花音っていうんだよね……。
音楽に関わっていて、しかもその名前。
もしかして、苗字は涼風だったりしない?」
その言葉に紅葉は驚く。
「なんで分かったの?」
蒼人がもう一度口を開く。
「えっと、その子、もしかしたら先王の娘かもしれない。」
紅葉と哲男と雪兎はその言葉にも驚く。
白兎にだけはなんとなく伝わったようだ。
今度は白兎が口を開く。
「王家に生まれた女性は、母方の旧姓を苗字として名乗るんだ。
そして、先王の正室の旧姓は涼風。
その娘の一人が花音なんだ。
ただ、分かっているのは――今は生きていない、ということだけだ」
紅葉は花音はもう生きていないということを知った。
だから自分にしか見れなかったのかわかり少しホッとする。
けれど、あの若さで死んじゃったという事実に、胸が詰まる思いだった。
「あぁ、でも良かったよ。この白兎の願いに答えておいて。」
蒼人がいたずらっ子のように笑う。
「僕、なんで音楽が禁止されたのか気になっていたからさ。その花音って人はおそらくその理由を暴く鍵になると思うんだ。」
(音楽が禁止された理由に、花音ちゃんが関わっている...?)
(だから、音楽を復活させてって願ってたのかな?)
(音楽を復活させてって言ってたのは、ただのお願いじゃなかったんだ……)
紅葉は急に音楽を復活させてあげたいという気持ちが大きくなっていった。
「私、音楽を復活させたい!」
急に紅葉が決意表明をしたのでみんなは驚きつつも、
「そうだね。頑張ろう!」
と言った。
3日後。紅葉の家には哲男・雪兎・白兎・蒼人の5人がいた。作戦会議のためだ。
「まず、復活させるためには王族の許可が必要だからどうにかして王族に近づかねぇといけねぇよな。」
そう哲男が言うと、蒼人が答えた。
「今回の大会で優勝すると王族の人が表彰してくれるんだよ。だから、その時でいいんじゃない?まぁ、優勝できれば、の話だけど。」
「そこは頑張る!」
気合だけは100パーセントの哲男に雪兎ははぁっとため息を付く。
「そう簡単にできるかなぁ?」
「できるできる!俺に任せろっ!」
と哲男は胸を張る。
「僕もいるし、大丈夫だよ。
あっ、でもなんで音楽が禁止されているのか知りたいから、まずそこからね。」
「僕を巻き込んだら必ずこうなるから。」
と蒼人が言う。
「あぁ、分かった!」
「でも、どうするの?」
と紅葉は首を傾げる。
「表彰式のあと、なんかパーティーみたいなのあるらしいんだけど、そこに王族も参加するらしいから、その時仲良くなる!」
そう哲男が言う。
そんなこんなで2時間後。
メモには
・バスケットボール大会で優勝する。
・哲男が王族と仲良くなり、音楽が禁止された背景を教えてもらう。
・その後にどうにかして音楽を復活させる。
ということが書かれていた。
「よし!頑張るぞぉ!」
「「「「おぉっ!」」」」
哲男の掛け声に四人の声が重なる。
5人は顔を見合わせて大笑いするのだった。
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