第2話 霧に消えた少女
その夜、紅葉はなかなか眠れなかった。
花音ちゃんのことが頭から離れない。
(花音ちゃん、何だったんだろう…。哲男には見えなかったって…。見える条件があるのか?それとも、そもそもいなかったのか…?)
時計を見るともう12時を過ぎている。
(はぁ、寝ないと…。でも気になって眠れない…)
布団にくるまりながら、紅葉は目を瞑る。
だが、眠気よりも不安が勝り、心臓が少し早く鼓動しているのを感じた。
いつの間にか時間が過ぎ、2時を過ぎてようやく意識が薄れていった。
翌朝、学校で紅葉は昨日の出来事を雪兎に話した。
「…ってことがあってさ」
「ふ~ん、不思議なこともあるもんだね」
雪兎は首を傾げ、考え込む素振りを見せる。
「何なんだろうね。哲男はともかく、紅葉は幻覚なんて見るタイプじゃないし」
哲男は少し不満そうに雪兎を見ていたが、真剣な表情の紅葉を見て口をつぐんだ。
しばらくして学校につくと、話題は変わっていたものの、雪兎はずっと不思議な出来事を考えていた。
「ねぇ、絶対ないと思うけど、その女の子、幽霊だったりして」
突拍子もないことを言う雪兎に、紅葉と哲男はきょとんとする。
「は?幽霊なんて、いるわけねぇだろw」
哲男は笑って否定するが、紅葉は心のどこかで、あながち間違いではないかも、と思っていた。
放課後、今日も紅葉は一人で南川へ向かう。
(今日も行かないと…眠れなさそう…。でも、眠い…)
南川に着くと、花音ちゃんが少し大きな岩に座っていた。
「花音ふぁーん…」
眠気のせいで「ちゃん」がうまく出ず、思わず変な呼び方になってしまう。
恥ずかしさを感じながら、紅葉は駆け寄る。
「花音ちゃん!」
花音は振り向き、いつもの笑顔を見せる。
「なぁに、おねぇさん」
紅葉は言葉に詰まりながらも、つい口を開いた。
「えっと…花音ちゃんって、幽霊…なの?」
花音は目を見開き、答えようとした瞬間、ふわっと霧が立ち込める。
その中から、10歳くらいに見える少女が現れた。
紅葉は声も出せず、ただその姿を見つめる。
「だ…れ…?」
少女は紅葉を無視して花音ちゃんに手を置くと、そっと抱きしめた。
「おねーちゃん!」
花音はその少女に抱きつき、少女もそっと背を向ける。
「あっ、待って…」
霧がさらに濃くなり、視界がかき消される。
気づくと、そこにいたのは紅葉だけだった。
紅葉は震える手で周囲を探す。
あの子たちはどこに…?
胸の奥がひりつくように痛く、しかしどこか惹かれるような、不思議で恐ろしい体験だった。
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