第19話 眠る我が子

 Side 紅月こうづき 蒼聖そうせい


 毎月のこの日、この時間に僕は彼岸ひがんさんのクラスメイトである政近京弥くんの『魔力制御』『魔力操作』について指導を行っている、指導をしてる理由はただの善意だ、彼にはからね

 どうやら今日は学校の授業で対魔隊員の方々が『能力スキル』や『身体強化』に『魔法』などを教えたそうだ、なので今日は特別指導として『能力』と『魔法』について指導した、僕は京弥くんの能力を鑑定し魔法を使ってみせた...どうやら彼はから興味を受けてるみたいだ、おかげでを得てしまったようだ...あまりこの力を使ってほしくはないが...彼が欲しいと願い得てしまったものなら仕方ない

 僕はそのまま京弥くんを見送り、公園の陰で僕達を見ていたアスターさんと共に既に手配された車に乗り込み彼岸さんが治療を受けている『碑之坂国際総合病院』を目的地として定め運転を開始した、暗い夜道を走っている車内の中で

「蒼聖様、彼岸様はお元気になられるのでしょうか...もう治療を受け2ヶ月程になります」

 どうやらアスターさんは彼岸さんのことが心配のようだ、あのとも言われていたライヒールくんの下で治療を受けているのだから僕と月智ゆえさんとしては安心だ

「彼岸さんが治療を受けてくれるかが僕達としては心配だったよ、でも受けてくれたのだから彼岸さんのは無くなるしあの頃のように元気になるよ

 でも一番の懸念点としては....『』と『』かな、魔力量に関してはこれからの成長次第では全盛期の僕や月智さんと同等もしくはそれ以上になるね、だからこそこの事が腐敗した政治家や外国の連中に知られることは阻止しなければいけないね」

「蒼聖様、ご安心ください私がこの身を呈してお守りします

 そのための私、私の存在意義は彼岸様の『』と家事等ですので」

 アスターさんは胸に手を当て微笑みながら言った、僕としては彼女には彼岸さんの心の支えになってもらいたいが.....

「蒼聖様、そろそろ病院に到着するようです」

 どうやら到着するようだ、だから僕は車内に置いておいた荷物をまとめて降りる準備をした、少しすると車は運転を終了しドアを開けた

「夜でも少し暖かくなったね、アスターさんはそっちの荷物を頼むよ」

「はい、わかりました」

 アスターさんは紙袋を二つ持ち停めていた車に指示を送り駐車場へと向かわせた

 僕達はそのまま院内に入りライヒールくんが待っている部屋へと向かった

「こんばんは、ライヒールくん

 そろそろ治療が終わると連絡を受けたから日用品等を持ってきたよ」

 部屋に入るとそこでは椅子にもたれ掛かっているライヒールくんが居た、どうやら彼は寝ていたようだ

「...ん?蒼聖様ですか、私が貴方に連絡をしたのは一昨日のことですよ?

 月智様と同じく随分早いですね....本当に仕事が多忙か疑いたくなります」

 どうやら月智さんは僕より先に来ていたようだ、だけど姿が見えない...

「ライヒールくん、月智さんは今何処にいるのかな?」

「蒼聖様、貴方はユエリ...こほん、月智様が今何処にいるか既に分かっているんじゃありませんか?」

「うん、そうだねただライヒールくん、君に聞いただけだよ」

 そのまま僕は荷物をアスターさんに預けて月智さんが居るであろう部屋...『集中治療室』に入室した、集中治療室の中では月智さんが淡い水色に光る『Cradle揺り籠』の中で眠る我が子に手を差し伸ばしながら

「彼岸よ、我はお主に酷い母親じゃよな....」

「月智さんが酷い母親なら僕は酷い父親ですね」

「....蒼聖よ、お主が来ているのなら声をかけてくれぬか」

 月智さんは僕を睨みながら言ってくる

「月智さん、確かに僕達はこの子に沢山のことを隠している、それで彼岸さんが僕達のことを内心酷い両親だと思ってても仕方がないことだしこの治療で彼岸さんがに戻ることだって知らない、目覚めた際にどんな事を言われても僕達は真摯に受け止めて謝ろう、そして彼岸さんに治療を受けることとなった理由を話そう」

 僕はそんな事を言いながらCradleに近づき中を覗き込んだ

 中には



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World memory  〜紡がれる思い出〜 鷹木三郎 @takagi112

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