第15話 力

 Side 政近まさちか 京弥きょうや


 放課後のチャイムが鳴りみんなが帰ったり部活をしたりする中、俺は毎日のように校舎裏にの為に持参した餌を持っていった

「はっはぁ!逃げろや糞猫!もっと逃げて楽しませろや!」

 この聞くのも嫌な声は....門崎とその取り巻き共だ、猫になにかしてると思い俺は校舎裏に駆けつけた

 俺が着いたときには門崎共が逃げてた猫を捕まえ壁へ投げつけようとしていた、俺は咄嗟に猫と壁の間に入り込み猫を身を挺してキャッチした

「あぁん?なんだよ『ランクD』の雑魚がたかが猫のために助けに来たのかよ、とんだ英雄願望だな」

 猫をキャッチした俺に対して指を指しながら嘲笑してくる

「門崎、お前だって知ってるだろ

 この猫は地域で保護している猫だぞ、勝手に傷つけるだなんてお前はそれでも人間!」

「なぁ京弥?俺は今あの森山とかいう雑魚のせいで頭にきてんだよ....

 だから、今からお前とその糞猫でになれ

 安心しろよ死なない程度にはすっから」

 門崎がふざけた提案をしてくる、こいつは頭のネジ数本かは抜けてるだろ

「お前のサンドバックになるだなんて嫌だな、俺は今からこの猫を病院に連れてお前等にやられたとこを診てもらわないといけな.....ガハッ!」

 俺が喋ってる途中に門崎が俺の腹に蹴りを入れてきた

「お前の意見なんて聞いてねぇんだよ、お前とその糞猫で俺の気が済むまでサンドバックになれって言ってんだろ」

 魔力を使い威圧しながら言ってくる

「ガハッ....門崎、だったらこの猫は見逃せ...俺がお前の気が済むまでサンドバックになってやる...から」

「なってやる?どうしてお前が上から言ってくるんだ、よ!!」

 またしても蹴ってくる、俺は腕の中に抱えてた猫を覆うようにして門崎の蹴りを受け止める

「はは!いい気味だぜ、散々俺のことを貶した森山と同じランクのお前を蹴るのはよ!お前等も気が済むまでやってもいいぞ」

 門崎の笑い声と共に蹴りや殴りを受け続ける

 俺にもっとがあればこんなことにはならなかった....


『京弥はこのヒーローみたいになりたいのか!

 がっはっは、お前は俺に似たのかもな!』

 そう言いつつ俺の頭を力強い手でワシャワシャしてくる

『うぅ、やめろよ俺を親父と一緒にしないでくれ!』

 親父の大きくてゴツゴツした手を頭からどかす

『でも同じようなヒーローになりたいんだろ?

 だったら体だけを強くしても意味はないぞ?真のヒーローは心が強くなければならないだもちろん体も強くないとダメだがな』

 そんな事を言いながら親父はニカって笑った

『俺でもヒーローになれるの?』

『ああ!なれるさ!まずは筋肉を付ける!心に関しては京弥次第だけどな!』

『親父、俺次第って言われてもわかんねぇよ...』

『がっはっは、いつかわかるから気にすんな』

 親父がまた俺の頭をワシャワシャと撫でる、そういえばもうとこんな会話をしていたな....


「はっはぁ!京弥!お前がこんなんだったらのお前の親父は過大評価されて惨めに死んだんじゃねぇのか?」

 門崎は取り巻きどもと一緒に笑っていた

「....黙れ...それ以上..親父を馬鹿に、するなぁぁぁ!!」

 俺は親父を馬鹿にされた怒りで立ち上がり門崎共を睨む

『力が...欲しい?』

 頭の中に響いたのは籠もった低い男性の声だ

 ああ!欲しいよ!みんなを守れるような力が!

『良いだろう....ただしこれはいずれ己を蝕み殺す...それでも良いか?』

 それでも良い!だから俺に力をよこせ!

「何睨んでんだよ...この雑魚が!!」

 俺へ殴りかかる門崎、だがその拳は俺に届くことはなかった

「あぁん?なんだよ?」

「門崎、それ以上やってみろ俺が許さねぇから」

 どうやら零士が門崎の振り上げた腕を掴み止めて俺を助けてくれたようだ、幸い貰った力とやらは使わずに済んだ

「チッ、気が済んだ、お前等行くぞ」

 と門崎は捨て台詞を吐きながらを零士の手を振り払い取り巻きたちを連れて何処かへ行った

「京弥、大丈夫か?ほら、立てるか?」

「...零士か、さっきはありがとう、ほら、お前も助けられたんだから礼一つでも言ったらどうだ?」

 俺は抱えてた猫を見せて言った、すると猫は『ニャア』と言い俺の腕の中から飛び降りた...病院に連れて行かなくても良さそうだな

「お前、猫を守るためにやられてたのか...怪我とかはしていないか?」

 零士は呆れたように言ってきた

「ははっ、このくらいの怪我で猫ぐらい守れないなんて魔物から人を守れないだろ?」

 俺は清々しい笑顔で零士に言った、そのまま俺と零士は別れを告げて帰った




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