第4話

「全部正直に答えればいいだけだから」

エリを呼ぶついでにそう告げる。

「正直に?」

訝しんだように彼女はそう言うがすぐに

「わかった」そう言い残して部屋に入っていった。


しばらくしてエリは部屋から出てくる。

「どうだった?」

「どうもこうも全部正直に言ってやったけどほんとに大丈夫なわけ?」

「たぶんな」

といいつつ一緒に部屋から出てきた警官に目をやる。警官は俺にこちらに来るように促す。

「まぁ内容はともかく質問に対する反応としては正常だね。精神的な問題も見られなかったよ。」エリに聞こえないようこっそりと耳打ちしてくる。

「そうですか。良かった。」

「君も大変だと思うけど頑張って」

「いえ、大変だなんて思ったことありませんよ。」

そういいながら俺はエリに目線を送る。してやったりと言うのが顔に出ていたのだろう。

はいはいわかったわよ。そう言いたげに彼女は肩をすくめた。


3人でもといた部屋に戻るとすぐにに女が1人入ってきた。スーツを着ている。事務員とかそんなところだろうか。その女は警官に何か書類を手渡しすぐに出ていった。

「組成検査の結果だ」

警官はそういいながら紙を2枚俺たちの前に出してきた。

「組成検査?」

「あぁ、向こうの部屋に行く前に組織をとらせてもらっただろう」

あの指先に軽く押し当てただけの検査のことだろうか。

「それで君たちの体のことがわかる」

「例えば?」

「年齢、病気、睡眠時間、酒やドラッグの使用歴なんかかな」

「へー便利」というよりはやりづらい時代になったもんだ。テクノロジーが身体も心もすべて丸裸にしてしまうなんて。

「それと、身体の機械含有量」

警官はそうつけ足すと、続けて、

「君たちは健康そのものだな。病気もなく、酒、タバコの使用歴も特になし 特に妹ちゃんのほうは綺麗に出過ぎてるぐらいだこんなグラフ初めて見たよ」

若さゆえかななんて警官は呟いていたが、つい先ほど作ったばかりの体なのだから当然だろう。

その後簡単な手続きを済ませた。一番の想定外は金が得られたことだった。子供への支援金と言う名目でエリに対していくらか振り込まれた。ちなみにここでは口座という概念はもうなくなっており、エリが持つ仮の身分に紐づく形での入金らしい。つくづく悪いことをしづらい時代にになったものだ。

「このご時世じゃ少ないかもしれないが一ヶ月分の生活費にはなるはずだ」警官はそう言うと

「何か困ったことがあれば何時でも訪ねてきてくれ。これからの君らの生活が平和に満ちていることを願っているよ。そしてようこそヤマトへ。」

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