12話 メリサ
♦︎過去
街外れの薬屋。
レンが風邪で寝込んだ為、シェルは慣れない店の中をそわそわと歩き回っていた。
そんな時、後ろから声がした。
メリサ「お連れの方、風邪かい?」
振り向くと、銀髪ショートに紫色の瞳の、美しい“女性”が立っていた。
だがその目は、妙に観察力が鋭い。
シェル「ああ、熱があるんだ。
今は車で休んでるんだけど、
半妖の連れってだけで病院にも行きづらくてな」
メリサ「ふーん・・・なるほどね。
それなら、僕が看病してあげるよ。医者じゃないけど医学に関しては精通してるから安心して。」
シェル「え!?いいの!?」
メリサ「うん」
シェル「ありがとう!!本当に助かるよ!」
♦︎キャンピングカーにて
しばらくして、メリサが手際よく調合した薬をレンに飲ませると、
苦しそうだった表情が次第に穏やかになり、静かな寝息へと変わった。
シェル「ありがとう。君のおかげで助かったよ」
メリサ「いいよ〜。
ていうか仲間って、そのレンって人だけなの?」
シェル「ああ、そうだよ」
メリサ「医者一人くらい仲間にしたらいいのに」
シェル「君、なってくれない?」
メリサ「いいよ。僕が仲間になってあげる」
即答。
シェル「え、本当に??」
メリサ「なんか楽しそうだしね」
シェル「ありがとう!!」
メリサはくすっと笑ったあと、ふと前髪を払う。
メリサ「ところで、僕、男なんだけどいいの?」
シェル「ん? 最初から知ってたよ」
メリサ「えっ、よく気づいたね?」
シェル「動き見てれば分かるよ」
メリサは目を細めて、シェルをもう一度見た。
メリサ「さすが半妖だね。洞察力に優れてる。
僕はメリサだよ。」
シェル「シェルだ」
二人はしっかりと握手を交わした。
その瞬間、シェルの旅に“医者兼スナイパー”という頼もしすぎる仲間が加わったのだった。
♦︎そして現在
シェルと逸れた時のこと。
フローナは崖から落ちそうになったが、何とか手で崩れていない部分を掴んだ。
レン「フローナさ!・・・ほっ・・今引き上げます」
しかし、そんなフローナの足元から敵が忍び寄る。
ぐおおっ!!!
ゾンビのような敵は唸り声を上げた。
フローナ「レンさん、ありがとうございま・・・ひぇ!?」
レン「フローナさん!」
メリサ「任せて!」
フローナ「!」
メリサがフローナの手を掴むレンの上から敵に銃を向けた。
バンッ!!!
一瞬で敵を撃退した。
メリサ「フローナちゃん捕まって!」
レンとメリサがフローナを引き上げた。
フローナ「ありがとうございます・・・」
レン「無事で良かったです。
それにしてもさすがメリサさんですね。あの状態から敵を正確に撃ち抜くとは・・・」
フローナ「本当、凄いですメリサさん」
メリサ「射撃なら任せておいて!」
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