7話 シェルの血
街の大通り。
ざわつく人々の声に、フローナたちが振り返る。
街の人「ねぇ、あのトラックの運転手、様子変じゃない!?」
見ると、トラックの運転手が意識を失い、ハンドルに突っ伏していた。
暴走しかけた車体は民家へと一直線。
メリサ「ちょ、やばくない!?」
フローナ「あのままだと民家にぶつかっちゃう!」
レン「あの男性、俺達が買ったたこ焼きの屋台の人ですね」
シェルは一歩前に出た。
シェル「お前らはここにいろ」
レン「まさか1人で止めに行くんですか!?」
メリサ「無茶だよ、何トンあると思って!」
シェルはニッと笑った。
シェル「俺を誰だと思ってんだ?」
そう言うと、力強く駆け出した。
街人A「きゃあー!!人が轢かれる!!」
街人B「何やってんだ危ないぞ!!」
シェルはトラックの進路に飛び込み、全身で受け止めた。
重量に押され、足が地面を削る。
フローナ「シェル!!」
それでもシェルは踏ん張る。
シェル「レン!コキア!タイヤを切ってくれ!」
レン&コキア「「了解!」」
ザンッ!!
二人の斬撃がタイヤを裂き、速度が弱まる。
シェル「メリサ!窓を撃て!」
メリサ「あいよ!」
バンッ!!バリィン!!
割れたガラスからフローナが身を滑り込ませ、中から扉を開ける。
気絶した運転手をメリサと共に引きずり出した。
街人C「今の見たか?」
街人D「すっげー連携技だったよな!」
街人E「うん!カッコよかった!!」
♦︎その後。
シェルは運転手を病院へと搬送する。
男性「うぅ・・・」
シェル「おっちゃん、半妖の血で良けりゃ分けてやる。どうする?」
男性「あぁ・・・頼む、妻を一人にはできない・・・」
シェル「分かった」
シェルは怪我で大量出血した男性に、自分の血を分けた。
ほどなくして、男性の妻が駆け込んでくる。
妻「ありがとうございます!本当にありがとうございます!!
あの、何かお礼をさせて下さい」
妻が涙を流して頭を下げる。
シェル「良いよ礼なんて。これ以上ここにいたら騒ぎになっちまうし、俺らは行くよ」
妻「せめてお名前だけでも!」
シェル「シェルだ」
♦︎数日後。
フローナがキッチンの椅子に弱々しく座っていた。
シェル「大丈夫か?」
フローナ「うん、ちょっと貧血で・・・」
メリサ「薬用意するよ」
フローナ「ありがとうございます」
と、その時。
チョンチョンっとコキアがメリサの肩を突いた。
コキア「メリサさん」
メリサ「どうしたんだい?」
コキア「僕、気付いたことがあるんですけど・・・
この間、隊長がたこ焼き屋のおじさんに血を分けてましたよね?」
メリサ「うん」
コキア「あの人、その後すぐ元気になってましたよね?」
メリサ「うん」
コキア「だったら隊長の血をフローナさんに分けたら元気になるんじゃないですか?」
シェル「それだー!!」
フローナ「え、でも怪我したわけでもないのに血をもらうなんて悪いよ・・・」
メリサ「何言ってんだい。貧血は立派な怪我だよ!」
シェル「そうそう。俺なら身体ちょー頑丈だから大丈夫だよ」
レン「まぁ、血を分けたら隊長も少しは大人しくなるかもしれないですしね」
シェル「わぁ、レンちゃん相変わらずキレッキレだね」
レン「ちゃんは辞めて下さい、ちゃんは」
♦︎血を分けている最中。
フローナ「シェル、ありがとね」
シェル「(ニカッ!)元気になるといーな!」
フローナ「うん」
フローナ(シェルは本当に優しいなぁ・・・)
♦︎15分後。
フローナ「すごーい!体軽ーい!シェルありがとう!
なんかね!体がすっごい軽いの!今なら何でもできそう!」
シェル「おーおー良かったなぁ。
俺は今ほど半妖に生まれて良かったと思った事はないよ」
メリサ「元気になって何よりだよ」
レン(この2人は日に日にフローナさんの保護者みたいになっていくな・・・)
フローナ「わーいわーい!」
レン「・・・」(ほわほわ)
自覚ないもの約1名。
コキア「?」
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