4話 金銭感覚

とある昼下がり。

5人は次の街で何をするか会議をしていた。

そんな中、ふと、フローナが不思議に感じたことを質問する。


フローナ「ずっと気になってたんですけど・・・

お金ってどこから出てきてるんですか?

誰も働いてる様子ないのに・・・」


その一言に、和室にいた全員がぴたりと動きを止めた。

そして、メリサが口に手を当てながら笑った。


メリサ「い〜い質問だ、フローナちゃん」


レン「隊長は自分をオークションに出したんですよ」


レンが腕を組んだまま、ひょいっと人差し指でシェルを指した。


フローナ「えぇ!?ほんとなの?」

シェル「ああ」

メリサ「ほんと無茶する人だよね」

シェル「人間相手なら逃げれる自信あったからな。

金だけ奪って逃げた。てへっ!」


メリサ「てへっ!じゃないよ!

自分たちの隊長がオークションに出されるなんていい気分じゃないんだからね!」

シェル「けど、そのおかげで一生遊んで暮らせるじゃん」

メリサ「う、それを言われると反論できない・・・!」



レン「それだけじゃないでしょう?」

フローナ「え?まだ何かあるんですか?」

レン「隊長は、単にお金を奪って逃げただけじゃないんですよ」

フローナ「それってどういう・・・?」


メリサ「ここからが本当にタチ悪いんだよ」

シェル「いや?普通のことだろ?」

メリサ「どこが!?」




♦︎

レン「相手はたまたま目の前にいた令嬢だったんですが・・・。

一目で隊長を気に入ってしまったんです。

なんでも“ルックスが好み”だったとかで」


フローナ「シェルかっこいいもんね」


シェル「えっ?そ、そう言われると照れるな」


レン「照れてる場合じゃありませんよ。

フローナさん、続きがあるんです。」


フローナ「何ですか?」


レン「最初は貴族達の間で3億、4億と値が上がっていったんです。

そしてついには8億になりました。」


フローナ「凄い・・・」


レン「俺もその辺りで止まると思っていたんですが・・・。この人、その令嬢に何て言ったと思います?」


フローナ「え?なんだろ・・・」


 

♦︎

シェルは悪い笑みを浮かべて・・・。


シェル「お姉さん、俺のこと買ってくれるよね?」


令嬢「12億! 12億出しますわ!!」



♦︎

レン「で、その令嬢がお金を用意した瞬間・・・

隊長が紐で縛り上げて金だけ奪って逃げたんです。」


フローナ「うわぁ・・・」


さすがのフローナもドン引きしている様子だ。


メリサ「僕もさすがにその時は呆れて何も言えなかったよ」

レン「一番タチ悪いのは隊長なんじゃないかって思いましたね。」

シェル「人身売買なんてやってる方が悪い。」


フローナ「なんか・・・とんでもない話を聞いてしまった・・・」

レン「この人、時々こういうことするから怖いんですよ」

シェル「使えるもんは使うだけさ」

メリサ「ま、結局その騒ぎに便乗して、

他の奴隷にされてた人たちも逃げられたらしいけどね」

シェル「え、そうなの?」

フローナ「ある意味すごい・・・」



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