第1話 リボンと結ばれた運命

人物紹介 


🎀舞ヶ咲 りうむ(まいがさき りうむ)

踊る事と可愛いものが好きなポジティブな少女。

星町町立勇話中学校の1年生で日々王道青春モノの様な日々を過ごしている。普段は髪を三つ編みにしているがドリーミアに入るとショートヘアになる。一人称は「りうむ」。


舞台紹介

・ドリーミア

不思議なアクセサリー「ドリームピース」通称「ドリピス」を使う事で行く事が出来る夢の世界。夢の為の施設が沢山あり、望めばどんな夢にだって出会える事が出来る。


___________本編


「___!?ここは、一体…って!髪がショートになってる⁉︎普段三つ編みなのに…。」けど髪が変わってる事など今はどうでも良い。どちらかと言うと髪はショートヘアにしたいと前々から思ってたから別にそれはいい。とりあえずここはどこ⁉︎そんな疑問がりうむの心を渦巻いた。そこであの店員さんの話を思い出す。『今貴方がお買い上げになられたドリームピース、通称「ドリピス」はこの地図に書かれている「ドリーミア」と言う世界に行く為の鍵となっております。』りうむは瞬時に察する。ここが現実とは違う夢の世界、ドリーミアである事を。とりあえず、分からない事だらけで何も出来る気がしないから一旦この世界の事を教えてくれる人を探す事にした。何処か遊園地の様な雰囲気があるから、そう言う職員さんもいるかも知らない。そんな独りよがりなちょっとした希望を持った。___しかし、やはりそうは上手くいかない。そんな事教えてくれそうな人はいなさそうだ。そうしてりうむは迷子になった。

「あの店員さん、もう少しここの事教えて欲しかったなぁ…」そんな事思っていたらとある施設の前に立っていた。「…『ミュージックドーム』?」とりあえず誰かいるかも知れないからそこに一旦入って見ると、入ってすぐ、大きなモニターに出迎えられた。そこに映っているのは楽しそうに歌って踊るペア。照明演出が凝っているので本格的なライブなのだろう。時折カメラワークの事情で映る観客達も凄く盛り上がっており、会場が演者と観客、一つになっていた。そんな時、急にステージが暗転した。「機材トラブル⁉︎」と一瞬思ったが、その後ステージの上から星が降ってきて演者がそれを掴んだ瞬間、会場にいる人々全てが星に導かれるかの如く上昇し、特殊なステージに映った。その後、星の光が演者を包みこんで、演者の服が変わり、光る。ステージには「dream fly!!」と言う文字が浮かぶ。会場は先程以上の熱狂に呑まれ、そんな空間から、目が離せない。「…凄い。」その一言しか出なかった。モニターをずっと眺めていると、「ライブが気になりますか?」と隣にいた水色の髪のポニーテールの少女に話しかけられた。「…?あなたは…?」「ウチ…あっ、間違えた。私はこのミュージックドーム案内人の代理を務めているヒロと言います。」りうむは驚いた。何故なら、そのヒロを名乗る案内人は見た感じ自分と同い年ぐらいの子であったから。「…えっと、あなた、何歳ですか?」「12歳、まぁ中1です。」「りうむと同い年⁉︎」りうむはヒロが何だか凄い存在に見えた。「まぁそんな事は置いといて」とヒロが話の流れを切り替える。そしてこうりうむに問う。「えっと、歌やダンスって好きですか?」… ここで、りうむはダンスが大好きだから「はい」と答える事が出来た。「なら、丁度良いですね。折角ですしライブしますか?」なんと、まさかのライブのお誘いを頂いたのだ。「…りうむが、ステージに立つんですか?」「はい」「…って、えぇ~~~~~~~~~~っ⁉︎」驚きのあまり大声を出してしまった。恥ずかしい。「イヤイヤイヤイヤ!まだりうむ、今日ここに来たばっかりであまりライブの事分かってないし、ダンス好きだけどホントに趣味程度だし、ムリムリ!まだりうむにはムリですよ!」やっぱり、「やってみたい!」と思ってもいざ「やってみたら?」と言われると緊張してしまうものだ。お誘いを断ってしまった。その答えを聞いてヒロはこう言った。「分かりました。また、興味が湧いたらいつでも挑戦して下さいね。」しかし続けてまた言った。「ここは望むならば何にだってなれちゃう場所。かわいくなりたいと思ったらかわいくなれるし、ダンスをしたいと思ったらダンスが出来る。…けれど、最初の一歩だけは自分で踏まないとダメだから。だから、いつでも待ってるからね」その言葉を聞いて、りうむの中の何かが動いた。"最初の一歩は自分で踏まないとダメ"。その言葉に、何かが変わった気がした。そうして、りうむはヒロに伝えた。「…やっぱり、ライブやらせて下さい!…1週間後に!」いきなり勇気を出すのはムリだ。けれど、1週間あれば勇気が出せる。そう思った。ヒロはそれに、「…分かりました。じゃあ、1週間後のこの時間にここに来て下さいね。」と答えた。りうむはお礼を伝えた。「!ありがとうございます!あと、もし今余裕があるなら…」ついでに帰り道とか、ドリーミアについてとか色々教えてもらい、その日は一旦帰った。

…それからりうむは1週間、歌とダンスの練習をしたり、ドリーミア内の施設である「ビューティーデパート」でライブで着るコーデをデザインしたり、ライブに向けての度胸をつけた。因みに、コーデをデザインする際、自身のブランドを持てるらしいので、りうむは「Particle Ribbon」と言うブランドを作ったりもした。


___1週間が経ち、ついにライブ本番。控室にて、りうむは椅子に座っていた。緊張で冷や汗が出る。平常心が保てなくなる。恐怖と心配が備え付けの陽気に勝る。ずっと「もし失敗しちゃったらどうしよう」とか考えていて、どんどん顔も青ざめていく。そんな中、「りうむさん、後3分程で出番ですよー。」と控室にヒロが伝えにきた。「ありがとうございます。…え〜っと、あの、」「?どうかしました?」りうむは自分の悩みを打ち解けた。「りうむ、ずっと不安な気持ちが収まらなくて。一週間一生懸命このライブの為に練習とかしたけど、それでもやっぱり完全な自信が持てなくて」「あの、ヒロさん。りうむ、ちゃんとライブできますか…?」ヒロは一瞬何か自分にも刺さった様な重い顔をしたが、落ち着き、目を閉じ、りうむにこう伝えた。「まぁ、一週間では自信なんてつく訳ないですよね、自信は積み重ねて作るものだから。」そして、続ける。「けれどね、『自信が持てない=ちゃんとライブが出来ない』と言う訳ではないし、そんな事あり得ない。今自信がなくても、きっと一回挑戦したらそれはりうむさんの成功体験として記憶に残って、自信になると思うんです。そうやって自信なんてつけていけば良いんですよ。」その言葉に、りうむの心の悩みはかき消された。「とりあえず、まずは一回挑戦!それで良いんじゃないですか?」「…はい、まずは一回挑戦してみます!じゃあ、そろそろ」「はい、時間ですね」りうむは緊張しながらその場に置いてある魔法のドレスルームへと向かった。そうしてこう言った。「ヒロさん、ありがとう!りうむ、頑張ってきます!」そうしてドレスルームにドリピスを示す。

「マイドリーム・エンゲージ!」そうドレスルームに向かって言うとりうむはドレスルームの光に包まれた。そうして、ドレスがどんどん変わっていき、ネイル、リップ、チーク、アイシャドウをして、折角なので決めポーズ。「ウェルカムワンダーランドコーデ!完成!」そうして、ドレスルームを抜けるとそこはステージだった。今日は初ライブなので最初に自己アピールをしなければならない。りうむは想像以上の大人数で埋まった会場に少し緊張するもそんな緊張を吹き飛ばすようにマイクに向かって叫んだ。「っあの、こんにちは!りうむって言います!好きなものはかわいいもの、好きなことはダンスです!まだまだ歌は初心者ですが、精一杯歌います!よろしくお願いします!」そう言った後、会場から歓声が湧き上がる。…そうして、曲が流れる。しかし、観客はライブ開始早々息を飲んだ。りうむの曲は最初イントロが挟まれる。合いの手が入るわけでもない。つまり、観客が心惹かれたのは他でもない、「ダンス」だ。りうむの持つかわいいのイメージと曲の持つかわいさとは裏腹に、りうむのダンスはキレがあり、とてもカッコいいものであったのだ。しかもそれは歌い始めてからもブレなかった。しかし、りうむはそんな観客の反応に目を向けていなかった。大好きなかわいい服を着て、大好きなダンスを全力で踊って、密かに憧れていたステージに立っていて、「これが、ライブ…!楽しい…!」りうむの心は終わりまで、ワクワクが止まる事はなかった。通常のライブで歌うのは曲の一番だけなのでライブは2〜3分程度で終わった。特にあの暗転の演出が入ったわけではないが、それでも、りうむにとって自分にとって新たなものを、新たな自信を持てた気がした。「あ、ありがとうございました!」そう伝えるとまた会場には歓声があがった。その後、控室に戻るとヒロが待っていた。「お疲れ様でした。良いライブでしたよ。」「!ヒロさん、見ててくれたの!?」「りうむさんをライブに進めたのは私だから、当然です。それよりりうむさん。」

「自信、持てました?」その問いに対するりうむの答えなど、一つしかなかった。「ッはい!そして楽しかった!また、いっぱいライブしたい!

色んな人にライブを見せてあげたい!」この時のりうむの心は希望で満ち溢れていた。これが、人々の心を繋げる希望のリボン、未来の一番星の目覚めであった。


りうむのライブの後、観客達がゾロゾロと会場から出てくる。「いやー、今日のライブ、凄く良かったくなかったか?」「分かる、あんなにかわいい雰囲気なのにダンスがチョーカッコいいのギャップ萌え過ぎるよね!」「私あの子推そうかな〜」「俺も俺も!りうむちゃん一生LOVEだよ!」そんな観客の会話が聞こえた。そんな中、とある1人の黒髪に青緑のメッシュを入れた少女は「あの子、他の子とは違う面白さを持っていていいな。明日のライブの後話しかけに行こうかな。」と考えながら、ライブの申し込みをしていた。その少女は、不思議なオーラを醸し出していた。

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Drears Fly High!!!!!!!!〜AquaRium StarS〜 @nu2shi2

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