概要
怒りと思いやり――それが、その私立探偵の全てだった
「それでも、誰も救わないよりは良い」
西暦2100年、エルフの嫌味な上司は定年退職せず、ドワーフの頑固職人がコスト度外視で道具を作り、ドラゴンの社長は癇癪を起こして社屋を火事にする……そんな大都市の片隅で、凄腕の私立探偵斎藤誠二は日々、ハードボイルドに依頼を解決していた。相棒は口うるさいのだけが取り柄のAI雪風と、サブカル狂いの態度だけは世界一の喋る黒猫(?)リーナス。ある夜、俺は「助けて!」とだけ記された謎のメッセージを受けとるのだが……
「誠二、この次回予告の八割は嘘です」
「おい雪風、出てくるな!」
「誠二よ……我は腹が減った。猫缶を献上せよ」
「そこのキャットフードでも食ってろよリーナス」
「嫌である! それと、我の説明は的外れもいいとこよ。貴様の言語化能力はその程度か?」
「…
西暦2100年、エルフの嫌味な上司は定年退職せず、ドワーフの頑固職人がコスト度外視で道具を作り、ドラゴンの社長は癇癪を起こして社屋を火事にする……そんな大都市の片隅で、凄腕の私立探偵斎藤誠二は日々、ハードボイルドに依頼を解決していた。相棒は口うるさいのだけが取り柄のAI雪風と、サブカル狂いの態度だけは世界一の喋る黒猫(?)リーナス。ある夜、俺は「助けて!」とだけ記された謎のメッセージを受けとるのだが……
「誠二、この次回予告の八割は嘘です」
「おい雪風、出てくるな!」
「誠二よ……我は腹が減った。猫缶を献上せよ」
「そこのキャットフードでも食ってろよリーナス」
「嫌である! それと、我の説明は的外れもいいとこよ。貴様の言語化能力はその程度か?」
「…
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!軽口で笑わせ、未練で刺す。新西京探偵譚。
『新西京アンダーズ ―斎藤誠二の事件簿―』は、サイバーパンクとファンタジーと探偵ものが、ただ賑やかに混ざってるだけの作品やないんです。
近未来都市・新西京には、異種族も魔術も企業支配も貧困も、ぜんぶが当然みたいな顔をして並んでる。せやけどこの作品のおもしろさは、その派手な材料を「設定の見本市」で終わらせへんところにあります。
主人公の斎藤誠二さんは、軽口ばっかり叩いてて、どこか気障で、いかにも信用しきったらあかんタイプの私立探偵です。
でも、その軽さの奥には、見てしもたもんを見なかったことにできへん頑固さがある。そこに、喋る黒猫リーナスと、毒舌で高性能なAI雪風が加わって、この三人のやり取…続きを読む - ★★★ Excellent!!!赤いコートを翻す貧乏探偵が挑む、サイバーパンク×異種の夜
赤いコートを翻す貧乏探偵が挑む、サイバーパンク×異種の夜
『新西京アンダーズ ―斎藤誠二の事件簿―』は、近未来のサイバーパンクな世界観に、エルフや吸血鬼、ドワーフといった「人外」の要素を巧みに融合させた、非常にユニークな探偵小説です。
物語の舞台は、遺伝子の「狂い」によって多様な種族が混在する巨大都市「新西京」。この無秩序で魅力的な街で、主人公・斎藤誠二は私立探偵として活動しています。彼のトレードマークである赤いコートと、貧乏ながらも日々の依頼に真摯に向き合う姿は、どこかコミカルで、殺伐とした世界観の中に心地よい人間味をもたらしています。
本作の最大の魅力は、その設定の妙にあります。薄暗いネ…続きを読む