第6話⋯【修学旅行編】—6人で見る景色、6人で作る思い出—

■■出発の朝、胸の高鳴り■■


修学旅行当日の朝、駅前は早朝にも関わらずざわざわとした空気に満ちていた。

大きなスーツケースを引く音、クラスメイトたちの笑い声、先生たちの点呼。

その中で、6人は自然と集まってきた。


【駅前】


楓「おはよう、みんな!わぁ……ほんとに修学旅行なんだね」


優太「おはよ。楓、その荷物めっちゃパンパンじゃん。どんだけ持ってきたんだ?」


楓「え、だって……女子って色々あるの!」


愛「うんうん、わかるよ!私もパンパン!」


明「愛、お前は遊ぶ気満々の荷物だろ。お菓子袋のほうが多いじゃん」


愛「え?……バレてる?」


百合「ふふっ、私も結構持ってきちゃった。輝くん、重い?」


輝「平気。持ってやるよ」


百合「ありがとう輝くん!」


6人のテンションは朝から最高だった。

担任が点呼を取る声に、わくわくが膨らんでいく。


■■新幹線の旅、6人だけの空間■■


指定席に座ると、6人が一列に並んだような形になって、

すでに“ミニクラス”のようににぎやかだった。


【新幹線内】


愛「ねぇ見て!修学旅行のしおり、色分けされてる。えらい!」


楓「ここ、班行動の時間は自由だって書いてある!」


百合「じゃあ6人で回るんだね!」


優太「もちろんだろ」


明「班のメンバーにして正解だったな。気を使わなくていい」


輝「まあ、うるさいメンツだが……楽しい」


そこからカードゲーム大会が始まり、写真を撮り、

お菓子を交換し、笑い続ける時間。


愛「はい、優太くんアウトー!罰ゲーム!」


優太「なんでだよ!俺そんな悪いカード引いたか!?」


楓「ルールだよ優太……ふふっ」


優太「楓まで……!」


新幹線は飛ぶように進んでいくのに、6人の時間はゆっくり流れていった。


■■京都到着、歴史と恋の気配■■


京都駅に到着し、6人は思わず歓声を上げた。


【京都駅】


百合「ひろーい……!京都ってすごい!」


輝「テンション上がりすぎ。……まあわかるけど」


楓「あ、バス来たよ!班ごとに乗るんだって」


明「6人で行動できるな。楽勝だ」


愛「じゃあ、まずは清水寺だよね!」


班行動の自由時間が始まり、

6人は観光地へ向かうバスに乗り込んだ。


■■清水寺、6人だけの景色■■


清水寺は修学旅行生ばかりで混んでいたが、

それでも6人は一緒に歩くのが楽しかった。


【清水寺への道】


楓「坂が思ったよりきつい……!」


優太「ほら、手貸す。いけるか?」


楓「あ……うん、ありがとう」


手をつなぐ二人を見て、愛と百合が「ひゅ〜」と冷やかす。


愛「ねぇねぇ、デートじゃん!」


楓「ち、ちがっ……!」


百合「いいなぁ〜、輝くん?」


輝「……あー……手、つなぐか?」


百合「つなぐっ!」


愛と明は苦笑しながらも、決して悪い気はしない。


【清水の舞台】


愛「わー……すごい景色!写真撮ろ写真!」


明「お前は写真撮ってる時だけ異様に静かだな」


愛「集中してるのっ!」


百合は景色に目を輝かせていた。


百合「ねぇ輝くん。ここからの景色……一生覚えてたい」


輝「……忘れねぇよ。お前と見たらな」


その言葉に百合の顔は真っ赤に染まる。


■■恋みくじとドキドキの時間■■


清水寺の敷地にある恋みくじを6人で引くことになった。


【恋みくじ】


愛「はいはい、全員引きまーす!」


楓「ちょっと愛、勝手に進めないで!」


愛「だってこういうのは全員やらなきゃ!」


明「まあいいけどな」


みんなが引き終わり、結果発表。


百合「私、大吉!やったー!」


輝「お前は運良すぎ」


百合「輝くんともっと仲良くなるって書いてあるよ!ほら!」


輝「読まなくていい!」


愛「私は……中吉?まあまあ?」


明「俺は吉。愛とならどれでもいいけどな」


愛「っ……そんなこと言うから……好き……!」


そして——


楓「あ……私、小吉……」


優太「そんなん気にすんな。俺と一緒なら大吉だろ」


楓「……うん」


恋の空気が少しずつ温かくなっていく。


■■旅館へ。6人の夜時間■■


旅館に到着すると、和室の香りが6人を包んだ。

クラスメイト全員での夕食、写真撮影、大騒ぎ。


そして——

自由時間になると、男子部屋と女子部屋に分かれ、

廊下での“密会”が自然と起こった。


【女子部屋】


百合「ねぇ、今夜なにする?」


愛「お菓子パーティーでしょ!」


楓「トランプもやろうよ」


3人は布団の上に集まり、

修学旅行らしい夜が始まった。


【男子部屋】


優太「なあ、女子の部屋行くか?」


明「行く気満々だな」


輝「まあ、どうせ来るだろあいつら」


ドアを開けると、女子側も同じタイミングで出ようとしていた。


愛「あ、来た!」


百合「やっぱ6人で夜更かしだよね!」


自然と廊下が6人の秘密基地になる。


■■夜の語り、6人の未来■■


旅館の廊下の窓から、京都の夜景が見える。


6人は輪になって座り、ただ話すだけの時間を楽しんだ。


【廊下】


楓「なんか……こうやって話してると、中学のころから変わらないね」


優太「いや、ちょっとは変わっただろ。身長とか」


百合「輝くんは性格がちょっと優しくなった!」


輝「おい、それ昔がひどかったみたいに言うなよ」


愛「明は……ん〜、前より表情柔らかくなった」


明「……お前のせいだよ」


愛「え?……うれしい」


ふとした沈黙が流れ、誰かが言う。


楓「また6人で旅行したいね」


百合「したい!」


愛「絶対したい!」


優太「夏とか、冬とか、どこでもいいな」


明「どうせなら全国回る?」


輝「お前ら本気なら、俺もつきあう」


6人の視線が重なる。

その一瞬が、ずっと忘れられない瞬間になった。


■■2日目、班行動の大騒ぎ■■


2日目は班別の自由行動。

6人は京都の街を全力で楽しんだ。


《二年坂・三年坂》


愛「見て見て!八ッ橋の手作り体験あるよ!」


楓「やりたい!」


明「じゃあやるか。俺不器用だけど」


百合「輝くんのは絶対破けそう」


輝「いや、やってみないとわかんねーだろ!」


わいわいしながら八ッ橋を作り、

食べ歩きをし、写真を撮り、くじを引き、

修学旅行らしい賑やかさに包まれた。


《金閣寺》


百合「金色が雪に反射して、めっちゃ綺麗……!」


輝「写真撮ってやるよ」


百合「二人でも撮って!」


輝「……はいはい」


《嵐山・竹林の道》


愛「竹の道って、写真で見るよりすごいね……!」


明「静かで落ち着くな。愛、こっち行くぞ」


愛「うん!」


《渡月橋》


夕暮れ、6人が橋の中央で立ち止まる。


楓「風が気持ちいい……」


優太「楓、肩冷えるぞ。ほら」


自分のパーカーをそっとかける。


楓「……ありがとう。優しいね」


優太「当然だろ」


6人は夕日を背に写真を撮った。

それは後で“修学旅行で一番の写真”と呼ばれるものになる。


■■最終日の夜、少しだけ切ない時間■■


帰る前夜。

京都タワーを見上げながら、6人は少しだけセンチメンタルになっていた。


【旅館前】


楓「もう明日帰るんだと思うと、なんか寂しいね」


愛「わかる……修学旅行、もっと続いてほしい!」


百合「帰りたくなーい!」


輝「子供か」


百合「えー?輝くんだって寂しいでしょ?」


輝「……まぁ、ちょっとだけな」


明「でも終わりがあるから、楽しいんだろ」


愛「明、それっぽい……!」


6人は笑い、最後の夜を噛み締めた。


■■帰りの新幹線、宝物のような思い出■■


帰りの車内、6人は写真を見返しながら自然と笑った。


【新幹線】


百合「ほら見て!輝くん変な顔してる!」


輝「お前が撮ったんだろ!」


愛「これ!楓と優太、ナチュラルに手つないでるの写ってる!」


楓「え!?い、いつのやつ!?」


優太「……別にいいだろ。もうバレバレなんだから」


楓「う、うん……」


隣で明と愛も話している。


明「写真多すぎ。愛、フォルダ作れ」


愛「『修学旅行・愛と明』って?えへへ」


明「……名前はそれでいい」


6人は楽しいまま、京都を後にした。


■■学校到着、だけど終わらない物語■■


夕方、学校に到着すると、

修学旅行の終了を告げる放送が流れた。


でも6人は、まだ終わっていないような表情をしていた。


【校門前】


楓「……すごく楽しかったね」


優太「ああ。また行こうな、6人で」


百合「約束だよ!」


輝「破るわけねーだろ」


愛「次は夏かな?海とか!」


明「どこでもいい。みんなで行ければ」


最後に6人でハイタッチ。


6人「また一緒に、絶対!」


その約束は、修学旅行の最後の思い出として心に刻まれた。


そして——


修学旅行は終わった。

だけど、この6人の物語はまだまだ続いていく。

恋も、友情も、青春も、

まだ誰も知らない未来が待っている。

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続・拝啓大好きな君へ 清ピン @kiyotani

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