04 よくある不遇なスキル授与 その4

 協会に来た。天井高い、広い、デッカいの三拍子揃った場所だった!……小並感? 学校なんて貴族の行く場所だから分かんないよ…


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──スキルの詳細を調査される──


 廊下は静かにしろって言われたので、黙って歩く。質の良くない靴のペタペタと鳴る音が響く中……幾つかあるドアを通り過ぎて、最奥のドアが見えて来た。


(何か……本当に広いんだなぁ……この建物)


 一番奥のドアに手を掛ける神父。


「……入れ」


「神父様は?」


「わしは此処ここまでだ」


 何で?……と思ったけど、ドアを開けたまま、身動みじろぎもせずに視線で促しているので、仕方なく歩き出す……


◆◇◆


「来たわね……そこに立って頂戴」


 中にはいると、挨拶も無しにイキナリ命令口調で指差し、水晶の設置してある机の前に立てと言われた。


「あの……届かないんだけど?」


 背が低い事が災いして、水晶の魔導具?……の所まで、ギリギリで届かない。


「……はぁ、仕方ないわね」


 キツイ性格っぽいお姉さんは、端に寄せられてた椅子を持って来て置いた。


「これに座りなさい」


「あ、はい……」


 丁度座れる位置に置かれたので、すんなりと座れたんだけど……今度は深く座るとまた手が届かないっていうね……うぐぐ、体格がががっ!


「はぁ……膝立ちしていいから!」


「あ、はい……」


 幸い、全て木の造りの椅子で土足で立っても問題無さそうだったので(汚れ的に)……スクっと足を組み替えて膝立ちして……ようやく水晶の魔導具に触れられる事になったのでした(苦笑)


◆◇◆


「じゃあ、そのガラス玉に触れて頂戴」


「え?」


「なに?」


「いえ、何でもナイデス……」


 水晶かと思ったらガラス玉らしい……いや、分かんないけど!


「此処に触れれば?」


「そう……間違えて押し倒したりしないで頂戴?」


 気を付けて触るようにしようと思いながら頷き、そ〜……っと触れる事にした。


「……ふむ?」


 隣で板のような物を見ながらお姉さんが首を傾げてる。


(……何が「ふむ」なんだろ?)


 姿勢を動かすとガラス玉?……が転がり落ちる悪夢を見そうなので、正面を向きながら視線だけ動かすけど……駄目だ。見えない……


「ユニークスキル……オールラウンド・フリーメイカー……ねぇ」


 ブツブツと呟く女性。タブレット大の半透明の板にはそれだけが表示されていて、それ以外に表示はない。


「……前例が無いという事か……」


 それだけ呟くと僕を見て、もう手を離していいと告げる。


「スキルはもう試してみた?」


「いや……」


「使ってみようとは思わなかった訳?」


「使い方、知らないし……」


「そう……」


 それだけ言うと、小声で(使えないガキね……)と……いや、聞こえてるんだけど?


「もういいわ。連れて来たオッサンの所へ帰っていいわよ」


 ……投げやりにそう言い放つと、もう用は無いとばかりに視線を外して机の上で何か作業を始める。


「はぁ……じゃ」


 返事はない……ただのお姉さんのようだ……ってそうじゃなくて。


ガチャ……


「おお、どうだった?」


 スケベ神父が待っていた。いや、待ってなくて何処かに行かれたら困るんだけど……


「ユニークスキル……ってのは確認したみたい」


「それで、他には何か聞いてるかっ!?」


「……それだけ」


 正確にはスキルを使った事が無いって言ったら、興味を無くしたのか放置プレイに移行したから出て来たんだけど……ハァ


「……そうか」


 神父の落ち込みようは……落胆し過ぎじゃね?……って思う程だったよ。肩が落ちてたしねぇ……


「ドンマイ!」


 って励ましたら、


「お前が言うな!」


 って怒られた……解せぬ。


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 期待してた報酬が雀の涙で、往路で掛かった費用だけで足が出て、帰還も儘ならない事態に陥るのを知るのはまだ先の話……

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