第3話 買い物をしよう!
翌日、ユウは冒険者の街へと出た。フウアのことも誘おうとしたが、ユウが部屋に行ったときにはもう出かけていた。
「どこに行ったんだろう」
まぁ、今日は任務に行く予定はなかった。フウアが何しようと勝手かもしれないが、無茶していないかだけが心配だった。
「とりあえず、冒険者の街を回るか」
冒険者の街で色々買い物をしつつ、歩いていればフウアにも会えるかもしれない。そう考えたユウはさっそく買い物をすることにした。
最初に寄ったのは魔法書を販売している所だった。もちろん、ユウは闇魔法しか使えない。闇魔法の魔法書が極端に少ないのも分かっている。が、それでも希望は捨てきれない。
「すみません」
「なんじゃ、欲しい魔法はどれじゃ?」
店に入るなり、ユウは店主の方へと行く。がむしゃらに探すより、そっちの方が手っ取り早いと思ったからだ。
「闇魔法の魔法書ってありますか?」
「ないじゃ」
「即答……」
ユウの言葉に店主は即答する。万が一の望みすらないようだった。
「闇魔法なんてレアのはなのは分かってるじゃろ」
「まぁ、そうですね」
「ほかはあるんか?」
「ないです」
そう言うとユウはすぐに店を出た。あのままいてもしょうがないからだ。若干落ち込みつつも、ユウは次の店に行く。というか、そっちが本命だ。
ユウは歩いていき、やや広めの店についた。さっきの店と同じような本が並んでいる店だが、こちら種類が違う。日本と同じように、普通の本が並んでいる店だ。
あまり人がいない本屋にユウは入る。店主に歴史や世界について書かれている本がある所がどこか聞き、ユウは教えてもらった場所に行く。そして、本を選ぶことにした。
「結構あるな……」
本棚に積まれた歴史や世界に関する本は結構あった。買える本の数はこの先のためを考えても、2冊まで。慎重に選ばなくてはならない。そう思いながら、ユウは本を見ていく。その時だった。
「あら、久しぶりね」
声をかけられた。見知った声で振り向くと、そこにはかつて任務に同行した冒険者パーティーの魔法使い、マエがいた。
「マエさん、久しぶりです」
「えぇ、歴史を学びに来たの?」
「そうなんです。俺、色々な事情があってあんま知らなくて」
「そうなの。なら、この本とかどうかしら?」
マエがそう言って見せて来たのは、やや分厚めの本だった。タイトルは『我が世界の歴史』と書かれている。ややお堅めそうだなというのが、ユウが思った事だった。
「真面目そうに見えるけど、案外分かりやすいのよ」
「そうなんですか」
ユウは値段を見る。そこには、銀貨20枚と書かれていた。うん、これなら買っても問題なさそうだ。
「じゃあ、これにします」
ユウはそう言うと、そのまま会計をすることにした。この本なら世界についてもある程度載っていそうだったからだ。会計を澄まし、ユウはお礼をするためにマエの所に行く。
「ありがとうございます」
「いいのよ。ためになったなら、よかったわ」
マエは本屋の前に立っていた。本を買うことは無かったようで、彼女は手ぶらだった。
「にしても、どうかしら。冒険者ライフは」
「いつもドキドキしますよ。ハッキリ言って、怖いです」
ユウとしてはそれが本音だった。フウアの魔法は頼もしい。モンスターに追われがちな自分をいつも助けてくれる。そのおかげで、冒険者になってから本当にヤバイことはない。ただ、それでもだ。怖い物は怖いのだ。
「でも、貴方、小巨人(ジャイアント・ゴリラ)に立ち向かったんでしょう? あのモンスター、レベル40って聞いたわよ」
「それでもですよ……」
それは、それ。これは、これだ。確かに、ユウは自分より遥かに上のモンスターと戦って、勝利した。それはそうだ。が、それでも怖いという感情が無くなるわけではない。怖い物は、怖いのだ。
「そうなの。まぁ、私も最初は怖かったしね。でも、今じゃそういうのを好んでやるようになったわ。今日もこれから行くしね」
「そうなんですか」
別に驚く話ではない。冒険者にとって依頼を受けることは当たり前だった。依頼というのはいつでも受けられる。
「えぇ。今日は迷宮に行くの」
「迷宮ですか?」
迷宮。その言葉はユウも聞いたことがあった。もっとも、まだ行ったことは無いが。フウア曰く、冒険者の依頼でよく行く場所らしい。
「行ったことないの?」
「まだです」
「そうなの。でも、そろそろ行くと思うわよ。迷宮に行かない冒険者はいないっていうしね」
「そうですか……」
絶対に危ない所だろうなとユウは憂鬱に思う。冒険者になったら確実に行くようなので、仕方ないだろうが危ない所はなるべく行きたくなかった。
「大丈夫よ。最初はみんな、冒険者迷宮っていう所で慣らすの」
「冒険者迷宮?」
「そうそう。冒険者の街から少し離れた所にある迷宮。もう、千年前に攻略されてるの。だから、モンスター以外は心配はないわ」
「そうなんですか?」
「えぇ。伝説の冒険者一行って言われてるパーティーがいてね。その冒険者達が攻略したの。たぶん、その歴史の本にも出てくるパーティーよ」
もしかして、相当有名な冒険者達なのだろうか。後で調べておこう。ユウはそう思う。一応、この世界における有名な事はある程度知っておきたかった。
「私たちも今日、そこに行くの」
「そうなんですか、気を付けてください」
「大丈夫よ、もう何回も言ってる所だしね」
余裕そうに言うマエに、ユウは少し不安を覚える。何回も言っている場所でもしっかりした方が良いんじゃないか。もちろん、異常なほどの臆病な自分だからということもあるだろうが。
ユウが不安げに見ているのに気付いたのか、マエは優しく微笑む。
「んじゃ、そろそろ行くわ。また、会った時に色々と話してあげる」
マエはそう言うと、立ち去る。その姿を不安げにユウは見送ると、買い物に戻る。とりあえず、目当てのは買えた。あとは、適当に見て回ろう。ユウはそう思い、街を歩いていく。
冒険者の街にはフウアから聞いていた通り、色んなものが売ってあった。ポーションやら、衣服やら、武器。冒険に使えそうなのから、生活に必要なの、何から何まで揃っている。そりゃ、冒険者達もここに住むわなとユウは街を一通り見て思った。
「そろそろ帰ろうかな……」
買えると言っても、宿にだが。ユウがそう思った時、ふと声がした。前の方からだったので、ユウはそちらを向く。そこには、朝から気になっていたフウアが走って来た。
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