第2話 新しい魔法

 よしっ、ステータスを確認しよう。泊っている宿の部屋でユウはそう思った。依頼が終わり、宿に戻り、フウアと別れた後、ユウは自身のステータスを確認したかった。|小巨人(ジャイアント・ゴリラ)を倒してから、一か月が経った。どのくらいになっているか見ておきたかった。


「|能力開示(ステータス・オープン)」


 もう慣れた様子でユウはそう呟き、出て来た画面を見る。


*****


・ユウ・ハヤマ

レベル12

基礎ステータス

HP:44 耐久:37 力:11 速さ:16 魔力:?

クラスステータス

剣術:17 火魔法:0 水魔法:0 土魔法:0 風魔法:0 光魔法:0 闇魔法:70


*****


「あっ、レベル上がってる」


 ユウは最初にそう呟いた。最後に見た時は、レベル11だった。が、それが1レベル上がった。わずかでも、ユウにとっては嬉しかった。

 そのまま、ユウは見ていく。


*****


・臆病者の勇気

レベル:10

スキル概要

自身のレベルより上の者と対峙する際に、一時的に基礎ステータス・クラスステータスが上がる。このくらいのレベルだと、+40になり、五感が鋭くなる。


*****


 |小巨人(ジャイアント・ゴリラ)と戦う際に芽生えたスキル、『臆病者の勇気』。このスキルはどうやら格上と戦うときにステータスを上げてくれるようだ。有難たいなと思いつつも、格上とは戦いたくないというのがユウの本心だった。


 スキルレベルは最後に見た時から変わっていない。フウアに聞いたところ、スキルレベルも使わないと上がらないらしい。まぁ、あれから格上に挑んでいないからだろう。このまま、一生挑まなくていいが。


「まぁ、これは良し」


 そして、ユウは本命の方を見る。ユウがずっと気になっていたのは魔法欄のことだった。なぜなら、彼に新しい魔法が生えたのである。


*****


・『|深淵より覗く瞳(ディア・アルス)』

レベル:11

詠唱:「深淵から映せ」

ランク:A

概要

見えない物や見たい物が見えるようになる魔法。このレベルでは暗い場所を普段と変わらない状態で見ることが出来る。


*****


 新しい魔法。どうやら、視界よくしてくれる魔法らしい。三日前にやった依頼で生えた魔法だった。たまたま暗い洞窟でフウアを見失った時に生えたのである。


「もう一回、魔法をやってみるか」


 ユウはそう思い、部屋を暗くすることにした。もう夜であるため、日は入ることはない。とはいえ、まず最初はなるべく暗いくしたかった。

 部屋の明かりを完全に消す。光は一切ない。


 じゃあ、やってみよう。そう思い、ユウは詠唱を呟く。


「深淵から映せ────、|深淵より覗く瞳(ディア・アルス)」


 そう呟いた瞬間、何も見えなかった視界が一気に見えるようになる。何が、どこに置いてあるのかが一目瞭然で分かった。しかも、普通の状態の時よりもより見えやすくなっている。


「やっぱり、凄いな」


 最初に使った時もこんな感じだった。フウアを探すために咄嗟に魔法を唱えた。使った瞬間、一瞬でフウアを見つけることが出来た。


「でも、これどのくらいまで使えるんだろう」


 ユウが今回魔法を試した理由はそこだった。今のレベルでは、完全に暗くないと見えないのか。割と使えそうな魔法であるが、実際どのくらいまで行けるのか確認しておきたかった。


 魔法を一旦やめて、ユウは窓から光を入れる。今は夜のため、日はないが月の光は入ってくる。その状態でもう一度試すことにした。


 唱えた瞬間、やはりさっきと同じように見えるようになる。どうやら、このくらいでも使えるらしい。それを確認すると、ユウはさらに明るくしていく──



 最後の確認を終え、ユウは魔法を止めた。どうやら、この魔法はある程度暗ければ発動するらしい。


「便利だ」


 ユウはそう呟く。一か月間、冒険者として依頼をこなしたことで分かったが、視界がいい場所はあまりない。森の中だったり、洞窟の中だったりと視界が見えにくい場所の方が多い。そういう意味ではこの魔法は便利だ。

 かなり有難いとユウは思う。だが、同時にこうも思った。


「攻撃魔法が欲しかったなぁ……」


 もちろん、この魔法が嫌だとかそういうわけではない。そりゃ、便利だとユウは思う。ただ、これから冒険者としてモンスターとかと戦うのだ。もう少し、武器になりそうな魔法が欲しかった。


「まぁ、愚痴言ってもしょうがないよな」


 一応、もう1つの魔法である『|深淵なる■■図書(ドゥ・バブビリオ)』も攻撃魔法にはなる。というのか、攻撃魔法を保存すれば何とかなるのだ。まぁ、そこらへんで工夫するか。ユウはそう思いながら、近くにあったノートを出した。


 この一か月、ユウは冒険者として活動しながらも色々と記録していた。日本に帰るためには、この世界についてもちゃんと知らなきゃらならない。そう思い、ユウは異世界のことについて、買ったノートにメモしておいたのだ。そして、気づいたことがある。


「この世界、やっぱり似てるんだよな……『ファンタジア ジ ウィザード』に」


 例えば、クラス。この世界のクラスは、基本として剣士・魔法剣士・魔法使い・弓兵・槍兵・盾兵・暗殺者だ。フウアによるところ、これ以外にも特殊なクラスがあるそうだが、基本はこれらしい。

 特殊クラスの方は知らない。が、基本クラスの方は別だ。これらのクラスはどれもゲームにあった。


「これは偶然かもしれないよな……」


 あとは、この世界の地図だ。フウアに見せてもらった地図とゲーム内の地図は似ているのだ。もちろん、完全一致というわけではない。だけども、確かに所々似ている。


「もう少し、調べてみるか……」


 そうユウは思った時、ふとフウアの言葉を脳裏に過る。そういえば、ここ冒険者の街は色んな物が売られている。フウアが持っていた地図もここで買った。なら、この世界について書いてある本が見つかるかもしれない。


「よしっ、明日行ってみるか」


 ユウはそう考えて、ベットに入った。

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