第14話 帰路

「やぁ、無事に終わったみたいだね」

「えぇ。にしても、凄いのよ、ユウ君。もう魔法を会得したみたい」

「ってことはオリジナル魔法?」


 たぶん、そうだろうとユウは思う。フウアが言うには、オリジナル魔法以外はだいたい魔法書で習得するみたいだし。

 そのことを聞いたコオルとアーキは驚いたような顔をしていた。


「へぇ、すげけっす! 将来有望じゃないっすか」

「凄いじゃないか。その魔法を使いこなせるように頑張るだよ」

「そうですね」


 たぶん、指南書みたいのは無いだろうし、実践で積むしかない。まぁ、とはいえ魔法を会得したことで手札も増えた。しかも、コピーみたいな魔法だからコピー次第では色んな魔法が使える。結構、強力じゃないか? ユウはそう考えると、少し嬉しくなった。


「さて、そちらは何か手がかりはあったかな?」

「モンスターに印みたいなのがついてなの?」

「印って、炎にも雷にも見える奴っすか?」

「それです」

「僕たちも同じようなのを見つけたよ」


 コオルの話によるとこうだった。モンスター退治は割とすぐ終わった。その後、モンスターの身体を調べると心臓がある場所に印を見つけた。それ以外は見つけられなかったが、不可解だったためモンスターを保管したそうだ。


 その話を聞いて、あの印は今回の騒動に何か関係あるのかとユウは考える。マエさんたちの話を聞く限り、通常のモンスターには無いのだろう。とはいえ、異世界の事をまだよく分かっていなので、何とも言えないが。


「まぁ、とりあえずこれで終わりかな」

「じゃあ、帰ります」

「うん、ユウ君はね。ただ僕たちはちょっとやることがあるんだ」


 どうしたんだとユウは思う。おそらく、ついていってもやれることは無さそうだが

、気になったので一応聞いてみることにした。


「どうしたんですか?」

「いや、大したことじゃないよ。ここの見回りに、街の人たちへの説明とか色々ね。ユウ君は始めての格上だったし、疲れているだろう? だから、先に戻っていいよ」

「良いんですか?」

「大丈夫っすよ。むしろ、慣れないうちはしっかり心も身体も休めることをおススメっす」

「そうよ。それにもう暗いしね」


 マエの言葉にユウはちらりと空を見た。森に入る前は夕暮れという感じだったが、今はもう暗くなっている。確かに、もう帰った方がいいかもしれない。そう思ったユウはお言葉に甘えて帰らせてもらうことにした。


「じゃあ、ありがとうございます」

「良いんだよ。もし、また任務に同行したくなったら直接でも、ブーゼンさんを通してでも言ってね。大歓迎だよ」

「それかほかの冒険者を紹介するっすよ」

「気を付けてね、夜暗いから:

「はい。色々、ありがとうございます」


 ユウはそう一礼し、森の道へと歩いていく。もうすっかり夜になっている。なるべく、早めにつきたい。そう思いながら、歩いていく。


*****


 街を出て、森の道一歩手前に着き、ユウは近くのベンチに座った。もちろん、夜は怖いがそれ以上に少し魔法を確認したかった。まぁ、森の道は安全らしいので、無いと思うがもしものために何が使えるかを知りたかった。

 ユウは戦闘の時の事を思い出す。あの時、何の魔法が使えるか、それを考えていた。なら、今回も知りたいと思えば行けるはずだ。そうユウが思っていると、脳内に出て来た。


*****

風傷槍エア・ベスレ

ランク:D

レベル:13

詠唱:「穿て、刻め」

使用回数:1回

概要

風の槍を形成する魔法。ただし、普通の風槍とは違い、当たった敵に持続的な風ダメージを与える。


纏衣雷ウル・サンダー

ランク:D

レベル:10

詠唱:なし

使用回数:1回

概要

電気を物や身体にまとわせて放つことが出来る。モンスターの魔法のため、詠唱・魔法名を叫ぶ必要はなし


*****


「なるほど」


 前見た時とはまた1つ違うなとユウは思う。風傷槍エア・ベスレはおそらく、マエさんの保存したのだろう。でも、纏衣雷ウル・サンダーの方は使わなかったか? そう考え、ユウはあぁと思い出した。

 一回魔法を使った後、あの鼠もう一度魔法を使っていた。おそらくそれだろう。まぁ、合って困らないことは無い。そう思いながらユウは歩き出す。


魔法も無事確認できた。森の道は安全だし、万が一が起きても何らかのことは出来る。そう考えたユウは森の道に入った。


「うん、暗い」


 夜の森の道を歩きながらユウはそう呟いた。まぁ、当たり前だが暗い。夜だし、何より周囲は森だ。そりゃ、暗い。とはいえ、数日前に歩いた初心の森よりはまだマシだった。

 冒険者の街を目指して、フウアと一緒に夜の初心の森を歩いた。あった灯はフウアが魔法でつけたであろう光のみ。それ以外は特にない。一方、この道は道の端にはちゃんと灯がついている。どっちかマシかと言えば後者だ。


「どっちみち、夜には通りたくないけどな」


 ぼそりとユウはそう呟く。だいたい、夜にはモンスターも活性化するらしいとブーゼンさんが言っていた。誰が好んで通るかという話である。


 ユウはそう思いつつ、ふと初心の森の方を見た。しばらくは入れそうにない。だけど、フウアはまだあの中にいるのだろうか? もちろん、自分が行って何になるという話なので行く気はない。

 ただ、心配だった。怪我とか、そういうのをしていないかと。


「冒険者の街で会えればいいけどな…………」


 たぶん、この道では会えないだろうしとユウは思う。冒険者はみんな森をつっきるようだし。会えるとしたら、宿だろうか? まだ役に立たなくても、せめて大丈夫かだけでも確認したいとユウは思う。


 森の道を歩いていく。行きの時はそこまでの距離でもなかった。たぶん、あの街と一番近い距離で作られているのだろう。さっさとこの道を通り過ぎよう。そう思っていた時だった。


「うわぁぁぁぁぁぁ」


 叫び声がした。右側、初心の森の方で。ユウは驚いて、そちらを見る。そこには、冒険者達がこちらに向かって走っていた。身体は血だらけで。

 彼らは森の道を見つけた途端、安心したようにさらに駆けだす。その光景をユウは呆然と見ている。

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