第13話 任務同行④

 ユウはぜぇぜぇと息を切らす。目の前には、今まで戦っていた巨大鼠ビック・マウスが死んでいた。自分が殺したのだ。


「やったじゃない」


 嬉しそうにしながら、マエが駆け寄ってくる。彼女には特に怪我した様子はない。マエに気を引いてもらったおかげで何とか倒したが、それはそうといきなりだったので少しユウは申し訳ない気持ちだった。


「さっきはありがとうございます」

「いいのよ。最初は逃げてばっかりで不安だったけどやれば出来るじゃない」

「そうですね……」


 ユウは肯定しつつ、思う。あの突然の魔法がなければきっとどうにもならなかったと。ユウが最後、剣で斬りかかったがその傷自体は小さい物だった。おそらく、致命傷はあの魔法による雷である。


「でも貴方、魔法なかったわよね?」

「なんか、いきなり生えたんです」

「あら、そうなの。なら、ステータと一緒に見ましょうか。たぶん、レベルも上がってるわよ」


 ユウはその言葉でステータスを開く。レベルも上がっていてほしいが、今のユウが気になるのは魔法の方だった。


*****


・ユウ・ハヤマ

レベル5

クラス:魔法剣士


基礎ステータス

HP:26 耐久:20 力:4 速さ:7 魔力:?

クラスステータス

剣術:6 火魔法:0 水魔法:0 土魔法:0 風魔法:0 光魔法:0 闇魔法:65


スキル

・■■接続

レベル:170

スキル概要

■■に接続していることにより、魔法行使に対する妨害が効かなくなる。


魔法

・『深淵より見る■■の図書ドゥ・バブビリオ

ランク:EX

レベル:10

詠唱:なし

概要

一度見た魔法を■■が保存し、使うことが出来る。が、あくまで使えるのは一度だけ。一度使ったら、また使いたい場合は魔法行使もしくは発動の瞬間を見なくてはならない。が、それさえ満たせば魔法を保存するときに詠唱・魔法名を言わなくても保存できる。

また、保存した魔法を使用する際は必ず詠唱と魔法名を唱えなくてはならない。ただし、魔物の魔法は別。魔法の技術や火力は保存した物と同レベルになる。が、魔法数値と関係なく使える。

このレベルだと2つしか魔法を保存できない。保存できる魔法と使用回数はレベルごとに上がっていく。


*****


「ランクEXぅ⁉」


 魔法の欄を見た瞬間、マエの声が森中を響いた。明らかに凄そうなランクだが、なんかあるんだろうかとユウは思う。というか、ランクってなんだろうという状態だった。


「ランクって何ですか?」

「あっ、えっとねぇ、魔法にはランクがあるの。それぞれ、FからS、そしてEXがある。Fが最低ランクでSが最高ランク。上に行けば、行くほど魔法の効果や火力が上がり、希少性も高くなる。ただ、EXは色んな意味で例外枠なの」

「例外枠?」

「EXがつく魔法は大半がオリジナル魔法で、しかも歴史の中でもかなり少ない。だから、どういう基準でEXが着くかは分かっていない。ただ、ある本曰く、規格外の魔法にのみつくらしいの」

「規格外?」

「そう。ただ、かならずSよりもいいというわけではないらしい。簡単に言えば、一番希少な魔法ってことね」


 例外枠というのが一番しっくりくるなとユウは思う。効果がかなり特殊な物につくとかそういう認識で良いのだろうか?


「凄いじゃない、最初の魔法でEXだなんて」

「そうですね……」


 ユウは一応肯定するが、それはそうと不安だった。魔法を会得する前に見た景色、あれは何だったのだろう。神秘的な水辺に、薄暗い夕空、そして歪な黒い球体のナニカ。マエさんが何もいないあたり、あの場所に行ったというわけでもないようだ。

 オリジナル魔法を会得する際は、だいたいこんな感じなのだろうか。ユウはマエに聞いてみることにした。


「オリジナル魔法ってどんな感じで会得するんですか?」

「えっ? 割とその人によるとしか言いようがないわ」

「じゃあ、なんか会得する際に変な景色を見たとかって聞いたことあります?」

「さぁ……、そんなの聞いたことがないわ」


 マジか。つまり、あの景色は自分だけっていう事なのだろうか。まだ何も分からないため、何とも言えないとユウは思う。補正の方とかも特に変わった様子はないし、魔法の説明にも害がありそうな説明はない。

 たぶん、魔法自体には害はないんだろう。ただ、あの景色が何か知りたかった。


「まぁ、いいじゃない。レベルも上がったし」


 マエの指摘にそういえばとステータス欄を遡る。そこには確かに、レベル5と書かれてあった。結構、上がったな。


「格上を倒せば、一気に上がる場合があるの。今回はほとんど貴方主体だったのもあるわね」

「なるほど……」


 目標のレベル10にはまだ遠い。でも、だいぶ近づくことが出来た。色々不明でもあるが、希少らしい魔法も増えた。まぁ、うん。良いことだろうとユウは思う。


「さて、モンスターも倒せたことだけど、ユウ君、余裕はある?」

「たぶん、ですが……」

「オッケー。じゃあ、周囲を調べましょうか」


 そういえば、コオルに言われたことを思い出す。今回の事が起きた原因もしくは痕跡を探してほしいと。その事を思い出す、ユウはマエと共に半壊している建物へと向かった。


「完全に瓦礫で埋もれてるわね……」

「調査は無理そうですね……」


 巨大鼠ビック・マウスが飛び出した影響もあり、建物は見る面影もないほど、壊れていた。まぁ、いかにも壊れやすそうだったし、仕方ないのかもしれない。ユウはそう思うことにした。


「仕方ない。私たちだけじゃ無理そうだから、冒険者ギルドの方で何とかしてもらいましょう。じゃあ、次は鼠の方にするわ」


 そう気を取り直すように、マエはモンスターの死体へと歩いてく。ユウもその後についていった。


 モンスターの死体は割と原型を保っていた。もっとも、もう起きる感じはしなさそうであるが。マエとユウはモンスターの死体を観察していく。あまり、死体をじろじろ見るのもいい気分がしないな。そう思いつつ、ユウは調べていく。ふと、ある物が目に行った。


 なんかの印のように見えた。黒くて、炎のようにも、雷のようにも見える。そんな感じだ。もちろん、ユウにはさっぱり分からないのでマエに知らせることにした。


「これ何でしょうか?」

「うん?」


 ユウが印を見せると、不思議そうにしながらもマエは観察する。触ったり、じっくりと見ている。そして、少し考えるような素振りをして、結論を出した。


「うん、分からないわ」

「そうですか」

「でも、普通のモンスターにこんなの無いからなんかありそうね」


 マエはそういうと、透明な四角形のようなものを出した。フウアが蹴兎(キック・ラビット)をしまったりしていたのと似たようなのだった。


「よし、これでオッケー」


 マエはフウアと同じように、巨大鼠ビック・マウスをしまう。そして、ユウの方を振り向いた。


「じゃあ、任務も終わったし、合流しましょうか」


 そうして、ユウとマエは約束した場所へと戻っていく。


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