第3話 森を2人で
「ぜぇ、ぜぇ……」
「大丈夫? 少し休む?」
「すっ、すみません……」
「良いのよ」
ユウは完全に疲れていた。あの後、ずっとフウアと共に、この森を歩いていたのである。その間、所々モンスターが襲ってきた。もちろん、レベル1のユウにはどうすることも出来ないので、全てフウアが倒していったのである。
「これ、飲むかしら?」
完全に息を切らしているユウに対し、フウアは水を渡してくれた。飲めるような物は持っていなかったので、有難く飲む。とりあえず、フウアの水なのでほどほどになるようにした。
「全部飲んで大丈夫よ」
「そんなことしたら、フウアさんの飲む水が無くなるじゃないですか」
さすがにそんなことは出来ない。ユウはそう思いつつ、フウアに水を返した。
「ありがとうございます、色々と」
振り返ってみても、フウアに頼りぱなっしだったユウはそうお礼した。本当に申し訳ないなと思いつつも、自分は何もできない状態なのでフウアに頼るしかないのだ。
その事に不甲斐なく思うユウにフウアは微笑む。
「大丈夫よ。私はここなら全然なの」
「そうなんですか。そういえば、フウアさんってレベル、どのくらいなんですか?」
「あっ、そうね。一緒に冒険者やるんだし、見せたほうがいいよね。 能力開示(ステータス・オープン)」
フウアの声と共に、さっきと同じようにゲーム画面のようなのが出てくる。
*****
・フウア
クラス:魔法使い
レベル:22
基礎ステータス
HP:40 耐久:21 力:25 速さ:24 魔力:500
クラスステータス
火魔法:72 水魔法:100 土魔法:28 風魔法:86 光魔法:61 闇魔法:0
スキル
・森人領域
レベル:58
スキル概要
エルフ固有のスキル。森にいるとき、クラスに応じたバフを受ける。魔法使いの場合は魔力及び魔法効果が上がる。
・微細操作
レベル:50
スキル概要
魔法使いにたまに生えてくるスキル。普通の魔法使いや魔法持ち寄りも、繊細な魔法操作が出来る。レベル次第では魔法の効果を自由自在に操れるが、このレベルではそこまで。
・短縮詠唱
レベル:55
スキル概要
詠唱もしくは魔法名を短縮できるスキル。オンオフできる。このレベルになれば、得意の魔法と低ランクの魔法を1つ短縮できる。彼女の場合は詠唱を短縮できる。
*****
ユウは表示されたステータスの途中まで見て、思わず顔を覆った。あまりにも自分と違いすぎるからだ。この後にある魔法もたくさんある。そして、何よりレベルだ。
「凄っ……」
レベル22。自分のより20倍もの差がある。もちろん、異世界に来たばかりだし、分かっていた。が、それでも膨大な差にユウは悲しくなる。やっぱり、無双なんてものは無理なんだ。
そう思っていると励ますように、フウアが喋る。
「このレベルなら割と早めになると思うよ。それに私も低い方だし」
「そういえば、大体レベルってどのくらいの所が多いんですか? あと、どこまでレベルってあるんですか?」
「そうね……。まず、総合レベルのカンストは100ね。まぁ、今はいるかいないか分からないんだけど。99~70あたりは極数人って感じかしら。事実上レベル60代がトップになってるの。だから、レベル50・40代になれば強いって言われるわね。一番多いのは中堅のレベル30代。レベル20からその下は低いって感じ」
フウアの説明を聞いて、ユウは考える。たぶん、自分には100はおろか90、80なんて無理だろう。普通の一般人以下だし。とりあえず、普通のレベル30代を目指していこう。そうユウは考える。
「そうなんですか……」
「ちなみに、こういう森はほかにもあるんだけどね。こういう所はだいたい中心に行く度にいるモンスターのレベルも上がっていくの」
ユウは思い出す。たしか、この駆け出しの森はレベル10~20あたりが推奨されているとフウアに聞いた。つまり、この森の中心にはレベル20あたりのモンスターがいるってことか? あいたくない。ユウは心の底からそう思う。
「ちなみに、俺がいたのって……」
「貴方が襲われていたのは、全然大丈夫よ。あの風猪もレベル12だったし」
そうは言っているが、たぶん自分が目覚めた場所は違うんだろうとユウは思う。今歩いている方向とは反対からユウは来た。おそらく、森の出口が今目指している方向なら、その逆は中心なんだろう。
「運が良かった……」
ユウは思わずそう言葉が出る。もし、1人で歩ている時に襲われていたら自分は死んでいた。間違いなく、死んでいた。たぶん、ここらじゃ低い方の風猪に殺されかけたのだ。それより高いのなんて、即死だろう。
本当に運が良かった。ユウは改めて、そう思う。
「大丈夫?」
「すみません……。あと、本当にありがとうございます」
「? 大丈夫」
フウアに出会わなかったら、今頃あの魔物の胃の中にいた。本当に危なかった。ユウはそう思うと、感謝をしきれない。
ユウの言っていることがよく分かっていないのか、フウアはその様子をキョトンとした表情で見つめている。
「そろそろ、大丈夫です」
「本当?」
「えぇ。本当に」
少し喋っていたら、体力も回復してきた。もちろん、全快ではない。でも、ユウは早くこの森を抜けたかった。モンスターは怖い。もちろん、フウアもいるがそれでも怖かった。だから、早く出たかったのだ。
「そっか。じゃあ、行こう。目的地もそろそだしね。でも、疲れたら言ってね。無理するのは駄目だから」
「分かりました」
そう言うと、ユウはフウアと共に歩いていく。やっぱりかと言うように、モンスターは次々と出てくる。フウアはそれを物ともせず、魔法で倒していく。
その姿に頼もしさを感じつつ、ユウは申し訳なくなっていく。だって、ずっと任せっきりだったから。もちろん、このレベルで挑むのが無謀なのはユウも分かっている。というか、挑んでもどうせ死ぬ。死ぬのは怖いので嫌だ。でも、それでも任せきりすぎて申し訳なくなった。
せめて、並べるくらいにはレベルを上げてみよう、ユウはそう思う。これから、帰れるまで冒険者として一緒にやる。戦うのは怖いけど、任せっきりなのもよくない。ユウはそう思いながら、フウアと共に森を歩いていく。
そして、街が見えた。
「あっ、ようやく出れる」
フウアの言葉にユウはようやくかとほっとした。モンスターとはこれでしばしの間は縁が切れれる。そう思いながら、ユウは森を抜ける。
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