第4話 冒険者ギルド
森を抜けたユウとフウアは街の中を歩いていた。冒険者の街。中世ヨーロッパ風の建物が並ぶこの街は、住人のほとんどが冒険者か元冒険者だ。
冒険者を管理する冒険者ギルドが中心にあり、この街のことも管理している。そのため、冒険者に必要な道具が全て揃っている。冒険者のための街、そこから冒険者の街と呼ばれるようになった。
ユウはその街の中をフウアと共に歩きながら、色々見ていた。異世界に来て、初めての街だ。どんなのか見ておきたかった。
街の人はフウア曰く、ほとんどが冒険者か元冒険者。だからか、待ちゆく人のほとんどが何らかの武器を持っている。
「色んな武器があるんですね」
「そうね。でも、クラスによって使える武器は割と限られてね。出来ないのは、全く出来ないのよ」
クラス。ユウのクラスは魔法剣士だが、フウアによるとほかにもあるそうだ。実際のところ、フウアは魔法使いだ。ほかにもあるのだろうとユウは思う。
「そうなんですか」
「クラスごとに出来る事と出来ないことがあるからね。私は魔法以外はそこまでだし」
「なるほど」
なんというか、異世界に来る前にやろうとしていたゲームを思い出す内容だった。あれもクラスごとに出来るのが決まっていたから。この世界もそんな感じだろうかとユウは思う。
「ギルドでの用事が終わったら、武器屋に行かない? 初期武器も悪くはないけど、武器屋ならそれよりもいいのあるし」
武器の方をじっと見ていたので、何やら勘違いした様子でフウアはそう言う。でも、良い武器を手に入れられるのことはユウにとって、良い話だった。
ユウとフウアは今、冒険者ギルドに向かっていた。その理由としては、フウアは元々依頼であの森に入っていたらしい。無事に依頼を終えたので冒険者ギルドに行くそうだ。
「そういえば、冒険者ギルドってどんなことするんですか?」
「うーんっとね。まず、登録した冒険者の管理、あとは依頼斡旋かな。ほかにも、退治した魔物や採取した物を持ってたりすれば、買い取ってくれたりするよ」
「なるほど」
「冒険者ギルドはここが本部だけど、色んな街に支部があるの。そこでも、同じようなことが出来るんだ」
へぇとユウはなる。つまり、この世界では冒険者は依頼性。ただ、採取した物や魔物はお金に換えられるらしい。なんというか、冒険者という言葉で色んな所を旅することを想像していたから意外だった。
「あっ、あそこよ」
どうやら、ついたらしい。ユウはフウアが指さす方向を見る。そこには、そこそこ大きめの館があった。洋館風の建物。なんというか、冒険者らしくない建物だなとユウは思う。
「冒険者っぽくないって思うでしょ?」
「あっ、はい」
「私もそう思う」
フウアは頷くと、冒険者ギルドの中へと入っていく。ユウもその後に続いていった。
冒険者らしくない見た目と違って、中は割とイメージ通りだった。奥に受付があり、依頼が張られているっぽい掲示板には冒険者が集まっている。たぶん、依頼を受けようとしているのだろう。
フウアは受付の方に行った。ユウは奥のテーブルで座っていることにした。やることは特にない。フウアは受付で並んでいる。たぶん、あの調子じゃかなり待つだろう。ユウはとりあえず、周りを眺めていることにした。
周りを眺めながら、ユウはふと思う。そういえば、ここにいる冒険者たちってレベル、どのくらいなんだろう。フウアは普通は30くらいと言っていた。つまり、30代あたりだろうか。
「よう、冒険者志望か?」
「えっ、あっはい」
そう考えていると、声をかけられた。ユウは驚きながら、そちらを向く。そこには、かなり背が高い男性がいた。歳はたぶん40くらい。大剣を背中に背負っており、いかにも頑丈そうな鎧を着ている。
「いつからやろうと思ってんだ?」
「えっ……、わかりませんけど……」
男性の言葉にユウは考える。そういえば、いつからなんだろう。冒険者ギルドに来たのは、フウアの用事だ。少なくても、冒険者登録するためじゃない。これから、するんだろうか。ユウはそう考えていた。が、
「少なくとも、今のお前さんじゃ無理だぞ」
「えっ」
それは突如、否定された。ユウは驚きのばかり、ポカーンと口を開ける。その様子を見た、男性は意外そうにしつつ話す。
「お前さん、レベル1だろ?」
「あっ、はい。そうです」
「冒険者ってのは、最低でもレベル10はないと無理なんだよ」
男性曰く、冒険者は依頼によっては危険がつく。だから、最低限対処できるレベルが必要になってくる。その基準が、レベル10だそうだ。
言われてみれば、納得できる話だとユウは思う。仮にレベル1が出来ることなんてたかが知れてる。だから、ある程度できるレベルでないと駄目。うんまぁ、そりゃそうだな。ユウは改めてそう思う。
「ちなみに、お前さん1人か?」
「あっ、いや、フウアさんが」
そう言いながら、フウアの方を見る。まだ、受付に並んでいるようだ。男性もその姿を見つつ、どこか安心したようにした。
「なんだ、フウアといるのか。そりゃ、良かった。てっきり1人だと思ってたから」
「1人だと何かヤバイことでもあるんですか?」
「いや、ほらレベル上げだよ。冒険者志望の奴にはなっから、レベル10以降のは早々いないからな、みんな初心の森って所でレベル上げるんだよ。とはいえ、1人じゃ不安だからな。先輩冒険者についてもらってよかったな」
安心したようにそういう姿に、ユウはホッとする。いきなり現れたときはびっくりしたが、いい人そうだ。おそらく、ここにいるので冒険者なんだろう。ユウは、目の前の先輩冒険者に気になることを聞いてみることにした。
「ちょっと聞いていいですか?」
「おっ、なんだ。遠慮なく来い」
「なんで、俺のレベル分かったんです?」
ユウは先輩冒険者に自分のレベルを言っていない。フウアに最初に会った時も何故か、自分自身が知らないレベルを知っていた。何でだろうと純粋に気になったからである。
「あぁ、それはだな。ステータスは、レベルが5つくらい上だと見たいと思えば見れるんだよ」
「あっ、そうなんですか」
なるほどと思う。まぁ、自分にはしばらく縁が無さそうな話だなとユウは思った。
「あと、基本冒険者ってパーティーを組むんですか?」
「うん?いや、そういうわけでもないぞ。俺はソロだし。まぁ、どっちかと言えばパーティー組んでる奴らが多いな。まぁ、そっちの方が格上にも挑みやすいし」
「? そうなんですか?」
「あぁ、もちろん開きすぎているのは無理だぞ。だけど、せいぜい5くらいまでの差ならいけるかもしれないって話だ。例えば、敵がレベル40だとして、メンバーが全員35くらいならいけるかもって感じ」
「なるほど」
それなら確かに行けるかもしれないなとユウは思う。とはいえ、5より上の差だといけない限り、割とレベル差によって力も違うのかもしれないと考えた。
「もちろん、ソロにもアドバンテージはあるぞ」
「どんなのがあるんですか?」
「経験値が多くもらえるんだ。その分、レベル上げもしやすくなる。まぁ、ただ最初は仮でもいいからパーティー作った方がいい。お前さんは大丈夫か?」
「私がパーティーメンバーだから大丈夫ですよ、ブーゼンさん」
ふと隣から声が聞こえてくる。ユウが振り向くと、そこにはフウアが立っていた。どうやら、終わったらしい。
「おっ、嬢ちゃんがパーティーメンバーか」
「ユウ、この人はブーゼンさん。剣士クラスの冒険者で現在は冒険者の中で、一番レベルが高いの」
「おいおい、嬢ちゃん。レベルが高いって言っても前の人ほどじゃないぜ」
「それでも、今は貴方が一番じゃないですか」
この人が現冒険者の中で最強なのか。最初に凄い人に会ったなとユウは思う。ステータスとかは見えないので分からないが、確かに肉体とかがっちりしているし、強そうだなとユウは思う。
「んじゃ、そろそろ俺は行くわ。2人とも死なないように頑張れよ」
「気を付けてください」
「色々とありがとうございます」
去っていくブーゼンを見送りつつ、ユウとフウアは冒険者ギルドを出る。そして、フウアはユウの方を見て聞いてきた。
「ブーゼンさんから色々と聞いた?」
「はい。今の俺は冒険者になれないとか……」
「あぁ、聞いてたのね。じゃあ、まずはレベル10になることを目指そうね」
「道のりは遠そうですね……」
ぼそりとユウは呟く。何せ、今の自分はレベル1。この10倍なのだ、目指すところは。そう思うと、げっそりする。
が、そんなユウを元気づけるようにフウアは明るく言った。
「大丈夫よ。10までならそこまでかからないから。とりあえず、そのための準備をしなくちゃ」
「そうですね……」
さっ、行こう。フウアはそう言いながら、ユウの手を引っ張っていく。ユウは何とかなるかなと思いつつ、フウアと共に街へと行く。
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