1-4.迷宮
[それじゃあみんな!
―――って何?
事前情報がほぼゼロだからラビリンスという名前からしてどうやら迷宮らしいということと死ぬ危険があるということしか分からない。
[おっと、みんな『なにそれ?』って雰囲気だね。ごめんごめん、説明してなかったね!]
全く反省してなさそうな感じでジストが言った。
[説明しよう!迷宮とは、この空間にボクが作り出す迷宮のこと!]
ほうほう。
[迷宮の中には危険な魔物たちが蔓延っているよ。今回入っている魔物ははスライム、ゴブリン、オーク、ホーンラビット、オーガ、スモールゴーレムの6種。比較的強いのはオーガとスモールゴーレムだけど数は少なめにしてるよ]
いずれも異世界ファンタジーでは頻出の魔物だ。
[迷宮内では精気を操れるから、異能が使えるよ。異能と後で配る装備を使って抜け出してね!]
ようやく異能を使えるのか。ここまで30分、長かった。なんだかワクワクする。
[さっきも言ったけど、迷宮内で死んだらここまでの記憶を消した上でここに転移していない世界線に戻すから安心してね!]
死んだとしても安心安全と言うわけだ。
[それと、無事に通り抜けた人にはご褒美も用意してるから頑張ってね!]
ご褒美が貰えるのか。どんなものがもらえるのか楽しみだ。
[それと、さすがに丸腰で放り込んだらすぐに死んじゃうだろうから、ロングソードかナイフの好きな方と欲しい人には篭手と盾の好きな方をあげるよ!]
ありがたい。ここで死んでしまったら元も子もないからな。
[それじゃあ5分後に放り込むからパーティーを組むなり異能の確認をするなり自由にしててね!]
放り込むって言い方が不穏だな。まぁ、さすがにいきなり落としたりはしないだろう。
その直後、頭の中に少女のような高いキーの電子的な声が響いた。
『
どうやらさっき言っていた装備配布のようだ。
『ロングソードかナイフのどちらかを選んでください』
悩ましい選択だ。ロングソードはリーチが長いがその分重いし扱いにくい。ナイフは小回りが利くがリーチが短いせいで接近せざるを得ない。その2つであればやっぱり俺は王道のロングソードを取る。ただ、ロングソードと言ってもあまりイメージが湧かない。刀しか頭に浮かばないんだよな。
(ロングソードだ)
『了解しました。続いて、篭手と盾のどちらかを選んでください。必要としない場合は、NOと答えてください。』
篭手と盾か。これは篭手の一択だ。盾は耐久度が高く広範囲を受け止められるが小回りが利かず守りきれないところがある。それに比べて篭手は範囲は腕だけと狭いものの攻撃の速さに反応したらすぐに腕で攻撃を防げる。ならば篭手で決まりだろう。
(篭手だ)
『了解しました。それでは、装備の装着を実行します』
そう聞こえた途端、腕の周りが闇で包まれ、闇が剥がれたとき、そこには漆黒の篭手があった。次に左の腰に光が集まり、徐々に細長くなり、光が収まったときには明るい黄色の柄と黒い円形の鍔を持った刀があった。
…刀?待って、俺はロングソードって聞いたんだけど。いや、これは柄が刀っぽいだけのロングソードかも知れない。そう思い鞘から引き抜いてみる。そこにあるのは反りのある鋭い片刃の打刀だった。
…ジストさーん?俺ロングソードって聞いたよ?どーゆーことー?
[ん?あぁそれは『対象は認識に依存する』っていうものでね、時雨君がロングソードって聞いた時にカタナをイメージしたからなんだよ。]
…なる…ほど?俺がロングソードと聞いて刀を思い浮かべたからそれに対応する形で刀になったと。
…つまり俺のせいじゃん。
[そうそう。ボクはなーんにも悪くないのサ!]
なんだか胡散臭いセリフだが事実なのだから仕方ない。それに、俺の武器が刀なのだとしたら篭手を選んで正解だった。刀は西洋剣と違って両手で持つのが一般的だ。片手がふさがる盾ではどちらかを捨てざるを得なかっただろう。
よし。俺はこの刀と篭手と一緒にこの世界を生きよう。そう心に決めた所で、声が掛かった。
「おーい、時雨ー」
ふとそちらを見ると、俺を呼んだであろう
預は鞘に入ったダガーを持って、蒼い宝石が手の甲の位置についた白い篭手をつけていた。なにそれ可愛い。俺もそういうのにすればよかった。
新谷は身長よりも少し短いほどの長さの
歩美は白い羽のような刃を持ったサバイバルナイフを持っていた。刃渡りは20cmほど。持ち手は薄橙色でおそらくバルサ製だ。小さい水色の丸い盾を左腕にはめていた。小さいと言っても頭ぐらいのサイズはある。
白露は反りのついた先の鋭いナイフを二刀流で持っていた。盾や篭手は持っていない。漆黒という言葉が似合う曇りのないナイフだった。
静香はレイピアのような細い剣を持っていた。こちらもまた、盾や篭手は持っていない。それは置いといてお前はどうしてモジモジしながら預の方に少しずつ近づいているんだ。
「どうしたんだ?こんなに揃って」
「いや、さっきジストから迷宮に潜るからパーティー組めって言われたじゃん?」
「だから時雨と預と、あと女子たちでさ、6人パーティー組まねぇかなって」
そういうことか。装備に気を取られてパーティーのことはスッポリと頭から抜け落ちていた。
「俺は別にいいけど、女子はそれでいいのか?」
「私たちあんまり戦闘に向いてない異能しか貰えなかったんだよね」
なるほど。それならば他の人に戦闘を任せざるを得ない。
「歩美の言う通り。あと男子の方が力が強いから男子と組んだほうが特なんだよ」
白露さん。アンタが言うことですか。いっつも俺たちのこと蹴ってるのに。あと足踏むのやめて。いたい。俺そんな顔に出る?
「それに他の男子も女子ももう固まっちゃってるし」
周りを見ると、確かにもう5、6個のグループにまとまっていた。たださ?貴方の場合ちょっとずつ預の方に近づきながら言ってるからそう言いっても全く説得力ないんだ?
静香の後ろにいる白露と歩美にアイコンタクトを送ったら苦笑いしながら二人して頷いていた。
「じゃあ俺も入らざるを得ないな」
「おっ、
「お前は俺の上司か」
そんなどうでもいいことを話していたらいきなり、足元から闇の中へと堕ちていった。
…放り込むってこういうことなん?
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こんにちは!作者の ちどりふで です!
初めての作品になるので文章が拙い所がありますが見守ってくださると嬉しいです!
誤字などはコメント欄で教えていただければ訂正します。
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スモールゴーレムの字面が舞浜の夢と魔法の王国にある某世界で一番幸せな船旅にしか見えない作者です。
次回、「迷宮投入」。お楽しみに。静香がやらかすよ。
Web小説が大好きな勇者様は全てを消し去る雷と一緒に異世界を堪能します! ちどりふで @hollow-void
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