第4話 S級冒険者ジャンヌ
嫌な事があったら酒飲んで忘れてしまえ。という事で俺は城下町の冒険者ギルド併設の酒場に来ている。肉食ってエールで流し込むぞ。
「おや?珍しい奴がいるじゃないか」
聞いた事のある声が聞こえてきた。この声はジャンヌだな。
「ジャンヌ、久しぶりだな」
「聞いたぞ。聖女様の護衛中に婆さんを蹴り飛ばしたって」
ジャンヌはこの国に数人しかいないS級冒険者だ。俺はA級止まりだったが。
「邪魔だったからな、つい足が出た」
「お前は実力でいったらS級間違い無しなんだがな……。S級昇格の条件に品行方正というのがあるからな……。だからいつまでもA級なんだよ」
「へっ、俺は正直者なんだよ。S級の嘘吐きにはなりたくないねぇ」
俺はエールを胃に流し込んだ。ジャンヌと知り合った頃はもっと可愛かったんだがな……。今じゃ会うたびに文句言われる始末だ。
「S級を嘘吐き呼ばわりか……。まあお前じゃなかったら袋叩きだが、実力はあるからな」
「ジャンヌ、お前文句を言いに来たのか?酒が不味くなるからやめてくれ。俺は酒を飲みに来たんだ」
「……聖女様に何かあったのか?」
こいつは鋭いな。エスパーか何かか?
「聖女様が婚約者の第一王子に嫌われてる」
俺はジャンヌの耳元に小声で言った。
「第一王子か……、評判はあまり良くない人物だな。私を口説こうとしたこともあった」
ジャンヌは見た目だけは一流だからな。なんせ俺の元カノだから。
「聖女様を平民と罵ってたな。ジャンヌはS級だから貴族なんだっけ」
「ああ、私は男爵位を持っている……」
夜は更けていった。
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