第3話 第一王子もクズ

 王宮に帰ると第一王子と取り巻きに遭遇した。嫌な奴らに会っちまったぜ。


「そこを行くのは我が婚約者であるソフィアではないか?」

「バラン殿下、ご機嫌麗しゅう……」


 聖女様はカーテシーをした。


「ご機嫌麗しゅう?僕は最悪な気分だが?平民の婚約者を貰ったと、僕は皆の笑い者だ!どうしてくれる!」


 第一王子は聖女様にそう言い放った。


「……申し訳ありません」


 聖女様は謝った。こんな奴に謝らなくったっていいんだぞ!


「はっ!目障りだ!僕の目の前から消えろ!」

「……失礼します」


 聖女様は深々とお辞儀をして俺たち護衛と共に移動した。こういう時、護衛って無力だなぁ……。


 聖女様の部屋に着いた。


「それではまた明日……、よろしくお願いしますね」


 聖女様は部屋に入って扉を閉めた。ふう、今日の俺の仕事は終わりだ。


「アルト、ちょっと話がある」


 マイラが話しかけてきた。何の用だろう?俺はマイラについていった。城のバルコニーまで来た。


「アルト、聖女様が泣いていたことに気づいたか?」

「へ?気づきませんでした」

「私は聖女様の好意を無下にするバラン殿下のことが許せん」


 ひえっ、そんなこと誰かに聞かれてたらクビにされちまうぞ!


「何か……聖女様が救われるような風にできないだろうか?」


 マイラは聖女様の敬虔な信者だもんな。酷い目に遭っている聖女様を救いたいのだろう。


「俺は冒険者あがりの平民ですぜ。俺に何ができるって言うんです?」

「くっ……、聞く相手を間違えたようだ。もういい」


 マイラは去っていった。俺だってどうにかしたいさ。だが身分が足りない。

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