王の道を往く エピローグ〈最強の戦士〉

hi-pi

エピローグ

「渚、旅に出ないか?」

「出ない」

俺は幾度となく繰り返された父の言葉に即答する。

「お前、充分強いんだからさぁ、誰かのために闘うとかしないのかねぇ」

「そこそこだよ。それに、今もちや〜んと闘ってるから。」

そう、俺は今、村の警備をしている……まぁ、同じ所に突っ立って、それも剣を持ってるだけだけど。一応何かあったら駆けつけられるようにはしている。

「村の警備なんて衛兵がいる…それに、渚がいなくてもお前より強い俺がいる。」

「ッ!誰が親父より弱いって…」

「でも他の村はそうはいかねえだろ?だからお前が守ってやるんだよ」

(こんの酒グサヒゲおっさん…無視しやがった……許すまじ)

でもまぁ筋が通っていないこともない…か。それに……ぶっちゃけ旅には興味は持ってる。だからといってリスクと隣り合わせってのも嫌だ。この世界は野蛮で危険だ。モンスター、アンデッド、悪魔、……一番怖いのは人間だ。そんなのがウヨウヨいる世界で旅をする狂ったヤツなんて、村で一人しか見たことがない…毎日見てるけど。(/ω・\)チラッ

「なんでこっち見てんだよ。俺の顔がそんなに酷いか?あぁん?」

「ドウドウ、自分で妄想してキレるでない」

「オレは馬かっつーの」

「1度突っ走ったら止まれない馬鹿な牛さんかな?」

「ひっでぇ……父さん泣くぞ?」

「見てて見苦しくなるから泣かないで?ね?」

「(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)」


(こんなのでも一応ここら一帯を治める最強の戦士なんだがな……)

そう、渚の父…村長こと穂神翼に勝てる戦士などこのあたりには存在しない…俺等の知る限りは。もちろん俺も何度戦っても勝てなかった。

(なーんでこうなっちゃたかな…)

今俺の目の前でギャン泣きする父は、最強の戦士は愚か、村長の威厳すら無いように思えた。まぁ、オンとオフの切り替えが激しい人だから、戦ってるときは流石にかっけえよ。

うん。


その後、哀れでお馬鹿な牛さんは5時間ほどギャンなきしたそうな………やったね

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