3. ソア
俺はこの街を愛している。俺はこの街で生まれ、この街の児童館で10歳までを過ごした。誰よりも自分の愛と知識を誇っていた。テストの点数は、、いつも最下位だったけど。だけど、俺はこの街が好きだった。何もない砂漠の中に大きなオアシスがある。その周りを囲むように発展した街。
父親は9歳の時、俺にこういった。「ソアは学ぶことが好きなのだから首都へ行きなさい。お金のことは父さんたちに任せて、首都で大切な10代を過ごしなさい。」俺はキラキラした期待に胸を膨らませ、11歳でラウェンに移り住んだ。
初めての一人暮らしは、困難だらけ。だけど学校に行けば毎日サインを交わす仲間がいた。ガイウの地方のサインの癖を笑われて、蹴り合いもした。首都の教育はとても楽しかった。
しかし、俺は気づいた。俺は愛と知識を誰より愛しているのに、テストの点数は一向に上がらない。人に教わったり、一人の部屋でごちゃごちゃとサインをこぼしながら、勉強に励んだ。それなのに、わからない。核心に近づくほど、つまづく。俺はいよいよ、15歳の時、7年間の学校を5年で辞めてしまった。
久方ぶりの両親への連絡はこうだ。「父さん、母さん、ごめんなさい。俺は学校での勉強に追いつけなくなってしまった。明日、11:00の飛行機でガイウに帰るから、話を聞いてくれないか。」返信は、無かった。ガイウにつくと、そこには、変わらない景色があった。空港の前で売っている肉まん。俺はなけなしの金でそれを買い、砂の上に胡座をかいて食った。思い出が蘇って、涙が出そうになるのを、必死に堪えながら。
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音の無い国 匿名八十六番 @tokumei_No86
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