2. 砂漠の街

ガイウ。国境近辺の廃墟にて。

ひっそりと小さなサインを交わす男たちがいた。


「針を売ってくれ。俺の銃は型が少し古いんだ。どうだ、10発分あるか?」

「それなら、20万カオロでどうだ?」

「おい。ふざけるなよ。高すぎる。先月は10万カオロで取引したはずだ。それでも高い方だっただろ。」

「今は需要が高まってるんだ。こうしねぇとあっという間に在庫切れになっちまうんだよ。」

「…お前、売っているのか?カファの人間に。」

「…」

「まぁいいさ。お前はそうやって生き延びるしか無いんだろ。」

「よせ。」

「じゃあ、10万カオロだ。5発分くれ。」

「どうも。」


針を売る薄汚い商人の隣に、これまた薄汚い銃を持った男。裸足にボロのローファー、擦り切れたジーンズ。白の布を上半身に巻いて、オーバーサイズの汚れた茶色いコートを羽織っている。そのコートが本来何色だったかは、もうわからない。名前はソア。はぐれものにぴったりの名前だ。

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