第13話

「さてと銃を買ったがまだこれから金は出てくんだよな。ammoがなきゃ意味がねぇ。とは言え、既にアタシ達は9mmや12GAは多少持ってる。そこまで銃弾を買い込む必要はねぇ。まぁサイトでバルクパッケージで買えば割安になる特に一発の高い5.56mmや10mmは金がある時に大量に買っておきてぇ何かと便利な9mmあたりはな。だがテメェらもう一つ忘れてるだろ? 汐路だ。汐路の銃を買ってねぇ。」

 

 : お? とうとう汐路もトリガーハッピーへの道を歩むのか?

 : 汐路には何を?

 

「ま、汐路のはオモチャだよオモチャ。そんな高いもんじゃァねぇ。当ててみな。」


 棗がにやりと笑いながら銃弾専門のサイトを開き5.56mmNATO弾と10mmホローポイント、.410のショットシェルを購入し華音とマコに配っていく。


 : オモチャかぁてことは22口径の安い銃か?

 : 32ACPもあり得るがワルサーPPKは高いしなぁ。

 : トーラスとかの22口径リボルバーとか?

 : いやもっとクソマイナーなメーカーかもしれん。

 : CANIKって言いたいが最近値上がりしたんだよなぁ。

 : 大穴でゴミハンドガンの代名詞ハイポイントと見た。


「うーん。思いつかないなぁ。私もドコかの22口径だと思う。」


「わっ わたしはっ⋯⋯。なっなっちゃんほど詳しくない から⋯⋯。わから⋯ない。」


「みんな大外れだ。アタシがハイポイントのなんか買うわきゃねぇだろ。それこそ貴重なリソースをドブに捨てるもんだろ? 答えはコイツだ。」


 そういうと、段ボールの箱が現れそれを開くと黒いパッケージに銃の写真とアルファベットのGの文字が大きくプリントされている箱が現れる。


「みんな大好きグロック⋯⋯⋯⋯の、CO2ガスエアガンだ。言ったろ? 玩具ってなぁ。」


 : は? そんなんあり?

 : この流れでそれはねぇだろ?


「バカかテメェら? 汐路はエアガンすら触ったことねぇんだぞ? そんなのにいきなり実銃渡して運用させれねぇよ。実銃を的あてで使わせるならまだしもそれを運用するってなると話は別だぞ? 今の主流はトリガーセーフティだぜ? ホルスターから抜くときにトリガーに指かけたらどうなると思う? その他諸々銃を扱うにはそれなりのゴールデンルールがあるんだよ。古参でレンジに行ったことあるやつならわかるだろ?」


 : だな。危なくて汐路ちゃんに持たせるって言った時にはヒヤヒヤした。

 : 扱いに慣れてる棗が汐路ちゃんにも銃を買うって言ったとき驚いた。撃たせるならまだしも所持はな。


「やはりガンマニアでも実銃触ったことあるやつとエアプでは考え方が違うな。銃の名前とかは知っていてもこういった考えはもってねぇみたいだ。ま、汐路には暫くコイツでセルフディフェンスの仕方とかをトレーニングしてもらってその合間にマコや華音の9mmを撃たせる。実銃を持たせるのは早くても半月は先だな。」


 そういい棗は汐路にCo2ガスガンのグロックとバイオBB弾、そしてCo2のボンベを手渡した。


「コイツが暫くの間汐路の相棒だ。大事に扱え。使い方とかはマコや華音が知ってる。そして先に言っておくソイツは玩具だ。だからといってバカなことしたらぶち殺す。玩具だからと銃口を向けたら敵対したと見なすぜ? もちろんそのうちアタシら三人分のガスエアガンも購入して実戦訓練もするからそん時は容赦なくアタシらに銃口を向けてもいいけどな。」


 : 玩具だってわかってるのに殺すって棗やべぇな。

 : いや、たとえ玩具だろうが冗談半分にむけちゃだめだろ?

 : ま、今から実銃と同じように扱わせて慣れさせるってことだろうな。


「そういうわけだ。因みにこんなかにもエアガンを持ってるやつ、サバゲーをやってるやつもいるかもしんねぇがたとえ玩具だろうが実銃と同じように人に向けない、必要な時以外はトリガーに指をかけない、マガジンをリリースしてようが常に弾がチェンバーにあると仮定して扱えよ?」


 そういい棗は購入したばかりのTAC ULTLAを箱から取り出しカメラに側面を向ける。


「まず、新品の銃を買ったら箱から取り出しマガジンをリリースする。そしてスライドを引きチェンバーフラグってのが入っているからそれを引き抜く。このオレンジのプラスチックのやつがそうだ。コイツが突っ込まれていればチェンバーに弾がねぇって証明だからな。」


 慣れた手つきでマガジンをリリースしスライドを引き、フラグを抜いたあとそのまま何度か引き金を引きスライドを動かすのを繰り返していく。

 

「とくにこんなことはしなくてもいいが⋯⋯。あたしが今何してるかってぇとトリガーの重さやウォール⋯⋯トリガーの遊びの距離、そしてブレイクやトリガーリセットを確かめているのと、スライドに引っかかりがあるかを調べてる。まぁ本来ならガンショップで銃を買う時にさせてもらうことだな。その時点じゃ店のもんだし乱暴にやるなよ? あと古参のリスナーだとトリガープルが気になるだろうが計測する機器がねぇから眼の前のパソコンかなんかでカタログスペックを見とけ。トリガープルっつうのはトリガーを引くときどんくらいの力で引くのかってやつだな。軽い方が好まれる。が、軽すぎるやつはちょっとした反動てトリガーを引いちまう可能性もあるから競技用に軽すぎるトリガーつけたやつをセルフディフェンスでキャリーするのは辞めたほうが良いぜ?」


  棗はマガジンの入っていない銃を箱に戻すと予備のマガジンを含めた二本のマガジンへ弾を指で込めていく。


「コイツは10mmホローポイント ホローポイントってのは見てのとおり弾頭の鉛がむき出しなってて先端に窪みのある柔らかい弾だな。それと比べて銅のジャケットに覆われてるのがフルメタル・ジャケットってやつだ。ホローポイントは鉛がむき出しになって先端が窪んでる分当たったときマッシュルーミングっていう弾頭の変形が起きて貫通力が低くなる。貫通してまわりに被害を与えることも少ないし押し潰れることによって体内に潜った時の軌道が不安定になって臓器を破壊してくれるぜ。ほかにももう売ってはないがダムダム弾なんていうフラグメーション⋯⋯ばらばらになって飛び散る弾なんてのもある。最近だとR.I.P弾てやつだな。クソ高いから買わねぇが。」


「なっちゃーん。せめてスリングだけでも買って良い?」


 華音やマコ、そして汐路もどうやら銃に弾を込めたりフィーリングを確かめたようで棗のもとに近づいてくる。


「ん? ああそうだな。マコと華音はスリング、アタシと汐路はクソみたいなナイロン製のホルスターでも買っておくか。いや、樹脂の安いやつでも良いか。」


「私のスリングは結構良いやつにしてもらって良い? 私は多分V7からメイン変えないし。」


「良いぜ。マコはどうする? この先357マグナムや44マグナムをつかうビッグボーイとかビッグボーイ レッグとかをメインにする可能性もあるし308のマリーンなんかもあり得るだろ?。」


「わっ、わたしは今の 所これでいいかな⋯⋯なっ なっちゃんや華音ちゃ⋯⋯んが先に⋯⋯揃えて。」


 棗は少々高めの片手で調整が素早く効く一点式スリングを華音に、パラコードの安価なスリングをマコに買い与え、ナイロン製の安いホルスターを自分と汐路に購入しそれをベルトへとつけていく。


 : 10mmの試射楽しみだな。あまり10mmって聞いたことないわ。

 : 9mmと1mmしか変わらんからそんな変わらないんじゃないの? どうなのそこんとこ

 : まぁ 数値だけでみれば9mmより45ACP、45ACPより10mmって感じだが仮にとんでもなくタフなモンスターにマガジンフルに叩き込むってんなら10mm八発より9mm15発の方がダメージは与えれると思う。棗が言う通り装弾数が多いほうが有利だな。


「ま、そんなわけだ。あくまでもハンドガンは街なかでセルフディフェンスようだな。アタシの嫁に手を出そうとするやつをぶち殺すためのな。モンスター相手はとにかく火力よ。5.56mmや12GA おまけの.410boreってところだ。」


 : その.410boreってのはどんなもんなの?

 

「.410知らねぇか。ショットガンのシェルでな大きさ的には45coltとかと同じくらい。トーラスのレイジングジャッジとか454カスールや45coltを使用するハンドガンで使用できたりする場合があるな。威力は1000ジュールくらいだ。9mmが500Jに少し足りない位で45ACPが550Jあたり。10mmは900Jくらいだな。ま、何グレインのどんなたまを使うかにもよるから多少の差はあるぜ。」

 

 : 何気にマコちゃんが一番威力高い弾を使うのか。

 : まこちゃんふきとばない?

 

「.410はショットシェルでも口径が小さいからな。ハンドガンじゃァねぇし平気だ。ハンドガンでも別にマコがスミス&ウェッソンM500を撃つなんてことも出来るぞ? お前らマンガのオーバーな表現を信じすぎだ。デザートイーグルを撃っても肩は抜けねぇし後方に吹き飛ばねぇよ。もちろんきちんとしたスタンスで構えていること前提だぜ? 動画サイトでたまにみるハンドガンを撃って後ろに転ぶなんてのはそういう例だ。」

 

 棗が解説をしている間に華音は銃の入っていた箱をまとめ、不要になったソレをセーフハウスの中にしまい込んでいく。

 

「さてと、貴重な弾を無駄にその辺の木に使うってのも持ったいねぇがいきなり実戦投入ってのもな。とりあえず数発試すか。」

 

 棗は汐路の購入したエアガンの箱の中のペーパーターゲットが置かれてるのに気が付きソレを手に取り周囲を見渡しちょうど良さげな巨木を見つけるとそこまで歩いていきペーパーターゲットを幹に貼り付けそこから大きく足を広げながら20歩ほど歩き立ち止まり華音とマコ、汐路を呼んだ。

 

「あのペーパーターゲットからここまで約20ヤード。1ヤードは0.9m大体一歩分の距離だ。ヤードがわかりやすいのは身体尺を使ってるからだな。歩数=ヤードって考えれば良いぞ。さて誰から行く? と、言いてぇ所だがここは訓練兵汐路からだ。」

 

「ええっ!? 私から? っていうかエアガンだよ? 届くの?」

 

 急に振られ驚き声を上げる汐路に棗は余裕だと答えた。

 

「アタシの指導と華音の指導、マコの指導誰が良い? アタシはかなり厳しめだ。華音は普通くらい。マコは吃ったりするがかなり優しく教えてくれるぜ。」

 

「じゃ、じゃぁ マコちゃんかな。」

 

 汐路は当然とばかりにマコを選んだ。

 まだ知り合って24時間も経過していないが棗の性格だけは十分に理解できている。華音に関してはあまり接点がなく、逆にマコはどちらかというと汐路の隣に常に控えていたしそれなりに言葉をかわしている。

 

「わ、わかっ わかった。よ⋯⋯よろしくね。まずは⋯⋯私達に⋯⋯銃口を向けないように⋯⋯気をつけて5発撃ってみて。」

 

 なんの指導もなくいきなり撃てと言われ汐路は首を傾げる。

 

「マコはそういう教え方か。 まぁエアガンを使ってってならではの教え方だな。実銃じゃ出来ねぇやり方だ。リスナーにも見せるんだろ? ダメなやり方を。」

 

「う、うん。何が⋯⋯どう⋯⋯きっ危険なのか⋯解説したほうが⋯わっ解りやすいかと⋯⋯思って。」

 

 汐路はまぁ間違ったやり方を見せるためなら間違っていても大丈夫だろうと安心し、ホルスターに入れていた銃を抜き大好きなアニメを思い出しながら銃を構え5回トリガーを引いた。

 

「わっ 結構すごい。おもちゃなのに。」

 

「あー これアタシらじゃなくてもダメ出しできる典型的なダメな撃ち方だな。」

 

 : お、おう。流石にコレはサバゲーしかしたことない俺でもわかる。

 : 銃に興味ないバズったから見てるワイには全くわからん。

 : ま、まこちゃんなり棗なりが解説してくれるだろ。

 

「まっ、まずは⋯⋯片手撃ち⋯⋯。これが⋯⋯一番だめ⋯⋯。銃は両手で⋯⋯ちゃ、ちゃんと保持しないと。い、今はでっできないけどアッ⋯⋯アキンボもダメだよ。」

 

 : アキンボって何?

 : 二丁拳銃のことやな。

 

「だな。そもそも二丁拳銃ってのは両手で一丁ずつもって撃つ事じゃぁねぇ。西部開拓時代キャップ&ボールのころリロードにかなりの時間がかかるから二丁拳銃を所持し片方が弾切れをしたらもう片方の拳銃を抜いて倍の手数を出すってことだ。昔のリボルバーは弾切れをしたら分解して用意していた別のシリンダーに付け替える方が早いくらいにリロードが面倒だったからな。」

 

 : へぇ 豆知識。

 : まぁそれが二丁拳銃の始まりだけど両手持ちのこともまぁいまじゃ二丁拳銃っていうけどね。

 : 時代の流れで意味が変わったってやつか。

 

「かっ 片手打ち⋯⋯だからっ かっからだが⋯⋯横を向いてる。しゃっ射撃の⋯⋯スタンスは⋯⋯アっアイソ⋯⋯アイソセレスタンスが⋯⋯基本。」

 

 : 専門用語わからん。なにそれ。

 : なにそれって言われても射撃姿勢としか説明できんな。

 : だな。ワイらはアイソセレスタンスがごく当たり前の射撃姿勢だと思ってるし。

 

「まぁあれだ。映画でよく見るマイアミ市警だとか言いながら銃を構えたりしてるだろ? ああいう構えだと思って良いと言いたい所だが、ウィーバースタンスの時も結構多い気がしてきたな。」

 

 : 寧ろ映画はウィーバースタンスの方が多い気がするね俳優の顔とか見やすいし。

 

「コレばっかりは見せたほうが早いか?」

 

 棗が悩んでいるとマコが汐路にわかりやすく口頭で説明し始める。

 

「じゅ、銃を身体の前で⋯⋯両手で もって行けば⋯⋯しっ自然に二等辺⋯⋯さっ三角形になるから⋯⋯。あとは足を⋯⋯肩幅に⋯。肩のちっ力を抜いて⋯⋯。そ、そう。そんな感じに。」

 

 : あれがアイソセレスタンスか。てことは有名ゾンビゲーの主人公の構えがウィーバースタンス?

 : ああそれ。初代の廊下で構えてるのがアイソセレスタンスで2だかのパッケージがウィーバースタンスやな

 : ほぉ。ずっとウィーバースタンスってやつのほうが基本だと思ってた。

 

「あっあと。 さっき銃を⋯⋯抜いてから⋯⋯すぐに⋯⋯トリガーガードに指を⋯⋯入れてた。撃つまで⋯⋯トリガー 指掛 ダメ。」

 

「ここまでがエアガンでサバゲーしかしてないやつでもわかるダメなところだな。まぁもう少しわかるかも知れねぇがアタシが知る限りできちゃいないサバゲーマーが多かったから多分ここからは古参リスナーでも分からんやつもいるかも知れねぇ。まぁアタシの動画みてりゃ何度も言ってるから覚えてるかもしれねぇがな。」

 

「ここから先を説明したいけど⋯⋯もう一度銃を抜くところからやってみて。 たっ多分新しくダメな⋯⋯とっところが⋯⋯ふっ増えてるから。」

 

 : 直したら増えるもんなん。

 : ワイはわかる。ワイもトレーナーに言われた部類だから。

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る