第14話
エアガンをホルスターに戻した汐路は再び銃を抜くと両手で構えやはり5発撃ち、腕をさげ銃口を下に向けると顔をマコの方に向け様子をうかがう。
「えっえっと。 銃を抜いてから⋯⋯こっ今度は りょっ両手で構える為に⋯⋯ひっ左手をいっ移動させっさせたけどっ⋯⋯じゅっ銃口に ひっ左手がっ あっあぶない。」
「銃を抜く時は左手は胸の前、服装や装備に寄っては邪魔にならねぇように胸を手で抑えるくらいにして抜いた銃が胸の前にきてから左手を銃へって感じだな。割と多いのがこういった安モンのホルスターを使ってると引き抜く時グラつくからホルスターを左手で抑えようとするがダメだぜ? シューティング競技じゃぁ一発アウトだ。」
「あっあと左手の指が スッスライドにあっ当たってて⋯⋯、かっ片目で狙ってる。ちゃ、ちゃんと両目をあっあけて⋯⋯ねっ狙わなきゃ。うっ撃ち終わったあともゆっ指がトリガーに⋯⋯かかった⋯⋯まっまま だった。そっその状態で⋯⋯銃口を下に⋯⋯向けたら⋯⋯危険。」
「と、こうやって結構ダメなところがでてくるわけだ。まだまだ色々直していきてえがアタシらは日の出てるウチに人里を見つけなきゃなんねぇからな汐路はマコと一緒に画面外でやっててくれ。次は華音のライフルっていいてぇが20ヤードは近すぎるから先にアタシ、そしてマコが先に撃って最後に華音だ。」
「なっちゃん、合図はいる?」
棗が試射をしようとすると暇を持て余していた華音が声をかけてくる。
「ん? 頼むわ。あったほうがしっくりくる。」
「タイマーは無いけどね。 shooter make ready. stand by⋯⋯」
そこまで言うと華音がパンと手を叩くと即座に棗はホルスターから銃を抜き5発素早く撃ち銃を構えたままの姿勢でハァっと大きく息を吐いた。
「いかんな。最近はオプティックレディの銃ばかりでレッドドットありきで撃ってるからな。」
棗は銃にセーフティーをかけてからホルスターにしまうとペーパーターゲットを取りに行き戻ってきた。
「ちっ やっぱ9mmよりリコイルもキツいから結構ばらついちまったな。」
「でも、結構良いんじゃない? ほら、一発だけどド真ん中だよド真ん中。」
「ソイツだけじゃァねぇか、A点に入ってんの。A点に一発しか当てられてねぇとか恥ずかしくて親父に見せれねぇよ。」
恥ずかしさのあまり頬を指でかく棗に華音はもう一回するかと聞いた。
「いんや、9mmと比べて10mmは高いからな。せめてフルメタルジャケットを買ってからだな練習は。じゃマコと交代してくる。」
棗が画面外歩いていきしばらくするとマコがかわりにやってきた。
「おつかれさま。どう? 汐路ちゃんは慣れてきた?」
「まっ、まだまだかな⋯⋯。まっ的は⋯⋯あっあれかな?」
「うん。 どう? .410だしレバーアクションなんて初めてでしょ? ビルドリル擬きじゃないほうが良い?」
「そ⋯⋯うだね。ロッ⋯⋯ローディングもっ なっ慣れてないから。」
「一応掛け声はしておくね。 シューター メイクレディ スタンバイ」
ハンドガンと違いスリングで肩からかけているためマコはローレディと呼ばれる状態から始める。
そしてマコは今初弾をチェンバーに装填していない状態だ。
パンと手を叩くと同時に古参にとってはとても心地よく聞こえるレバーが下がり弾を装填する音がなりトリガーが引かれ放たれた.410のスラグ弾はペーパーターゲットに命中し大きく弾けさせる。
本来は一発で終える予定だったマコだがそのあまりの心地よさに再度レバーを動かし次弾を装填し発砲する。
「うわっ 小口径とはいえショットシェルだね。すごい威力。」
たった二発の銃撃で使い物にならなくなったペーパーターゲットを前にマコは満足し、華音はその威力に魅せられていた。
「わっ⋯わたしはコレで終了で⋯⋯いいかな。」
「じゃ次は私か。私はライフルだし30ヤード⋯⋯50ヤードくらいからかなぁ。なっちゃーん。50yrdから撃つから少し離れるよー。」
華音は棗達に背を向け50歩ほどいった先にある幹にペーパーターゲットを貼り付けると駆け足で棗たちのもとに戻りマコに声をかけた。
「掛け声お願いね。ローレディとハイレディを一回ずつ、最後にライフルで一発撃ってからハンドガンへ持ち替えての3タップをやるよ。」
: 華音ちゃんてお嬢様だよな? PMCの兵士とかじゃないよな?
: 棗より兵士みたいなことし始めたな。
: まぁ 棗の嫁だし頭ん中テキサスどころかノルマンディー上陸作戦なっててもおかしくないだろ。
「しゅ⋯⋯しゅぅたぁ めっメイク⋯⋯ レッレディ。」
吃音症のマコに掛け声を頼んだは失敗だったかなと華音は心のなかでマコに謝りつつも50ヤード先のターゲットと手に持ったライフル、そして耳に神経を集中させる。
「すっ スタンバイ⋯⋯。」
やや長めの間が空いたあとマコの手の打つ音が鳴り、華音は素早く銃口をあげストックに頬を当て5回素早くトリガーを引き、棗のように射撃姿勢のまま深呼吸をするとセレクターをいじりセーフティをかけ幹に張り付けたターゲットを持って戻ってきた。
「うわー恥ずかしい。A点に一発も当たってない。やっぱ50ヤードは遠すぎたかなぁ。」
: え? あんなすごそうに見えて全然当たってないのに棗より凄いの?
: ワイらエアプはわからん有識者解説おながい。
: 普通やね。というか、オプティックサイトもついてないしアイアンサイトもないライフルでアレだけ当てれれば十分だと思う。実際サイトなしの銃なんかレンジに無いからわからんけど。
: あんな小さな10mそこそこでエアガンで遊ぶためのターゲットを50ヤード 45mをスコープもオプティックも無しで当ててるからな? 人間にならきちんと当てれてる。
: ワイもFPSゲームでなら出来るで。
: ゲームといっしょにするな。
「これは恥ずかしくてハイレディでのチャレンジはできないや。みんなゴメンね。オプティックつけてからまたちゃれんじするよ。」
華音はそう言いながら手に持っていたペーパーターゲットを手で丸めていきチラリと棗の方へと顔を向ける。
棗の顔は満面の笑みだ。それも良いところを見せ向けようとし失敗し恥ずかしがる華音を楽しむというそんな笑みを浮かべていた。
「おいマコ、汐路みたか? あんだけカッコつけてローとハイ試すとかいってA点0発だぜ? ぷー はっずかいしいぃ。アタシだったら恥ずかしくて顔を華音の脇に埋めて隠しちまうところだぜ。」
「そっ⋯⋯それは⋯⋯ただ⋯⋯脇の臭いが⋯⋯嗅ぎたいだけじゃ?」
「棗、恋人にそんな追い打ちかける普通? 優しくてしてやりなさいよ。」
「ま、華音いじりはどうでもいいな。しっかしよくオプティックもねぇライフルでここまで当てれるもんだな。アタシよりセンスあるんじゃねぇか? アタシがショットガン好きなのはこの辺に向けてうちゃ当たるだろ? で運用できるからだし。」
実際、棗はいうほど射撃の腕がいいというわけではない。決して悪くはないし銃社会のアメリカ人でもトレーニングをしてない者達よりかは腕は良い方だが訓練しているシューターと比べてみれば下の方だ。
日本でのガスガンでのサバイバルゲームではソコソコの戦績を叩き出すことができるがそれは棗の長所が何らかのオカルトな領域に達している勘と反応速度という組み合わせによるものだった。
「さてと、結構時間が経過しちまったな。それに銃をぶっ放して銃声を鳴り響かせちまったしさっさとこの場を離れるか。」
「だね。 今日こそ村を見つけてお風呂に入りたい。あ、お風呂に入る前に脇の臭い嗅ぐ?」
「おう、勿論。華音の脇はエロい匂いプンプンしやがるからな。」
そんな会話に汐路は顔をしかめマコに顔を向けた。
「棗も変だけど⋯⋯華音もだいぶ変わってるよね? ていうかマコちゃんはあの二人といて平気なの? マコちゃんも棗と付き合ってるんだよね?」
おとなしそうなマコがあのおかしい二人とどう過ごしているのか気になり汐路はそれとなく聞いてみた。勿論、肉体的なそういった関係や行為のことではなく一般的な意味でだ。
「わっ わたっ 私はたっ たの 楽しいよ。 なっ なっ なっちゃんもかっかのんちゃんも優しいし。ご飯 おっ美味しいって 言ってくれる。 わっ わたしの はっ はなしを きちんと さっさっさいごまで きっきいて くっくれるし。」
汐路はマコだけは普通で良かったと安堵した。見た目通りのんびりした優しい子なのだろうと汐路はニコリと笑う。
「そっかぁ いい人に出会えてよかったねマコちゃん。」
GunFreakSisters トリガーハッピーは異世界でいきる @idiotdog
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