第7話
「さてと、そろそろ夜も更けてきたからな配信を終了するぞ。明日も多分配信すっから暇なやつは見に来てくれ。ま、家でマスかくくらいしかすることのねぇテメーらは暇だろうがな。」
: ホントコイツ口ワリィよなぁ。
: 性格もなー。
: 良いのは容姿だけだからなぁ。
: でも華音ちゃんの能力のワンルームって4人入れるの?
: もうそこまで信用してるん?
「あー。まぁアタシの勘が汐路は大丈夫だと言ってる。」
: 棗の勘って当てになるん?
: ヤバいくらい当てになる。そういう異能を日本にいるときから持ってると言っても信じれるくらい。
: 棗の場合経験則からの勘とかじゃなくてマジで獣じみた第六感なんよなぁ。
: オカルトな能力地味てんだよなぁこいつの勘。
: ソレよりも性欲モンスターの棗といて汐路は平気なのか?
: 流石に華音とマコって嫁居るし襲わないだろ?
: いや、そうじゃなくって棗なら汐路が居ても華音ちゃんとまこちゃんとおっぱじめるんじゃないかってことだ。
: あ……。
「えぇ いや流石にないっしょ? え? 無いよね?」
汐路がチラリと棗の方を向くと棗は華音とマコを抱き寄せニマニマと気色の悪い笑みを浮かべていた。
「安心しろ。一日くらい我慢はできるぞ。」
: 一日しか我慢できねぇのかよ。こちとら生まれてから36年我慢してるんだぞ。
: ソレ我慢違うモテてないだけや。あと10年早いんよワイは46年や。
: それもう……。
「じゃあな。配信終了。マコ能力止めていいぞ。」
棗の声にマコが能力を解除すると目玉がすっと掻き消えていく。
「さて、配信も終えたし馬鹿話はここまでだ。汐路、こっからは結構ガチな話をするぜ? 遊びはなしだ。」
棗の顔は先程までの人を小馬鹿にしたような軽薄さが消え真剣な眼差しをしていた。
「汐路の能力はフリマでソイツで日本円を稼げるそれは間違いねぇな?」
「ああ、嘘じゃないよ。」
「じゃぁこっちの能力だが……。華音とマコの能力これはもう知ってるよな?」
「マコちゃんが配信で華音ちゃんが家だっけ?」
「マコの能力もスパチャを貰えば日本円を稼げる。そして華音能力は魔石ってのがありゃ部屋を大きくしたり部屋数を増やしたり電気ガス水道が使える。アタシらは魔石と日本円さえありゃ困らねぇんだ。アタシの通販の能力もあるしな。 それでアタシの通販なんだな通販できるサイトはアタシが日本に居た時にブックマークしていたサイトに限るんだが……。」
「それが銃を手に入れれる秘密ってこと?」
大手ECサイトの満天やナイルにも実銃なんかは扱ってはいない。
そのため通販という能力ではないと思っていたのだが予想に反し、本当に通販能力だったのには汐路は驚きを隠せなかった。
「で、まぁクソざっくりと言うとアタシは帰国子女ってやつでな。高校入学までテキサスで育ってたんだ。だから銃には詳しいし銃の扱いにも慣れてる。んーで日本に帰ってきてからもチョコチョコそういうサイトを眺めてたって話なんだが悪いが汐路に銃を渡すってのはまだ出来ねぇ。」
「そりゃまだ、信用できないんだろ? 仕方ないよ。」
「ソレ以前に金がねぇ。アタシらは弾や銃を買うために配信の能力を使用しているがソレ以外にもアタシらはすべてその日本円で生活を整えていくからな。飯に服、その他にも石鹸だのシャンプーだの、トイレットペーパーだのとな。それをクリアしたとしてもド素人に銃を持たせるなんてのは慣れたアタシ達からしてみりゃ怖すぎるんだよ。ド素人に持たせても安心できる銃ってのはいくつかあるがたけぇ。正直アタシらが今扱ってる銃なんか比べ物にならねぇほどにな。」
「素人が持ってても安心出来る銃って?」
「一つはリボルバーっ呼ばれるやつだな。構造が単純で壊れにくい。もう一つはマニュアルセーフティのついているセミオート。 今主流のハンドガンはストライカーファイア方式のポリマーフレームの銃でトリガーセフティってのが主流なんだがこの、トリガーセーフティってのがド素人に渡すのを躊躇う理由なんだ。」
銃の扱いが慣れていたアメリカの警察ですらグロックが広まり始めた90年代ホルスターから銃を引き抜く時トリガーに指をかけてしまい足を撃ち抜くという事故が多数報告されたほどだ。
その為棗は、銃の扱いに慣れていない汐路にはマニュアルセーフティーのハンドガン……それこそブローニングハイパワーやナインティーンイレブンなど二段階のセーフティがある銃を持たせたいと考えていた。
「で、金に余裕があって多少高くても信頼性の高い銃が買えたとしても、アタシや華音、マコの見てる前で練習を何度もさせてからって話だ。アタシや華音、マコは慣れてるが映画見てぇに簡単に撃てるもんじゃァねぇ特に初めての射撃ってのは事故が起こりやすい。反動で跳ね上がった銃口が自分の頭に向いてそのまま撃ち抜くなんてこともある。流石にセルフヘッドショットなんかしたかぁねぇだろ?」
実際、アメリカでは初心者の講習なんてのもありそこでは初めての射撃のときマガジンには一発しか装填させず、反動に慣れさせるのだ。
特に多いのは子供の頃に22口径を撃ったことがあるからと講習などにも行かず買った銃を片手で撃って誤って自分を撃ってしまうという事故だった。
「そこまでしてやっと、動かねぇ紙や木の板のターゲットを撃つ的あて遊びが許可できるレベルだな。実際に銃を持って戦闘、護身てなるとエアガンなどを使って訓練を何度も重ねてやっとだ。10歳から退役軍人に習っていたアタシも最近ようやく及第点になってきたと思える程度だぜ? 華音やマコですらアタシから見たらまだまだだな。」
とは言え棗の判断基準はかなり辛厳しめだ。体力と筋力の低いマコはともかく華音はサバゲーではかなりいい動きをしている。
それでも及第点と言わないのは、基準がボブ達アメリカ海兵隊等の退役軍人達だからだった。
棗は自分に及第点をつけているがだからといって軍人並みの動きができるかというとそうでもない。エアガンを使った訓練やサバゲーでスムーズな射撃が出来るようにはなっているし持ち前の勘などもある、銃で人を撃つということに戸惑ったりするするような性格もしていないが棗は一般人であり女性だ。
持久力など圧倒的に足りていないしチームで動くための動きというのもまだまだだった。
「まぁ偉そうなこと言ってるがアタシも華音もマコも多少銃に慣れてるだけのド素人だ。銃を手に入れてイキってるガキとそう変わらねぇよ。」
そういい棗は笑って見せる。
「ねぇ、棗さんだったっけ? それが本当の姿なの? さっきまでの頭のおかしい人みたいなのは配信用の姿?」
「はぁ? んーなもんどっちもアタシだよ。アタシは自己中でモラルもねぇガンフリークでトリガーハッピーな性欲強めのレズビアンだってのは間違いねぇよ。そういやぁ汐路は安全そうな拠点見つけたらどうすんだ? まぁ今から考えててもしょうがねぇがな。」
「どうするって?」
「そりゃ アタシら三人は夫婦だからずっと一緒にいるし一緒に暮らしていくが汐路は違うだろ? アタシらから離れたら銃弾は補給できねぇし、日本で使っていたようなモンも手に入らねぇ。特に気に入ってた化粧品なんてもんはな。フリマの能力は買うことも出来るのか?」
「購入もできるけどフリマで買えるものって大体今必要なものじゃないから……。」
「確かにギターだの家電だの買ってもな……。さてと、そろそろ眠くなってきたしセーフハウスに入って寝るとすっかねぇ明日は日の出とともに行動すっからな?」
棗はそう言いながら華音に扉を出させて中にはいっていく。
「汐路、当たり前だが寝具なんてもんは余ってねぇ。アタシらは自前の寝袋があるが流石に寝袋の中に二人で入るなんて出来やしねぇからそのまま床に寝てもらうことになるぞ。」
「だよねぇ。まぁ、モンスターに怯えながら寝なくても良いってだけで十分だよ。」
LEDランタンに照らされた部屋の中で棗達は寝袋に入り汐路は床にごろりと寝転んだ。
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