第3話 現在地を把握した俺

 現在<ウィーヴルの宝物庫>なる場所にいる模様。

 ……俺、こんなとこに来た覚えないんですが?


 ……これはあれかな?

 転生ものは転生ものでも、何かの衝撃を受けて途中から前世の記憶が戻ったタイプの転生かな?

 囚われた時に頭を強く打ったとか?

 今まで生きてきた今世の記憶、全然ないけど(記憶があったらどうして『ビキニアーマー』着てるのかもわかったかもしれないのに)。


 あと、動けないのもしゃべれないのも謎。

 縛られてたり塞がれてたりする感覚なんてないから。

 ――あっ、いや、これ魔法かも!

 前世と同じ基準で考えてちゃダメだわ!

 ステータスウィンドウとか存在してるし、そこに〝攻撃・デバフ魔法〟って書いてあったし!


 この世界には魔法が存在している!

 だから縛られたり塞がれてる感覚がないのに動けないししゃべれないってことが起こり得るんだ!

 俺は魔法で拘束されてるに違いない!


 ふんっ! ふんがーっ!

 ……うん、身体も口もまったく動かせそうにない。

 これが魔法。

 すごいな……。


 も、もしかして、俺も魔法使えちゃったりする⁉

 ……試してみようかな?

 ちょっとだけ。

 ……こほんっ。



 エクスペク〇パ〇ローナム!



 ……。


 しかし何も起こらない。


 ……恥ずかしい。

 死にたい……っ。


 幸いだったのは誰にも見られてなかったことだな……。

 しゃべれないから叫んでもいなかったし。

 動けないから恥ずかしいポーズもとってなかったはずだし。

 ……大丈夫だ、傷は浅い。

 もし、動けて、しゃべれて、それを誰かに見られてたら、恥ずか死んでた自信がある。

 いやー、拘束されててよかった……。


 それにしても、俺、魔法使えないのかな?

 俺が知る限り、一番有名で強力な防衛呪文なんだけど。

 確か、悪霊から身を守る魔法だったはず(にわか知識)だから、悪しき魔法に囚われてるこの状況ももしかしたら打破できるんじゃね?って思ったんだけどな……。


 俺が魔法を使えないのか、「エクスペク〇パ〇ローナム!」がこの世界に存在していないのか……。

 ……後者であってほしいなぁ。

 違う魔法が使えるか試してみた方がいいかもしれない。


 えっと、魔法を打ち消すのは《アンチスペル》か?

 ――アンチスペル!

 ……ダメだ、発動しない!


 じゃあ、状態異常を治す《リフレッシュ》は⁉

 ――リフレッシュ!

 ……これもダメだ、変化なし!


 考え方を変えて、攻撃力を上げる《ブースト》で力任せに解除する方法なら⁉

 ――ブースト!

 ブーストぉおおお……っ!



 ……。

 いろいろ試しに試してわかったことが一つ。


 俺、魔法使えねぇえええ……!


 身体強化魔法も回復魔法も魔法を打ち消す魔法も、何度も念じてみたけど効果が現れる兆しがなかった!

 それらの適性がないだけかと思って属性魔法を使ってみようとしたけど、地も水も火も風も生み出せなかった!

 もちろん、雷も氷も光も闇も!

 超有名なあの魔法が発動しなかったのは魔法側に問題があったんじゃなくて俺の方に問題があったからだった。

 俺、魔法の適正が一切なかったんだ……っ。


 うそーん……。

 異世界に来て魔法が使えないなんて、そんなことあるぅ……?

 ショックすぎるんだが……。


 あまりのショックの大きさに、ステータスウィンドウ何度も見返しちゃったよね。

 そしたら判明した。

 わかってしまった。


 どんなに調べても「使用可能な魔法の一覧」が見れなかったことに。


 ステータスウィンドウに「お前は魔法、使えませんよ」って名言されてるみたいだ……!


 それでも諦めきれなくて、どうにか魔法を使えるようになる方法はないものか⁉ って探してたら、スキルポイントに目が留まった。

 スキルポイント……ゲームだとキャラクターを強化できるシステムだったはず!

 これを使えば俺を強化できて魔法を使えるようになるかもしれない!

 そう思って、何か有用なものが取れないかって念じてみたんだけど……。



┌─────────────────────────────┐

         《スキルリストウィンドウ》

├─────────────────────────────┤

 〖サイズ調整〗

 ――身体のサイズを合わせることができる

 必要SP1


 〖念動力〗

 ――身体を宙に浮かせて自在に動かすことができる

 必要SP10,071


 〖魔法・コンフォート〗

 ――感じる温度や湿度を快適なものにできる魔法を習得する

 必要SP1


 〖魔法・クリーン〗

 ――身体を清潔にする魔法を習得する

 必要SP1


 〖魔法・ライト〗

 ――照明用の光の玉を生み出す魔法を習得する

 必要SP1

└─────────────────────────────┘



 出てきたのがこれ(新しいタブで)。


 ……使える魔法しょぼくない⁉

 〝快適にする〟のと〝きれいにする〟のと〝照らす〟のって!

 明らかにこの状況を打破できるラインナップじゃないでしょ⁉

 ……とりあえず魔法は全部取ったけど(〖サイズ調整〗はよくわかんなかったから手が出せなかった)!


 魔法を覚えたからスキルポイントが「3」減って、残り「25」に……。

 魔法を三つ取ったら〖魔法・ドリンキングウォーター〗とか〖魔法・マッチ〗とか、新たに取れるのが追加されたけど……今はやめとこう。

 それらを取ってもまた新しいのが追加されるってなったらキリないし……。

 あと、〖念動力〗……あれ、取らせる気ないよね?

 っていうかスキルポイント、なんか多く減ってない?

 もうちょっとあった気がするんだけど?


 ……とりあえず、今取った《ライト》で辺りを照らしてみるか。

 なんかわかるかもしれないし。


 で、照らしてみたんだけど(《ライト》の発動はMPを必要としないみたい)……。

 地図のウィンドウで見るよりめっちゃ狭かったんだけど、俺が今いる空間……。

 ……なんで?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る