幕間(一般人)
「お、起きたか。」
「ん、んぅ...?」
父の声と共に意識がはっきりする。
確かクールビューティーガールに襲われて、父の職場に逃げ込んで...
あ、ここ社だ。俺は客間の畳の上に寝かされていた。
「おいおい、急に入ってきたと思ったらそのままぶっ倒れるもんだからびっくりしたぞ?」
そう言いつつ頭をわしゃわしゃ撫でてくる。
「父さん、高校行けなかったよ。行けるわけ無かったよ。無理やり連れてくのやめてくれよ。」
「あー、朝のやつか。でもお前五体満足じゃねぇか。」
「関係ないでしょ!?息子死ぬところだったよ!?性癖に刺さる美少女に殺されかけたんだぞ!?」
父はそれを聞いて堪えきれないとばかり笑った。
「さすが父さんの息子だな、魔法少女が好みときたか。母さんも喜ぶなこりゃ。」
「魔法少女が好みではないです。追ってきた魔法少女が好みだっただけです。」
ニヤニヤと顔に出てるぞふざけんな。おい、それが本題じゃねえんだよ。
「あー、すまんすまん。無理やり連れて行って悪かったな。お前がどこまでやれるのか見たくてね。」
え?どゆこと?
「ほら、俺らこういう家柄だろ?お前もあとそろそろしたら一人暮らしとかするんだろうからさ、試さなきゃなって。」
なるほど、これといって納得ができそうな理由だが、
「それでもやり方はあるでしょうよ!死にかけたんだよ?死んだら元もこうもねぇよ!」
「すまんすまん、もうやらないよ。そのままこの部屋使ってていいから。仕事戻るな。」
「あ、はい。」
襖を開けてさっさと出ていってしまった。
相変わらず自由な人だ。間接的にあの人に殺されかけたというのに本気になって怒れないのは、俺の悪い所かもしれない。
まぁ、どう頑張ったってそっちの実力がない俺は怒っても無駄なんだろうが。
◆
襖を閉めた田中 涼太は独り言をポツリと呟く。
「流石は俺の子やれば出来んじゃん。やっぱり本家の奴らは見る目ねぇなぁ。」
仕事部屋に向かいながら思うことをつらつら述べる。
「確かに異能力や異常や特異はないけど、こんな環境の中で適応できるんだからねぇ。人間の可能性ってやつかな。」
「そんなことはどうでもいいや。」
「久々に魔法少女って単語沢山聞いたわ、帰ったら翔子に変身してもらお。」
もう40代の女性だとか彼にとっては関係ないらしい。
魔法少女、怪獣、モノノ怪VS 一般人俺 @Fuurin
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